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株価堅調のインターネットイニシアティブ 破綻の危機を救ったのは「あの企業」だった

Finasee / 2023年8月25日 17時0分

株価堅調のインターネットイニシアティブ 破綻の危機を救ったのは「あの企業」だった

Finasee(フィナシー)

インターネットイニシアティブは、主に法人向けにシステムやクラウドといったサービスのほか、格安スマホ「IIJmio(アイアイジェイミオ)」などを展開する企業です。業績が順調に推移していることから投資家の評価が高く、株価は3年前のおよそ3倍の水準で推移しています(2023年7月末時点)。

【インターネットイニシアティブの業績】

  売上高 純利益  2022年3月期 2263.35億円 156.72億円  2023年3月期 2527.08億円 188.38億円  2024年3月期(予想)    2860.00億円   207.20億円

※2024年3月期(予想)は、2023年3月期時点における同社の予想

出所:インターネットイニシアティブ 決算短信

【インターネットイニシアティブの株価(月足、2020年7月~2023年7月)】

出所:Investing.comより著者作成

インターネットイニシアティブは収益性の高さから「JPXプライム150指数」に採用されました。インターネットイニシアティブはどのような歴史を持つ企業なのでしょうか。成り立ちを振り返りましょう。

国内初の商用インターネット接続事業者

インターネットイニシアティブは1992年に設立されました。同社は日本で初めてインターネット接続サービス事業を展開した企業として知られています。

日本においてインターネットは「ジェイユーネット」と呼ばれる大学間ネットワークが起源といわれています。当初は非営利で運営されていたものの、接続者が急増したため対応が困難な状況に陥りました。

そこでインターネットイニシアティブが1993年に商用化に踏み切り、大規模にインターネット接続サービスを提供し始めます。インターネットイニシアティブは、日本にインターネットの道を切り開いたパイオニアといえるでしょう。現在でも法人向けで300万件、個人向けで150万件の契約を持つ大手インターネット接続事業者であり、同社の中核事業の1つとなっています(2023年3月期)。

近年はもう1つの収益源である「システムインテグレーション」事業の伸びが顕著です。企業などにシステムの構築や機器の販売といったサービスを行う事業で、売上高はインターネット接続サービスなどの「ネットワークサービス」事業へ迫っています。

【事業別の売上高(2020年3月期~2023年3月期)】

出所:インターネットイニシアティブ データブック

【報告セグメント業績(2023年3月期)】

  売上高 営業利益  営業利益率   ネットワークサービスおよび
 システムインテグレーション事業    2499.70億円   263.22億円 10.5%  ATM運営事業 28.42億円 9.19億円 32.3%


出所:インターネットイニシアティブ 決算短信

クラウドなどストック型ビジネスに強み

インターネットイニシアティブの強みはストック型のビジネスモデルにあります。売上高の8割以上を占めており、業績の安定化に寄与していると考えられます。

【ストック売上・一時売上の構成比(2020年3月期~2023年3月期)】

出所:インターネットイニシアティブ データブック

ストック型ビジネスで特に成長しているのはクラウド事業です。同事業のストック売上高は2023年3月期で324.3億円となっており、2019年3月期(同201.3億円)から1.6倍へ拡大しました。これは毎年12.5%成長した計算です。

インターネットイニシアティブは、まだ多くの企業システムがオンプレミス(※)で稼働しているとみており、クラウド事業のさらなる成長を見込んでいます。

※オンプレミス:システムやインフラに必要なネットワーク機器などを自社でまかなう形態

クラウドの将来性に目を付けたインターネットイニシアティブは、あとから増設できるデータセンターとして2011年に「松江データセンターパーク(島根県)」を、2019年には「白井データセンターキャンパス(千葉県)」を開設していました。もくろみ通り需要が増加したことから両施設は2022年に拡張が決定され、順次運用を開始する予定です。

出資先の破綻で経営危機 救ったのはあの企業

好調なインターネットイニシアティブも、過去には危機的な状況に陥ったことがありました。原因は出資先企業の業績不振でした。

インターネットイニシアティブは1998年10月、ソニーやトヨタ自動車と共同で通信キャリアのクロスウェイブ・コミュニケーションズ(以下:CWC)を設立します。データ通信専業の通信会社で、インターネットの拡大期に大きく成長し、2000年には米ナスダックに上場も果たしました。

しかし先行投資の負担や競合との価格競争が経営を圧迫し、CWCは資金繰りが悪化します。同社は自主再建を諦め、2003年8月に会社更生法の適用を申請しました。業績不振は出資者のインターネットイニシアティブにも波及しており、2002年12月期には債務超過に転落していました。

【当時の資本の推移(2002年6月期~2003年6月期)】

出所:インターネットイニシアティブ 決算短信

これを救ったのがNTT(日本電信電話)です。2003年9月に約120億円の第三者割当増資を引き受け、インターネットイニシアティブは債務超過を解消します。この資本取引により、インターネットイニシアティブはNTTグループ入りすることになりました。もっとも、グループ入りしてからもNTTは経営に積極的に介入せず、インターネットイニシアティブとは良好な関係が続いていたとみられています。

この関係性に変化が生じることとなったのは2023年5月のことです。NTTは今でもインターネットイニシアティブ株式の22.4%(2023年3月末時点)を保有する筆頭株主ですが、うち10%分をKDDIに譲渡することとなりました。NTTは筆頭株主の地位を維持しますが、インターネットイニシアティブはKDDIと人材交流も視野に入れた協業関係を構築するとしています。

文/若山卓也(わかやまFPサービス) 

若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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