退職金は新NISAで運用するべき? なぜ毎月分配型は対象ファンドから外れたのか
Finasee / 2023年7月14日 16時0分
Finasee(フィナシー)
「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」の純資産残高が2兆円を突破
「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」の純資産残高が2兆円を突破した。同ファンドは、マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムなど米国の成長株に投資するアクティブファンドである。2022年は米国株式市場が下落して同ファンドの基準価額も下落。基準価額の下落から分配金もでなくなった。ただ、2023年に入って米国株式市場が上昇し、同ファンドの分配金も4月から100円となっている。6月は同ファンドに約55億円の資金流入があり、野村證券でもランキング3位となっている。パフォーマンスも改善しているので、7月以降も資金流入が続く可能性は高いだろう。
■アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型
基準価額 1万1786円
信託報酬 1.727%(年率・税込)
純資産残高 2兆94.40億円
<騰落率>
1カ月 7.07%
3カ月 19.37%
6カ月 31.11%
1年 25.76%
※6月末時点
世界株式に投資するアクティブファンドが人気大手証券では世界株式に投資するアクティブファンドの人気が高かった。SMBC日興証券の6月ランキング1位の世界株式に投資する「インベスコ世界厳選株式オープン(毎月決算型)」は、公募株式投資信託(ETF除く)の6月の資金流入額1位(約867億円)となっている。
また、みずほ証券6月ランキング1位の「世界高配当株セレクト(目標払出型)毎月決算・為替ヘッジなしコース」は、日本を含む世界の高配当株投資戦略の運用成果を反映する「クロッキー高配当世界株指数」から得られる総合収益の獲得を目指して運用を行うアクティブファンドである。
同ファンドの5月末時点における組入上位銘柄と配当利回りは、以下の通り。
1.ウッドサイド・エナジー・グループ(オーストラリア) 15.8%
2.BHPグループ(オーストラリア) 13.4%
3.ライオンデルバセル・インダストリーズ(アメリカ) 11.7%
4.パイオニア・ナチュラル・リソーシズ(アメリカ) 11.6%
5.エクイノール(ノルウェー) 10.3%
同ファンドの組入銘柄の配当利回りは5.0%と高い。高い利回りが期待できるファンドとして、7月以降もみずほ証券のランキング上位に入る可能性は高いだろう。
■世界高配当株セレクト(目標払出型)毎月決算・為替ヘッジなしコース
基準価額 6131円
信託報酬 1.943%(年率・税込)
純資産残高 754.39億円
<騰落率>
1カ月 2.4%
3カ月 3.1%
6カ月 2.9%
1年 11.7%
※5月末時点
毎月分配型ファンドは新NISAの対象外に2024年から始まる新NISA(少額投資非課税制度)では、成長投資枠とつみたて投資枠の合計1800万円が非課税となる。
この投資枠を使い切ることができるのは、退職金を受け取った退職者が中心になるだろう。しかし、問題はどのような商品に投資するかである。退職金を運用するのだから安定したリターンが得られる商品が望ましいが、毎月分配型の投資信託は対象外となった。
現行の一般NISAではすべての投資信託が対象だが、新NISAの成長投資の枠組みでは、毎月分配型に加え、投資期間が20年未満の投資信託やレバレッジ型投資信託も対象外となっている。
毎月分配型の投資信託が新NISAから除外されたのは、過大な分配金が原因だといわれている。運用益から分配金が支払われるのであれば問題はないが、安定した分配金を支払うために元本を取り崩す商品が登場したことは大きな問題になっている。老後資金のための投資なら「分配金が元本の一部から出ればいい」と考える投資家も多いだろうが、対象外なら仕方がない。
新NISAの成長投資の枠組みでは、インデックスファンドやETF(上場投資信託)など低コストで長期運用できる商品が中心になる。
新NISAは、2024年から始まる新しい投資制度である。老後資金を運用するためには、新NISAの特徴を理解し、自分に合った商品を選ぶことが大切だ。
今回紹介した「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」と「世界高配当株セレクト(目標払出型)毎月決算・為替ヘッジなしコース」は毎月分配型ファンドであるが、新NISA開始後も資金流入が続くかどうかに注目している。
文/山下 耕太郎
Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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