今さら聞けない…新NISAで何がどう変わる? 5大重要ポイントを解説
Finasee / 2023年8月29日 11時0分
Finasee(フィナシー)
2024年1月から、大幅に拡充予定のNISA制度。「制度の恒久化」「非課税投資期限の廃止」「総拠出額は1800万円まで」など大きな話題を呼んでいますが、このNISA制度を上手に活用できるかどうかがお金の不安をなくすための分かれ目だと、ファイナンシャルプランナー・山崎俊輔氏は言います。
話題の書籍『新NISAとiDeCoでお金を増やす方法』では、新しいNISAの主な変更点と拡大部分、iDeCoを併用しながら貯金感覚で資産形成する方法について山崎氏が優しく解説。今回は本書より第2章「NISAは2024年にどう変わるのか?」の一部を特別に公開します。(全3回)
●第1回:「実行力がない」と批判されがちな岸田内閣が、「NISA改革」を実現させた“背景”
※本稿は、山崎俊輔著『新NISAとiDeCoでお金を増やす方法』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
変更点①制度の恒久化が実現それでは新しいNISAについてみていきましょう。まずは大きく変化する部分です。
現状のNISA制度は毎年1口座を開設する仕組みですが、実はこれ、5年後、10年後もNISA口座が続くことは約束されていませんでした。
数年おきに税制改正大綱で「これからもNISAをXXXX年までは開設できます」と認めて、そのつどアップデートされていたのです。
これではいつまでNISA口座を開設し続けられるか不安です。長期投資といいながら、20年先の未来でつみたてNISAが続いていないのでは困ります。
そこで今回、NISAは制度として恒久化されることが明確になりました。これからはNISA制度がなくなることを心配せずに安心して活用できます。
変更点②非課税投資期限の廃止一般NISAが「投資した年から5年目の年末まで」、つみたてNISAが「投資をした年から20年目の年末まで」を、非課税投資が続けられる期間としていましたが、これが完全撤廃されます。
これは革命的な変化です。
特に一般NISAについては、これまでは中長期投資を求めつつも、投資5年目の年末に何か対応をしなければなりませんでした。毎年毎年、「5年前に投資したお金はどうなっていたのだろう」とチェックし、期限までに手続きをするというのは面倒です。
この非課税投資期限が廃止されることにより、「NISA口座全体」で自分のライフステージや資金ニーズをみながら資産管理できるようになります。
変更点③年単位の管理から口座単位の管理方法へ今までのNISAは年単位で口座管理をしていました。これまでは、2022年の一般NISA口座の120万円は2026年末まで、2023年の120万円は2027年末まで……といったように管理をしていたわけです。
売却するか、証券口座に移管するか、翌年のNISA口座にロールオーバーするか決めさせる仕組みは複雑でした。
運用は「全体」で捉えるべきですが、「2020年に投資した分は増えているか?」「2021年に投資をした分は?」と分けて考えることは合理的ではありません。
今回の改正はこの悩みも解決します。
何年に投資をしたかは関係なく「私のNISAには○○○万円ある」ということだけを考えればいいのです(ただし後述するように、投資上限の総枠管理を行うことになりますが、これは年単位でチェックを行います)。
変更点④一般NISAとつみたてNISAの区別がなくなる2023年までは「一般NISAとつみたてNISAは選択制です」と説明されてきました。どちらか1つを年単位で開設する(普通は同じNISAを継続しますが)仕組みでしたが、これが統合されます。
後述しますが「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という名称で、それぞれつみたてNISAの枠、一般NISAの枠が引き継がれ、NISA口座は1つになります。
「年40万円×20年は合計800万円だからつみたてNISAでいこうか」「年120万円の枠が大きいから合計600万円でも一般NISAで行こうか」と悩ませること自体がハードルでしたが、2024年からはとにかく「NISA口座を作る」ということだけ考えればいいのです。
変更点⑤総拠出枠が設定される先ほど、5年あるいは20年の非課税投資期限が廃止されると説明しましたが、その代わりに設定されるのが「総拠出枠」の考え方です。簡単にいえば「ひとりがマックスでここまで入金できる上限」ということになります。
年単位の管理がなくなる代わりに「総額で1800万円まで」がNISAの上限額ということになります。これは入金して買い付けをした段階の価格なので、1500万円の投資資金が値上がりして1800万円の価値を持っていても、まだ300万円は投資できます。
また、総枠の上限に達していた場合には新規投資ができなくなりますが、売却をした場合はその枠が翌年の投資可能額として復活します。
1800万円をすでに投資済みであった人が100万円分を売却した場合、翌年は100万円まで改めてNISAで投資ができるということになります。
この管理は年単位で行われます。復活するのは翌年の1月となりますので、リアルタイムで枠が復活するわけではないことに注意してください。
つまり、デイトレードなどで頻繁な売り買いをしたとしても、空いた非課税投資枠が戻ってくるのは、最大で1年後というわけです。
●第3回(【新NISA】1800万円に拡大された投資枠で、1つ知っておきたい“注意点”とは)では、現行のNISA制度との共通ポイントを中心に解説します。
『新NISAとiDeCoでお金を増やす方法』山崎俊輔 著
発行所 フォレスト出版
定価 1,650円(税込)
山崎 俊輔/ファイナンシャルプランナー
1972年生まれ。フィナンシャル・ウィズダム代表。1995年中央大学法学部法律学科卒業後、企業年金研究所、FP総研を経て独立。確定拠出年金を中心とした企業年金制度と投資教育が専門。著書『普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『共働き夫婦 お金の教科書』(プレジデント社)、『お金の悩みは4マスで考える』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など多数。
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