中国人はキティちゃんが好き? 好調のサンリオ 連続減益を抜けて株価4倍に
Finasee / 2023年8月11日 17時0分
![中国人はキティちゃんが好き? 好調のサンリオ 連続減益を抜けて株価4倍に](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/finasee/finasee_12355_0-small.jpg)
Finasee(フィナシー)
サンリオの株価が好調と話題です。2020年12月に1300円台の安値を付けますが、その後は右肩上がりに上昇し、4倍以上となる6000円台へと値上がりしました。足元で進む業績改善が評価されているものとみられます。
【サンリオの業績】
売上高 純利益 2022年3月期 527.63億円 34.23億円 2023年3月期 726.24億円 81.58億円 2024年3月期(予想) 742.00億円 82.00億円
出所:サンリオ 決算短信
【サンリオの株価(月足、2020年6月~2023年6月)】
![](https://finasee.ismcdn.jp/mwimgs/c/0/800m/img_c00cadf54624229d647b163979cb8c1a53983.jpg)
サンリオは収益性の高さが認められ、「JPXプライム150指数」に選出されました。今回はキャラクタービジネス大手のサンリオに注目してみましょう。
450キャラクターを擁する国内屈指のライセンサーサンリオは1960年に設立された企業です。当初は「山梨シルクセンター」としてギフト商品の企画・販売などを手掛けていました。現在の社名に改めたのは1973年のことです。
同社の代表するキャラクター『ハローキティ』は1974年に誕生し、翌年に小さいビニール製の財布(プチパース)で初めて商品化されました。これが大きな反響を呼び、サンリオのキャラクタービジネスの基礎が固まります。
その後『リトルツインスターズ』や『ポムポムプリン』、『シナモロール』など数々の人気キャラクターを送り出してきました。その数は450にも上り、275億円ものライセンス収入につながっています(2023年3月期)。
ただしコロナ禍では苦戦しました。2021年3月期に売上高が前期比で25%以上減少し、30億円以上の営業赤字に転落します。業績の悪化は以前から続いており、7期連続の減収減益を記録してしまいました。これを受け、サンリオ株式は大きく値下がりします。
【当時の業績と株価(2014年3月期~2021年3月期)】
![](https://finasee.ismcdn.jp/mwimgs/1/3/800m/img_1390f334110224d2899e6c19bf4ebbf492912.jpg)
サンリオは2021年5月、「第二の創業期」と位置付けた中期経営計画を発表しました。経営陣の刷新のほか、削減を含む国内物販事業・米国事業の見直しなどに取り組みます。構造改革は利益率の改善に寄与し、また経済活動の再開にも助けられ、業績は大きく改善しました。
【コロナ後の業績(2021年3月期~2023年3月期)】
売上高 営業利益 営業利益率 2021年3月期 410.53億円 -32.8億円 ─ 2022年3月期 527.63億円 25.37億円 4.43% 2023年3月期 726.24億円 132.47億円 18.24%
出所:サンリオ 決算短信
サンリオの収益は主に国内に由来しますが、海外セレブの多くが『ハローキティ』ファンを公言するように、同社のキャラクターは世界的に人気があります。
サンリオの海外事業はアジアが重要な地位を占めており、売上高・営業利益ともに最大となりました(2023年3月期)。特に中国のシェアは大きく、海外事業では最大の利益を稼ぎ出しています。
【地域別の業績(2023年3月期)】
売上高 営業利益 欧州(ドイツ、英国) 18.23億円 -1.79億円 北米(米国) 64.73億円 7.26億円 南米(ブラジル、チリ) 5.04億円 0.25億円 アジア 115.17億円 40.69億円 アジアの内、中国 (63.82億円) (27.98億円)※アジアは香港、台湾、韓国、中国、シンガポールで構成
出所:サンリオ 決算短信
サンリオは返還の翌年の香港に出店したり、2003年に上海に現地法人を設立したりと、早くから中国地域へ進出しています。2015年には現地企業にライセンスを付与したハローキティ・パーク(浙江省)がオープンしました。サンリオは1990年から『サンリオピューロランド』などのテーマパーク事業を手掛けていますが、屋外型の海外テーマパークはこれが初めての進出でした。
2024年には中国2拠点目のテーマパークが開業するとみられています。報道によると、テーマパークは2019年にサンリオとライセンス契約を締結した現地企業が建設・運営し、年間150~200万人の訪問客を見込むとしています(出典:日本経済新聞)。
教育事業を開始!勝算は?サンリオは2022年9月、教育事業へ進出すると発表し、第一弾として子ども向け英語通信講座を2023年3月からリリースしました。
サンリオは教育事業を新たな収益の柱と位置付けており、まずは単体での収益化を目指すとしています。また教材には独自のキャラクター『エディ』と『ピタ』のほかサンリオの人気キャラクターが描かれることから、ライセンス事業やグッズ販売などとのシナジーにも期待できそうです。
キャラクターを活用した教材は「ディズニー英語システム」などを手掛けるワールド・ファミリーが先行していますが、サンリオに勝算はあるのでしょうか。サンリオは「スクールIE」などのスクール事業を手掛けるやる気スイッチグループホールディングスと資本提携しており、やる気スイッチグループの教室でサンリオの学習教材を活用・販売することを明かしています。
やる気スイッチグループホールディングスは総生徒数13万人を抱える大手です(2023年2月末時点)。強固な基盤で活用が進めば、サンリオの教育事業は早期に黒字化するかもしれません。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)
若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。
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