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「年金22万円」では生活がカツカツ…“ごく普通の会社員”が迎えた厳しすぎる老後

Finasee / 2023年7月28日 11時0分

「年金22万円」では生活がカツカツ…“ごく普通の会社員”が迎えた厳しすぎる老後

Finasee(フィナシー)

高木恒夫さん(仮名)が定年退職で会社を去ってから14年になります。「退職時は営業課長、ごく普通のサラリーマン人生を送ってきた」と振り返る高木さんには、退職時に親の遺産や退職金などで約2000万円の貯蓄がありました。

しかし、なんと10年余りでそれが半減。そして、ここに来てさらに、追い打ちをかけるような出来事が勃発したそうです。

「うちの両親は自分たちと同じサラリーマンと専業主婦だったけれど、老後は経済的にもっと余裕があるように見えた」と嘆く高木さん。しかし、70代半ばでは再就職も難しく、現役時代に資産運用でもしておけば良かったと悔やんでもあとの祭りです。

高木さんが話してくれた年金暮らしの苦境からは、「年金だけでは暮らしていけない」今の日本の厳しい現実が見えてきます。

〈高木恒夫さんプロフィール〉

埼玉県在住
74歳
男性
年金生活者
一人暮らし(妻は施設入居)
金融資産880万円

***
 

私は70代の元サラリーマンです。大学卒業後、郷里の建設会社で40年間勤め上げ、14年前にリタイアしました。退職時の役職は営業課長でした。

就職したのは大阪万博の翌年の1971年です。高度経済成長期の最後の方で、日本の人口は毎年100万人単位で増えていました。東京の銀座にマクドナルドの国内1号店がオープンし、日清食品からカップヌードルの第1弾が発売されたのもこの年でした。

入社当初は地方でも社会インフラや個人住宅の建設ラッシュが続き、取引先や建設現場を飛び回りながら馬車馬のように働きました。

猛烈に後悔しているお金のこと

在職中にはオイルショックを皮切りに、昭和バブルの崩壊、リーマンショックなど大きな経済不況にも何度か見舞われましたが、会社はその都度営業エリアを拡大したり新業態を投入したりするなどして乗り切ってきました。

ひと回り年下の現社長は、他社での修行を終えて入社した時から私が指導係となってサポートしてきただけに、昨年、創業75周年の記念パーティーに招待された時は感無量でした。

自分のサラリーマン時代を振り返ってやり残したことはないのですが、今、私が猛烈に後悔しているのがお金のことです。

といっても、サラリーマン時代に毎日のように豪遊して散財したとか、ギャンブルにはまって大きな借金を背負ったという話ではありません。

自分で言うのもなんですが、私は本当に「普通のサラリーマン」でした。収入も人並みなら、結婚して専業主婦の妻との間に2人の息子をもうけたというライフスタイルも、私の世代ではごく一般的なものだと思います。

その私たち夫婦が今受給している年金は月額に換算して22万円ちょっとです。これも、厚生労働省が「モデル世帯」として紹介している、サラリーマンの夫が平均的な収入で40年間勤務した場合に受け取る世帯の年金額(妻は専業主婦)とほぼ同じです。

困っているのは、月額22万円の年金では、この先とても暮らしていけそうにないことです。

「年金22万円」ではギリギリ

年金生活でどうしてそんなに金がかかるのかと思われるかもしれません。しかし、考えてもみてください。年金の額面は22万円でも税金や社会保険料が徴収されますから、手取りは18~19万円がいいところです。

そこから住居費(固定資産税の月額換算など)1万円、食費3万円、水道光熱費2万5000円、通信費1万円、雑費1万円、交通費1万円、医療費3万円、保険料1万円、交際費2万円、小遣い2万円……と引いていったら、あっという間になくなってしまいます。運転は止め、車は昨年息子に譲りましたが、今のわが家ではタクシーに乗るのさえ贅沢です。

リタイアした頃には親の遺産や退職金も入りましたから、2000万円近い貯蓄がありました。でも、この10年余りで家のリフォーム、息子の結婚式や住宅資金の援助、歯科治療などに、それぞれ100万円以上を支出。

加えて、70代にもなると毎年10件以上は身内や仕事関係、同級生などの葬式があります。亡くなったのがきょうだいや親しい友人、仲人、サラリーマン時代にお世話になった方だと、遠方でも足を運ばざるを得ませんし、香典もそれなりの金額を包む必要があります。

かくして、私の2000万円近くの預金残高はたちまち1000万円を切ってしまいました。さらに、ここに来て大きな支出を余儀なくされ、経済的な不安をさらに強く感じるようになったのです。

●突如発生した想定外の支出とは?
続きは後編【年金暮らしがさらに厳しく…70代男性を追い詰めた“想定外の支出”】で解説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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