「まるで前時代の遺物…」義実家の“謎の掟”に困惑も、離婚できない妻の事情
Finasee / 2023年8月31日 11時0分
Finasee(フィナシー)
昨年お見合いで結婚した彼は、都内の名家の御曹司で大手メーカーのエンジニア。しかも、スラッとした塩顔のイケメンです。私の両親は彼の実家から渡された相場の何倍もの結納金に目を丸くし、結婚式に招待した友人たちからは「由亜の旦那さん、超ハイスペックじゃん」と冷やかされました。
●前編:【誰もがうらやむ「玉の輿婚」の悲劇…新婚早々に生じた“ある違和感”】
新婚生活に起きた理解できない出来事玉の輿婚。そんな言葉に胸を躍らせた時期もありましたが、それもほんの一瞬でした。式の翌月には、私には理解できない出来事が相次いで起きたのです。
第一に、家賃や光熱費、食費などの生活費を彼が一切払ってくれないこと。私よりずっと高い給料をもらっているはずなのに、です。そして彼の実家を訪ねた際、彼が義母に分厚い封筒に入ったお金を渡しているのを目撃しました。
夫の給料は「義母」へ渡っていた意を決し彼に尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「自分は梶田家の長子だから、稼いだお金は梶田家に納める必要がある。祖父や父もそうしていた」「毎月の給料やボーナスはほとんど母に渡しているので、新居の家賃や光熱費を払う余裕がない」
「何それ?」と思いました。
結婚前は日常の生活費はクレジットカードで払って義母が管理する口座から引き落とし、大きな買い物をする際は義母に相談して現金を受け取っていたようです。結果として彼個人の名義の貯蓄はなく、会社の財形貯蓄や企業型DCを利用している程度とのことでした。
まだまだあった…義実家の謎ルールしかも、よくよく聞くと、梶田家には私の理解の斜め上を行くような決まり事が幾つもあったのです。彼の実家を訪れた際に私の寿司だけが並だったのもその1つで、嫁は跡継ぎを生むまで梶田家の一員と認められないのだそうです。
「それってお手伝いさんと同じってこと?」と尋ねると、目をそらされました。
一方で、結婚した義妹には梶田家から毎月10万円渡しているそうです。要は、日本の皇室で降嫁した内親王に渡される一時金のようなもので、家を出た娘も梶田家の品格を保てるように配慮しているのだとか。
「妹はちゃっかり全部自分の小遣いにしているみたいだけどね」と苦笑する彼を見て、どこまでお人よしなのかと腹が立ちました。専業主婦の義妹は10万円のお小遣いをもらって余裕しゃくしゃくなのに、わが家は私の手取り20万円余りの給料で生活費を賄わなければならず、毎月本当にあっぷあっぷです。
義母の言いなりになる夫の言い分「結婚して一家を構えたのに、お義母さんの言いなりになっているのはおかしいと思わないの?」と尋ねると、こんな話をしてくれました。
「母さんは厳しいおばあちゃんと同居していたから、もっと大変だったんだよ。父さんと結婚する前は地元の有名私立の教員をしていたのに『梶田家の嫁が職業婦人だなんて恥ずかしい』と言われて嫌々辞めたんだ」
思わず「私は働かせてもらっているだけマシだということ?」と突っ込みたくなりましたが、彼のつらそうな顔を見て止めました。
しかし、彼の口ぶりから、義父母が一刻も早く私たちに跡継ぎの男子が誕生することを望んでいて、そうなったら彼の実家で義父母と同居することになりそうなことはうすうす分かりました。あまりに一方的な押し付けへの嫌悪感で体が震えました。
そもそも、こんな前時代の遺物のような家庭がいまだに存在していることが信じられませんでした。
私自身、女性たちの代表として社会で活躍するような才覚があるわけではなく、女性の人権を強く主張するようなタイプでもありません。それでも、このまま義母と同じ「梶田家の嫁」としての人生を歩むのは絶対に嫌だと思いました。今なら間に合うと「離婚」の二文字も頭をよぎりましたが、思い切って行動できず、ここまで来てしまいました。
コロナ明けで友人たちの結婚式が続く中、お祝い金の出費もバカにならず、そう遠くない将来には私の貯金も底を突きそうです。そうなったらわが家はどうなるのか不安しかありません。
それでも離婚を選ばない理由それならなぜ離婚を言い出せないのかというと、やはり彼への執着があるように思います。
理不尽な家のしきたりにがんじがらめになっているのは情けないのですが、義母への言葉から分かるように人の気持ちに敏感で思いやりのある人です。そして、そうした優しさが日々自分に向けられているのも感じています。何より、外見は私のタイプど真ん中ですし……。
私自身のプライドもあり、私のことをうらやましがっている友人たちにこんな打ち明け話はとてもできません。かと言って、結婚を心から喜んでくれた両親にも相談はしづらく、日々悶々とする中、じりじりと時間だけが過ぎていくのです。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。
Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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