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新NISA目前! 2023年中に最低限身に付けたい投資リテラシーとは?

Finasee / 2023年7月18日 11時0分

新NISA目前! 2023年中に最低限身に付けたい投資リテラシーとは?

Finasee(フィナシー)

もうかる商品に投資したい。短期間で利益を得たい。投資をしていると、つい「欲」が出ることがあります。新NISAが始まるまでのこの期間、いま一度「投資リテラシー」について考えておきたいものです。今回は“投資でできるだけ失敗しないための考え方”を4つお伝えします。

①短期間で利益を得ようとしない

株式投資では、うまくいけば資産価値がどんどん上がります。成長する企業を見つけ、その株式に投資をすれば、長期で資産を増やすことができます。

一方で、株を安い時に買い、高い時に売る……これを短期間で繰り返し、利益を得る人も存在します。短期売買でのポイントは、チャート(値動きをグラフ化したもの)を読む力。勝つためには、瞬間的な判断力や経験が必要です。

この世界で勝つことは、正直に言ってかなり難しいと言えます。短期で誰かが勝つ=短期で負ける人が存在する、ということだからです。このような勝負の世界で生きるのも、1つの道です。しかし、自分が「負ける側」の人間になるリスクも当然あります。

勝ち負けの世界から抜け出すには、やはり長期投資です。なぜなら、長期的に見ると世界経済は毎年緩やかに上昇しているためです。長期投資では短期の勝ち負けを気にせず、流れに乗るようなイメージで投資を続けることができます。

どんな資産であっても、短期間では下がったり、大暴落したりする可能性もあります。例えば米国株価指標のS&P500を見ると、過去10年間(2013~2022年)で新型コロナウイルス発生やロシア・ウクライナ問題など、世界的に株価を下げた場面がありました。

当然、私自身もこのような局面では資産を減らしています。しかし、この10年間のS&P500の平均リターンは14.8%と、長期で見ればプラスとなっています。さらに、長期でつみたて投資をすると、「ドルコスト平均法」(※)という時間を味方につけた投資も可能です。

※ドルコスト平均法については、連載第5回【新NISAの2つの投資枠を徹底解説! 結局どう使い分けるのが正解?】で詳しく解説しています。

②アクティブファンドには、投資の知識を深めてから手を出す

では、長期投資する際はどのような商品を選べばいいのでしょうか。ここからは、投資信託を選ぶ際の大きなポイントについて解説します。

まず、投資信託の運⽤⽅法は、⼤きく分けて2種類あります。1つは、S&P500や日経平均株価などの指数に連動する「インデックス型」。そしてもう1つは、⼀定のテーマやコンセプトに沿って投資する「アクティブ型」というものです。

アクティブ型の商品は、例えば「環境に配慮した企業」というテーマで運⽤されます。また、相場の動きをチェックし、プロがその場で判断して運⽤を⾏う商品もあります。

テーマがしっかりしていたり、プロが運⽤を判断してくれたりする商品。⼀⾒、このアクティブ型投資信託は安心感があり、⾮常に魅力的な商品があるのも事実です。実際に、⼤きく資産価値を伸ばしている投資信託も多くあります。

しかし、このアクティブ型投資信託。最⼤のデメリットは「信託報酬が⾼い」ことです。それもそのはず、アクティブ型の商品では、プロである運⽤者が判断し、実際に株などが売買されるため、かなりの⼈件費がかかるからです。

また、アクティブ型投資信託から優れた商品を選び出すためには、運用の中身を調べ、適切に評価できる投資の知識が必要になります。

⼀⽅、インデックス型であれば、完全に「ルール」に基づいて運用されます。人間による複雑な判断が⼊らず、事前に決めたルールどおり、機械的に売買していくだけ。そのため、コストも安く済むのです。

過去の記事で説明してきたとおり、新NISAを使うと「永久に⾮課税」となります。したがって、かなり⻑い期間、商品を持ち続けるのが基本戦略です。

つまり、毎年かかる「信託報酬」というコストをいかに下げるかが、大きなカギとなるのです。したがって、初心者のうちは信託報酬の安い「インデックス型の投資信託」を選ぶ。そして投資の幅を広げたい方は、ある程度の知識・判断力をつけてから「アクティブ型の投資信託」にも少しずつ挑戦していくのがオススメです。

③生存バイアスで物事を判断しない

ここまで、多くの人にとって基本的にはアクティブ型の商品には⼿を出さないのが無難ということをお伝えしてきました。しかし世の中には、とんでもなく利益を出しているアクティブ型の商品もあります。

例えば、EV(電気⾃動⾞)に関連する株のみを集めた投資信託を見てみましょう。世界的な流れとして、今後ガソリン⾞からEVへの移⾏が進んでいくと予想されており、実際に「EV関連株」に投資する商品の成績を⾒てみると……3年間で、+149.5%ものパフォーマンスを発揮しています。

