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バフェットが「無理にバットを振らず、好きな球を待てばいい」の言葉に込めた意味

Finasee / 2023年8月15日 18時0分

バフェットが「無理にバットを振らず、好きな球を待てばいい」の言葉に込めた意味

Finasee(フィナシー)

世界で最も有名な投資家の1人であるウォーレン・バフェット氏。彼の投資会社バークシャー・ハサウェイの1株あたり純資産から計算される累計リターンは、実に108万%(1964年~2017年)にも上ります。

“オマハの賢人”とも称されるバフェットは、投資に役立つ数々の名言を残してきました。今回はその1つを紹介します。

厳しいマーケットだった1970年代の言葉

投資は世の中で最高の仕事です。なぜなら、野球のように無理にバットを振る必要はないからです…(略)…いい球を見送ったって、なんの罰則もないんです。だから、一日中、自分の好きな球が来るのを待っていればいい。そして野手が居眠りでもしたら、踏み込んで、かっ飛ばす(1974年11月1日『フォーブズ』誌)。

引用:デイヴィット・アンドリューズ、石田文子『ウォーレン・バフェットの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実』文響社

これはフォーブズのインタビューに答えた言葉です。当時は石油危機などからインフレと景気停滞が同時に起こるスタグフレーションに苦しんでいた時期で、株式市場にも強い下落圧力が働いていました。毎年10%以上のリターンを稼いできたバークシャーも、当時は1ケタ%台にとどまっています(1973年、1974年)。

しかし1976年、バークシャーは59%という驚異的なリターンを稼ぎ出しました。これは1970年代で最大の利益率となっています。さらにその翌年も市場をおよそ4割も上回るパフォーマンスを残しています。バフェット氏は宣言通りチャンスボールを待ち、しっかりと振り抜いて大ホームランを放ちました。

【1970年代のパフォーマンス】

   バークシャー・ハサウェイ   S&P500(配当込み)   1970年 12.0% 3.9%  1971年 16.4% 14.6%  1972年 21.7% 18.9%  1973年 4.7% -14.8%  1974年 5.5% -26.4%  1975年 21.9% 37.2%  1976年 59.3% 23.6%  1977年 31.9% -7.4%  1978年 24.0% 6.4%  1979年  35.7% 18.2%

※バークシャー・ハサウェイは1株あたり純資産の変化率

出所:バークシャー・ハサウェイ 株主レター

チャンスが来るまで投資しなくていい

バフェット氏の言葉からは、「無理に投資する必要はない」というメッセージが読み取れます。相応しい銘柄が見つからないのなら、投資せず現金で置いておくという判断もあり得るでしょう。仮にあなた以外の全員が大儲けしているときに投資していなかったとしても、それを咎められるいわれはないのです。

ただし「チャンスなら投資せよ」というメッセージも読み取れます。バフェット氏は「自分が好きな球が来るのを待っていればいい」と言っていますが、これはボールから目を離してよいということではないでしょう。むしろしっかり見極め、「野手が居眠り」しているようなチャンスに投資することが重要といった意味が伝わります。

後段はなかなか難しそうですが、少なくとも焦って投資しないということはすぐ実行できるのではないでしょうか。投資に臨む際は、資金をすぐに投じたり、よく知らないまま話題の銘柄に飛びついたりせず、慎重に判断して行うようおすすめします。

文/若山卓也(わかやまFPサービス) 

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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