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農家へ嫁ぎ夫と死別…60代女性が義実家で受けた“あり得ない”仕打ち

Finasee / 2023年8月10日 11時0分

農家へ嫁ぎ夫と死別…60代女性が義実家で受けた“あり得ない”仕打ち

Finasee(フィナシー)

農家の長男と結婚、そして死別

中国地方在住の鈴木愛子さん(60代・既婚)は、高校を出て会社員をしていた頃、友だちの紹介で農家の長男である3歳年上の男性と出会った。その男性と25歳で結婚した鈴木さんは、農業に関して全くの素人。義両親だけでなく、義祖母と、高校を卒業したばかりの義妹とも同居することになったが、がむしゃらに農業や家事を覚えた。

一方、この家の一人娘として生まれた義母は、22歳の時に義父を婿養子として迎えていた。外で働いたことのない義母は、女王様のようだった。

鈴木さんが同居し始めた頃は、まだ義祖母が健在で、義母も義祖母もろくに家事をせず、義父に命令して何もかもやらせていた。自己中心的で、誰の言うことにも耳を貸さない義母は、義父や自分の子どもたちからも疎まれていた。

「夫と義母は意見が合わず、毎日のようにけんかばかり。男気のある夫は私を、義母や義きょうだいから守ってくれていましたし、義父も私も外から来た者同士、助け合っていました」

翌年に長女、その2年後に長男、さらに1年後に次男に恵まれ、忙しいながらも充実した生活を送っていた鈴木さんだったが、結婚から約30年たった2012年の初夏、59歳の夫は田植えが終わったその夜に倒れ、救急搬送。そのまま入院となり、約1カ月半後に亡くなった。死因は肝硬変。夫は若い頃からお酒が大好きだった。

後継者を認められない義母

その後も鈴木さんは、80代の義両親、30代シングルマザーの長女とその小学生の息子、30代の長男夫婦と幼児2人、30代介護福祉士の次男の9人と同居していた。

鈴木さんは家族全員のための家事をしながら、農家を継いだ長男の手伝いのほか、次男が不登校になってから20年続けている不登校支援のボランティアをし、夕飯後は工場で働き、時間を見つけては自分が好きな野菜を育てるなどして暮らしていた。

夫の死後、義父は鈴木さんの長男の意志を確認し、この家と農業の後継者を鈴木さんの長男に決めた。

ところが、後継者を相談なく決められたことが面白くなかった義母は、鈴木さんの長男のみならず、長男の妻やその子どもまでを毛嫌いし、あからさまに避けたり嫌みを言ったりするように。すると義父は、今まで以上に鈴木さんや孫たちを、義母や義きょうだいたちから守ってくれるようになった。

もともと義両親は、子どもたちの相続争いを避けるために、長男である鈴木さんの夫を跡継ぎと決め、義姉や義妹は嫁に出し、義弟は婿養子に出していた。

しかし、長男である鈴木さんの夫が亡くなってしまうと、義父は、「わしが死んだら絶対に長女夫婦が財産を取りに来る。だから遺言を作っておく」と言って司法書士に相談に行こうとした。だが、その度に義母に止められた。

「義母は、義父が自分より私や孫をかわいがることが気に入らなかったのでしょう。近くに住む義姉や義兄(義姉夫)の言いなりになって義父を止めていました」

義きょうだいとの確執

2020年4月。義父が93歳で急死した。義母との農作業中、ふらついて川に落ちての溺死だった。

義父は少し前から「しんどい、しんどい」と言って横になることが増えていた。「なんでもっと早く気付かなかったのだろう」と鈴木さんは悔やんだが、泣いている暇などなかった。警察に事情聴取されている耳の遠い義母のサポートをしなければならなかったのだ。

事情聴取から解放されると、ようやく義姉、義弟、義妹に連絡できた。

「世帯主の義父が亡くなって、町内のことは誰も分からなくなりました。お嬢さま育ちで世間知らずな義母は、この土地に80年住んでいるのに何も分かりません。私はコロナ禍のお葬式の仕方が分からず、分からない尽くしの状態なのに、案の定、外野である義きょうだいがうるさく口出しして来ました」

義父が亡くなった翌日から、義兄(義姉の夫)が毎日家に来るようになった。

「義兄は、まるで自分がこの家のあるじになったかのように威張り始めました。私は義兄の車を見ただけで動悸がして血圧が高くなり、通院するようになりました……」

義きょうだいたちは、義父の死後のバタバタに紛れて、義父名義になっていた土地をすべて、義母名義に換えてしまった。

「親族での話し合いも詳しい説明もないまま、突然来て書類だけよこして、『ここに印鑑を押して』と言うので、義母やわが家の子どもたちは、細かい確認をする間もなく印鑑を押してしまっていたのです」

●そして苦手な義母の介護が始まる。思いがけず関係性が変化して……。
続きは、後編【「今まで悪かった」意地悪な義母の態度が一転…60代女性が起こした奇跡】で解説します。

旦木 瑞穂/ライター・グラフィックデザイナー

愛知県出身。グラフィックデザイナー、アートディレクターを務め、2015年に独立。グラフィックデザイン、イラスト制作のほか、家庭問題に関する記事執筆を行う。主な執筆媒体は、プレジデントオンライン『誰も知らない、シングル介護・ダブルケアの世界』『家庭のタブー』、現代ビジネスオンライン『子どもは親の所有物じゃない』、東洋経済オンライン『子育てと介護 ダブルケアの現実』、毎日新聞出版『サンデー毎日「完璧な終活」』、日経BP 日経ARIA「今から始める『親』のこと」など。

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