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コスパ最悪、評価も面倒…AIでも「紙モノ」整理が高難易度なのは一体なぜ?

Finasee / 2023年9月7日 11時0分

コスパ最悪、評価も面倒…AIでも「紙モノ」整理が高難易度なのは一体なぜ?

Finasee(フィナシー)

保険、年金、資産……人生後半になると一気に増えてくるのが、こうしたお金関係の“紙”。充実した老後生活を送るには、そうした書類の内容を理解して、時には取捨選択しながら、整理していくことが欠かせません。

話題の書籍『「これから」の人生が楽しくなる! 60歳からの「紙モノ」整理』では、将来への不安を軽減するための書類整理について、片づけ講師・渡部亜矢氏が優しく解説。今回は本書冒頭の『はじめに』、第1章『片づけで一番大切な60歳からの「紙モノ」整理』、第4章『財産の「見える化」で不安が消える! 「お金モノ」の整理』を特別に公開します。(全3回)

●第1回:保険、年金…「重要書類」をしまいこんだり、放置することがもたらす“恐ろしい事態”

※本稿は、渡部亜矢著『「これから」の人生が楽しくなる! 60歳からの「紙モノ」整理』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

「プレ終活」としての「紙モノ」整理

たかが紙、されど紙。「紙モノ」整理をあなどってはいけないことが、第1回からおわかりいただけたでしょうか。

私は「紙モノ」整理を、卒業、成人式、定年の延長線上にあり、家族や周りの人とも向き合っていく、人生を充実させるための新しいライフイベントと考えています。家族だけでなく、周りにも大きな影響を及ぼす社会的なイベント=行事として捉えて、早めに取り組むことをおすすめします。

60歳からの「紙モノ」整理は、成熟した大人のたしなみ、マナーに近いものです。そして終活前の人生の棚卸しであり、「プレ終活」の1つといえるでしょう。

この棚卸しができていないと、エンディングノートも財産目録も遺言書も書けません。

なぜ、紙の整理を先のばしにしてしまうのか

この記事を開いてくださった方は、「いつかは『紙モノ』の整理をやらねばならない」と思ってきたのではないでしょうか。それでもつい先のばしにしてしまうのは、「紙モノ」整理の難しさにあります。

大きな原因は、一般的なモノの整理とは決定的に違う特徴と、世代的な要素のダブル構造になっているためです。それゆえに、ほとんどの方が原因のどれかに当てはまってしまい、身動きがとれなくなっているのです。

「紙モノ」整理ならではの特徴と、世代的な要素には、次のようなものがあります。

特徴①普通のモノより「紙モノ」は重要度が高いという思い込みがある

書類や本、雑誌など、紙にはたいてい文字が書かれています。文字はモノとは違うので、知識欲のある方ほど、ほかのモノよりも大事だと思ったり、重要な情報は逃してはならないと感じがちです。文字が書かれた「紙」そのものを、普通のモノより格が上だと、無意識的に思う傾向があります。

そのため、まったく必要のないチラシでも持ち続けてしまったり、決して読むことがない本や雑誌、新聞を「重要品」だと意識してしまい、とっておいたりします。見返すことのないメモや、期限切れの旅行のパンフレットなども同類です。

コスパやスキル…片づけ難易度が高い「紙モノ」整理
特徴②コスパが悪く、面倒

同じ捨てる判断でも、例えば数年着ていない、流行遅れの服を思い切って手放せば、クローゼットも広くなり、一瞬で過去と決別でき、「捨てた感」を満喫することができます。

ところが紙には重要な書類が紛れている可能性があるので、捨てるかどうしようか判断するために、中身をチェックする必要が出てきます。重要品にしても、思い出の紙であっても、捨てる判断をする時に、いちいち目を通して内容を理解し、自分の頭の中を言語化するという「脳内変換」をしなければなりません。

細かい字がたくさん書いてある書類などは、いくら悩んで1枚捨てたとしても薄くてかさばりませんから、スッキリ感をほとんど感じることができません。そもそも、「紙モノ」整理は、時間的・空間的効果(コストパフォーマンス)が悪いのです。

