iDeCoの商品選びに迷ったら「つみたてNISA」がヒントに
Finasee / 2023年7月21日 11時0分
Finasee(フィナシー)
来年から枠が大きくなるNISAに注目が集まっています。現在のつみたてNISAはつみたてNISA枠として利用できる額が3倍になりますが、対象商品は現行と同じ「長期・積立・分散に適した」商品に限られます。2023年7月12日現在対象となっている投資信託は237本、日本で購入可能な約6000本の投資信託のうちのわずか4%に厳選されています。この「つみたてNISA」による絞り込み機能を、iDeCoの商品選びにも役立てみてはいかがでしょうか。
iDeCoを始めるために必要な情報は何か理事をしているNPO法人 確定拠出年金教育協会では「これからiDeCoを始めたい人のための情報サイト」をコンセプトに、iDeCoに関する情報を中立的な立場で提供する「iDeCoナビ」という情報サイトを運営しています。
2016年の立ち上げ以来、始めたい人のご意見に耳を傾けながら、「信託報酬ランキング」(https://www.dcnenkin.jp/cost/)投資信託デビューをお考えの方のための「かんたん2分動画」(https://www.dcnenkin.jp/concierge/)「金融機関ざっくり比較」(https://www.dcnenkin.jp/search/bank.php?mode=comparison)などのコンテンツを追加してきました。そして、2023年7月より、月次更新で提供している商品情報に以下のように「つみたてNISA対象商品」マークを追加しました。
この背景には、iDeCoを始めたくても商品が選べない・決められないから始められないという声があります。すでにiDeCoで積み立てを行っている人の多くは、ネットで情報を見て、比較を行って、商品を決めることができた人です。体感的にはそれと同じか、それ以上の方が、iDeCoは老後資金を準備するのに良い制度だから利用したいと考え、運営管理機関から資料を取り寄せるという行動までしたものの、申し込みには至っていないようです。
申し込みできていない理由を伺うと、皆さん「商品が決められない」とおっしゃるのです。加えて「低金利だから預金でなく投資信託にチャレンジしてみたいけれど、どれにしたらよいのかよくわからない」とおっしゃる方がほとんどです。税制優遇のある老後資産形成を始める入り口に立っているのに、もったいない、どうにかしたい、と感じていました。
長期・積立・分散に適した絞り込まれた商品はiDeCoにも向いている「わからない」も「決められない」も取り除くためには、物事をシンプルにすることが役立ちます。そのためには検討の対象を減らし、選ぶために理解しなければならないことを一気にそぎ落とす必要があります。多くのマスコミやFPの人たちが推奨するネット証券ではiDeCoの商品ラインナップも30本以上が並んでいます。もともと投資が好きで自分の志向に合わせた投資スタイルがある方がメインのお客さまなので、その多様なニーズを満たすためにはそれぐらい必要なのだと思います。
ただ、初めて投資信託を買おうかどうか迷っている方には、ネット証券は最も商品選びが難しい運営管理機関だと思います。それでもラインナップされているiDeCo商品のうち「つみたてNISA対象商品」に限ると、その検討対象がSBI証券では38※本が13本に 楽天証券では32本が8本に、松井証券40※本が13本に絞り込まれます。そしてメガバンクや大手証券会社・大手生損保では数本にまで絞り込まれます。
※iDeCoナビでは、ターゲットイヤー型のシリーズの投資信託も1本とせずカウントしているため、法定上限の35本を超えることがあります。
例:SBI証券 ※図をクリックで拡大できます
出所:iDeCoナビ
iDeCoナビでは各社の商品一覧の上にある「つみたてNISA対象商品」にチェックを入れていただければ、つみたてNISA対象商品だけを表示することもできます。この中から選ぶとなれば、自分が投資する対象をどういう資産にするかということを決めれば、おのずと商品が決まると思います。インデックスファンドが中心になると思いますが、「つみたてNISA対象商品」に絞っても残ったアクティブファンド、これはこれで長期投資に耐えうることが期待される投資信託だと思いますので、個性のある運用を望むのであれば検討候補として運用方針などをチェックしてみると良いと思います。
さて、つみたてNISA対象商品について「長期・分散・積立に適した基準をクリアしている金融商品」だと言いましたが、金融庁や国が未来の資産運用の結果を保証するものでは決してありません。もちろんマーケット次第で価格は変動し、元本割れをすることもあります。それでも、長期に運用しながら資産をつくる上で必票な一定の基準を満たしていることは、同様に長期運用をして老後資産をつくっていくiDeCoの運用商品として有力候補といえます。
“商品が決められなくて始められない”を「iDeCoナビ」の「つみたてNISA対象商品」表示機能を活用して乗り越えていただけたらと思います。
最後に、今回「つみたてNISA対象商品」マークを付けてみて、つみたてNISAの基準を十分に満たしていても「つみたてNISA対象商品」ではない投資信託がいくつもあることに気づきました。DC専用商品として組成された名残なのかもしれませんし、運用会社としての営業戦略なのかもしれません。NISAとiDeCoが個人の資産形成の両輪となっていく中で、これらの動向が今後どうなっていくか、長い目で見守っていきたいと思います。
大江 加代/確定拠出年金アナリスト
オフィス・リベルタス取締役。大手証券会社にて22年間勤務、一貫して「サラリーマンの資産形成ビジネス」に携わる。確定拠出年金には制度スタート前から関わり、25万人の投資教育も主導。確定拠出年金教育協会の理事として、月間20万人以上が利用するサイト「iDeCoナビ」を立ち上げるなどiDeCoの普及・活用のための活動も行っている。
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