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妻と離婚、高齢両親と同居の52歳営業部長が直面した“過酷すぎる”現実

Finasee / 2023年7月20日 11時0分

妻と離婚、高齢両親と同居の52歳営業部長が直面した“過酷すぎる”現実

Finasee(フィナシー)

親の急な入院

大輔さん(仮名、52歳)は食品会社で20人の部下を率いる営業部長。元々は医薬品卸の会社にいましたが、30代半ばで現在の会社に転職しました。

30代半ばで離婚した大輔さんは、父(82歳)と母(79歳)と3人暮らしです。遠方に住む25歳の一人息子がいますが、息子が就職した3年前に一度会ったきり、日頃は連絡を取っていません。

大輔さんは離婚して以来ずっと両親と暮らしています。父は元教師、母は専業主婦で、大輔さんたちきょうだい(兄と妹)を育てあげました。父は厳格で、今も図書館に通っては歴史を研究しているようです。

地域の活動に参加するのは主に母です。大輔さんが両親と同居し家事全般を母に任せていることについて、隣県で家庭を持っている妹は「子ども部屋おじさん」と言ってからかいます。兄はまだ独身で、遠方の発電所で技術者として働いています。兄は父に似て無口でやや取っつきにくく、大輔さんは少し苦手です。

ある日の午前中、大輔さんの携帯に知らない番号から電話がかかってきました。出ると、地元の救急病院からで、父が自転車で外出中に車と接触し、転倒してけがを負ったとのことです。すぐに病院に来てほしいと言われましたが、昼過ぎに大事な打ち合わせが入っていて急には行けません。母に連絡しましたが動転していて要領を得ず、家から病院が遠いこともあり、対応は難しそうです。誰も来なければ診察できないと言われてしまったので、なんとか病院と交渉して診察はしてもらい、打ち合わせが終わってから駆け付けることにしました。

大輔さんが病院に着くと、けがの処置は終わっていましたが、いくつか検査が必要とのことで、父を連れて回ることになりました。どこも待ち時間が長く、大輔さんは付き添うだけでくたくたになってしまいました。父は入院することになったので、治療計画の説明を聞いて、家族の欄や支払いの誓約書にサインし、入院中の着替えなどのレンタルの説明を受けて契約し、帰宅する頃には夜になっていました。

入院はそんなに長くはならなさそうですが、場合によってはリハビリテーションを受けるための施設に転院することもあるそうです。今住んでいる家は段差が多く、お風呂やトイレに手すりはついていません。ちゃんと治してから退院してほしいですが、年のことを考えると元通りというわけにはいかないのかもしれず、大輔さんは不安になりました。

介護保険という言葉が頭には浮かびましたが、いつどうやって使うのかイメージが湧きません。自分が介護をしなければならないのか、仕事を辞めなければならないのか、そうしたら自分の老後はどうなるのか、と想像して気持ちが暗くなり、帰宅して母にいろいろ聞かれるのを振り払うようにして夕食も取らずに寝てしまいました。

●働きながらの介護は本当に可能なのか? 続きは後半記事【親を介護する理由、女性「家族が行うのが当然」 男性はまさかの回答】で紹介します。

沢村 香苗/日本総合研究所 スペシャリスト

東京大学文学部卒業。同大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻博士課程単位取得済み退学。研究機関勤務を経て、2014年に株式会社日本総合研究所に入社。研究・専門分野は高齢者心理学、消費者行動論で、「高齢者の身元保証人、身元保証等高齢者サポート事業に関する調査研究」など実績多数。著書に『自治体・地域で出来る!シニアのデジタル化が拓く豊かな未来』(学陽書房)。

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