ましてや「紙モノ」整理は、思い出のような情感も含みます。作業の効果を数値化しづらく、今どきのAIの基準で判断しにくい、極めて人間臭い営みです。

そのため、定年後に新たな環境で仕事を始めたり、地域活動や趣味を満喫していて忙しい……そんな一見アクティブで効率を重視している方ほど、面倒なのでとりあえずとっておくという、「判断をしない判断らしきこと」をしがちです。

コスパが悪く判断も評価も面倒という、片づけの中でも一番難易度が高いものなのです。

特徴③「片づけスキル」と「手続きスキル」の両方が必要

「紙モノ」整理には、単なる整理収納のワザにプラスして、重要品を管理し、期日に書類を出すなどの「手続きスキル」がプラスされます。そのため、面倒なものが多く、片づけのハードルがより上がってしまいます。

「紙モノ」整理がもつ世代的な要素とは
世代的要素①年を重ねている分、「思い出」の「紙モノ」が多い

これは「紙モノ」に限らず、すべての片づけにいえることですが、思い出があるものは気持ちが乗っている分だけ捨てにくく、片づけの判断が難しくなります。

例えば卒業アルバム、卒業証書、過去の給与明細などです。思い入れのある仕事の書類などを大事にとっているケースもあるでしょう。

年齢を重ねれば重ねるほど思い出も増えていくので、こうした書類を手放すことが難しくなっていくのです。

世代的要素②「なりたい自分」の情報が含まれているので捨てにくい

古い写真を見た時に、当時の思いがよみがえり手が止まるというのはよくあることです。つい整理から逃げて見入ってしまい、結局日が暮れて再び押入れに押し込んで終わり……ということを繰り返してしまうこともあります。

例えば40年以上前にがんばった受験の赤本は、過去の自分への懐かしみかもしれません。それが自信の場合もあるし、哀惜やこだわり(執着)になっている場合もあります。

また60代は、「自己啓発」世代です。本棚に並ぶ筋トレ本や英検の攻略本は、なし得ていない自分を塩漬けにしているのかもしれません。これから先どうしたらいいかを考えること自体を先のばしにしていることもあります。

こうありたい自分や現実と向き合うこと=将来を考えること自体を先のばしにしているースです。

世代的要素③目を通したことで、かえって情が増す

「紙モノ」整理で厄介(やっかい)なのは、久しぶりに目を通すことで、当時のことをあれこれ思い出し、新たな愛着が湧いてきて捨てにくくなることです。

人は接する時間が長いモノに好感を持つ傾向があります。心理学では単純接触効果といわれています。同じコマーシャルがネットやテレビで繰り返されるのは、この効果をねらっているためです。

ただ、「紙モノ」整理の場面では、いつもそこにあるからとっておくという、結局捨てられないループにはまり、愛着が執着に変換されていくのです。

●第3回(即席のエンディングノートが完成!簡単&スマートに「紙モノ」を整理できる魔法の5ステップ)では、書類の中でも権利証や通帳など、プラスの財産で現物がある「資産モノ」の整理術について解説します。

『「これから」の人生が楽しくなる! 60歳からの「紙モノ」整理』

渡部亜矢 著
発行所 青春出版社
定価 1,650円(税込)

渡部 亜矢/片づけ講師/実家片づけ整理協会代表理事/実家片づけアドバイザー®

銀行、出版社等を経て、片づけが苦手な人向きの講座を開講。人生100年時代の片づけ整理術、親子で取り組む生前整理、空き家になるのを防ぐ片づけ術、終活、モノとお金の整理術などを展開中。講演・メディア出演多数。筑波大学大学院修了(カウンセリング修士)。おもな著書に『人生が整う片づけの基本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『プロが教える 実家の片づけ』(ダイヤモンド社)、『カツオが磯野家を片づける日』(SBクリエイティブ)などがある。

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