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「やはり厳しい…」60代女性が退職後に直面した“再就職”の高い壁

Finasee / 2023年8月24日 11時0分

「やはり厳しい…」60代女性が退職後に直面した“再就職”の高い壁

Finasee(フィナシー)

過去にどんなに素晴らしいキャリアを積んできた人でも、定年後の再就職の壁は高く、苦労が伴うものです。その上、女性においてはロールモデルとなる体験談も少なく、参考にできる情報が圧倒的に足りていません。

そこで、今回は「女性の定年後」をテーマに、長年マーケティング会社に勤めたKさん(60代・女性)の再就職の事例をご紹介します。

マーケティング会社に勤めたKさんの場合

Kさんは大学卒業後、料理関係のマーケティング会社に入社して、そこから転職することなく1つの会社で働いてきました。会社ではさまざまな仕事をこなしながら、最終的には社長秘書となりました。

日本は、女性の管理職、女性の役員の数が欧米と比較してかなり少ない現状があります。今となってはずいぶん職場での男女の区別はなくなってきたと言っても、完全に平等とは言えないでしょう。

そんな中で、男女雇用均等法がない時代から正社員として働いてきたKさん。読者のみなさんは、いわゆる「自信みなぎるバリバリのキャリアウーマン」を想像されるかもしれません。実際、Kさんは大変優秀な社員だったので、経営者にとっても安心できる存在で、「定年後も長く働いてほしい」と言われていました。しかし、Kさん自身が定年前に持っていた考えは意外なものでした。

「自分は会社規模100人程度の中小企業で務めてきた。女性で、エリートでもなく、雑草のような自分だから、気を引き締めてかからないと再就職なんてとても無理だろう」

Kさんは自分の雇用状況について、「市場価値がある今のうちに、自分の得意なことを活かし、これからの仕事を考えたい」という思いがあったのです。かといって、長く勤めた会社を離れ、新たな一歩を踏み出す決断にはかなりの勇気が必要でした。

きっかけは「年金」の存在だった

意外なことに、背中を押ししたのは「年金」の存在でした。Kさんの年代のサラリーマンは、女性の場合、61歳から特別支給の老齢厚生年金がもらえるのです。

Kさんは50歳の時、試しに年金定期便で知った年金受給予想額から、定年後の生活をシミュレーションしてみました。

そうすると、「今までの貯蓄に加えて年金があれば何とかやっていける。働いているうちに辞めることを前提にアクションを起こして、いざという時に備えておこう」と、定年後のキャリアを前向きに考えられるようになりました。

勉強会で情報収集をスタート

それからは、自分に何ができるか考え始めました。

ふと頭に浮かんだのは「お茶」でした。趣味としてお茶を学んでいたため、「これなら仕事にできるかもしれない」と思えたのです。ただ、いざ実行に移すには分からないことが多く、時期が早いとも感じていました。

そんな時、「東京セカンドキャリア塾」という東京都が主催しているセカンドキャリア支援の勉強会を知ることになります。Kさんが以前参加した「一般社団法人日本秘書協会」のセミナーで知り合った先生から、「キャリアの勉強会がある」と教えてもらったのでした。

「そこに行けば、自分の漠然とした定年後への思いも、ハッキリするかもしれない」

Kさんは早速東京セカンドキャリア塾へ行ってみることに。勉強会に参加してみると、定年後のお金、人間関係、キャリアについて学べただけでなく、受講者同士の情報交換も行われており、定年後のキャリアの大枠をイメージするのに大変役立ちました。

そこでの経験によって、「自分の得意なことを活かせたら、何とかなるかもしれない」と自信を持てるようになりました。

突然訪れた退職の機会

こうしてKさんなりに準備を始めていた頃、思いもよらないことに、会社を辞めなければならない状況に置かれます。経営者が交代することになったのです。

長く勤めた会社だけにKさんは大いに悩みましたが、「これもいい機会ではないか」と考え、退職を決意しました。この時、Kさんは61歳。特別支給の老齢厚生年金受給が始まって2カ月目のことでした。

突然ではありましたが、定年後のキャリアについては心の準備はできていたので、それほど狼狽えることはありませんでした。とはいえ、具体的な未来が描けていたわけではなかったので、完全には不安を拭えなかったのも事実です。

ハローワークから始まった再出発への道のり

会社を退職してから、まずは失業手当のことを相談しようと、地元のハローワークに向かいました。

Kさんはそこで、就業促進のためにさまざまな職業訓練が無料で提供されていることに驚きます。訓練の内容は多種多様。総務人事関係、経理関係、IT関係など、いずれも就職に有利に働く訓練で、好きなコースを選べるのです。

さらに、この訓練は3~6カ月コースで本格的に学べて、受講料は無料(テキスト代は実費)であることも魅力でした。講師はその道の専門家が外部から派遣され、指導も大変熱心。受講期間中は雇用保険に加え交通費も支給されるらしく、至り尽くせりの制度だと思いました。

こうして職業訓練の内容に魅力を感じたKさんは、早速総務人事関係のコースを選択します。まずは学びながら再就職のチャンスを待つことにしました。もちろん、ただ待つだけではなく、職業訓練校で受講をしながらハローワークに通い、応募案件を調べ、良い案件があれば積極的に相談員に話を聞きながら就活を行いました。

しかし、多くの会社に応募をしてみるものの、書類選考で落とされてしまい、全くうまくいきません。この時、応募件数は既に20を超えていました。

「やはり定年の年齢になっての就職は、うわさ通り厳しいんだ……」と気持ちが落ち込んでいた時、Kさんは自身に立ちはだかった壁を打ち破る“ある有益な情報”を入手します。

●Kさんに希望を与えた情報とは一体何なのか? 続きは、後編【「まさか自分が⁉」再就職を目指す女性が見つけた“全く新しい選択肢”】で解説します。

髙橋 伸典/セカンドキャリアコンサルタント・モチベーション総合研究所代表・東京定年男女の会主宰

1957年生まれ。57歳で早期退職するも、多くのつまずき、苦労を経験する。しかし試行錯誤を重ねることで乗り越え、リスクなく独立する道をつかみ取る。東京都主催の東京セカンドキャリア塾、各自治体などでセミナーを行う。雑誌やウェブメディアでは、セカンドキャリアに関する寄稿の実績多数。著書に「定年1年目の教科書」(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

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