この結果を⾒て、「無難なインデックスファンドより、こういう商品を買う⽅が良いんじゃないの?」と、思った⽅。これが、初心者の陥りがちな罠なのです。

そもそも私が、この商品をどうやって探したかというと、非常に簡単な方法です。証券会社の検索機能を使って、「過去3年間の成績が良い商品」を1つ選んだだけなのです。

この恐ろしさが、分かりますでしょうか。私がやったことは、無数の商品からたまたま今の成績が良いものを適当に引っ張り出してきただけなのです。成功事例だけにフォーカスし、その他多数には⽬を向けない。この落とし⽳を「⽣存バイアス」と言います。

⽣存バイアスの例は「YouTuberになれば、⾃由に暮らして⾼収⼊!」というものが分かりやすいでしょうか。実際、好きなことをしながらYouTuberとして⽣計を⽴てる⼈もいます。中には年収が億を超える⼈もおり、夢の職業のようにも思えますね。

しかし実際、YouTubeで⾼収⼊を得て⾃由に暮らせている人はほんの⼀握り。華やかな成功者、つまり「⽣存者」ばかりが注⽬されますが……その裏には、ほとんど収益ゼロのYouTuberが、星の数ほどいるのです。

同じように、アクティブ型の投資信託にももちろん良い商品は存在しますが、「⽣存バイアスの罠にハマっていないか?」は必ず意識してください。

その商品は、今後も本当にパフォーマンスを発揮できるのか。たまたま、今上がっているだけ(運よく⽣き残っただけ)ではないのか。この考え⽅の軸を持てば、投資でもそれ以外でも冷静な判断を下せるはずです。

④なるべく利害関係のないプロから話を聞く

最後に「結局、誰の話を聞けばいいのか?」という考え方をお伝えします。最も聞くべきは、私の話ではありません。あなたが何か判断する際に、話を聞くべき⼈は「利害関係のないプロ」です。

例えば証券会社の営業マンは、あなたより投資知識が豊富です。そして、証券会社は慈善事業ではないので、どうしても利害関係が生まれてしまいます。

お客さんに良い商品を紹介したいけれど、手数料で稼がなければならない……という現実がある。したがって、「プロの意⾒だから」と営業マンのオススメ商品を買ってしまうと、⾼い⼿数料を払うことになるかもしれません。

そんな中、どんな情報を信じれば良いのか。その答えは、「利害関係のないプロ」から得られる情報です。あなたの親族や信頼できる友⼈で、投資に詳しい⼈がいたら……まず、その⼈の話を聞いてください。

投資に詳しい相談相手が身近にいない場合は、昨今注目が集まっている、独立系ファイナンシャルアドバイザーと呼ばれるIFA(Independent Financial Advisor:資産アドバイザー)に相談することも1つの選択肢になるかもしれません。

個人的には、多くのプロの意見に触れられる点から、とにかく資産運用に関する本をたくさん読んでみることをおすすめします。

例えば私は、過去の記事で「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」という商品を紹介しています。これが買われても私に⼿数料は⼊りませんが、純粋に自信を持ってオススメできる商品です。ただ、私の考えが100%正しいはずもありません。

数万円の投資なら、⽬をつぶって考えに共感できる人のオススメを買うのも良いでしょう。ですが、今後の⻑い⼈⽣で、数百万円、数千万円の投資をするなら……誰か⼀⼈の情報だけで、すべて判断するのは怖いと思いませんか?

だからこそ、本の知識をうまく活用する必要があります。投資の本を複数冊読み、異なる著者の主張から共通する部分を探したり、⾃分の考えに合う部分を⾒つけたりするのです。

投資をするなら、利害関係のないプロの話を聞く。直接聞いてみたり、本を通して、いろいろなプロの考えに触れたりすることを繰り返せば、あなたの投資⼈⽣の軸となる考え方が見つかるはずです。

***


ここまで、新NISAが始まるまでにおさらいしたい投資リテラシーについて解説しました。来年から始まる新制度をうまく活用するためにも、今のうちから投資の知識を深めていきましょう。

浅見 陽輔/銀行員・証券アナリスト

大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科を卒業後、2013年に銀行に就職。10年のキャリアで、投資運用、リスク管理、法人・個人向け融資、システム部門を経験。証券アナリスト、FP2級、簿記2級、税務上級など20種類の金融系資格を保有。趣味は優待株投資と筋トレ。本業の傍ら、Kindle(電子書籍)作家としても活動中。代表作に『図解 新NISA』『トクする株主優待の選び方』『最後のジュニアNISA』『絶対に続く筋トレ』などがある。Twitterアカウントは【@you_def】。

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