1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

“天涯孤独”の叔母が認知症に…唯一の親族が「面倒」と感じたある役割

Finasee / 2023年8月23日 11時0分

“天涯孤独”の叔母が認知症に…唯一の親族が「面倒」と感じたある役割

Finasee(フィナシー)

疎遠な親族の入所先からの連絡

絵美さん(仮名、55歳)はフリーのイラストレーター。30代のときに広告代理店から独立しました。10年ほど前に都心から電車で30分ほどの郊外に小さな一戸建てを購入し、アトリエ兼自宅にしています。絵美さんには長く交際しているパートナーがいますが、結婚はしていません。

絵美さんはイラストレーターとしての経験が長く、名前こそ一般には知られていませんが、その作品は誰もが目にしたことがあると言っていいほどさまざまなものに使われています。一人暮らしで、スタッフもアシスタントを1人雇っているだけなので、経済的にはかなり余裕があります。

両親は絵美さんが30代のときに相次いで病気で亡くなりました。独立のタイミングとも重なって大変でしたが、なんとか妹や親戚に助けられながら手続きなどをして乗り越えました。妹は国際線のCA(キャビンアテンダント)として忙しく働いており、帰国すると遊びに来ます。

絵美さんが外出先から戻ると、郵便が届いていました。母親の出身地の市役所からで、母親の妹(叔母)が市内の施設に入所しており、緊急時の対応をお願いできないかという内容でした。叔母とは長く会っていませんが、そういえば母親が存命中に、叔母が離婚したことや、その相手とのいざこざについて愚痴を言っていたことを思い出しました。妹は転居が多いせいか、どうやら手紙は届いていないようです。

絵美さんが市に連絡したところ、施設に連絡するよう頼まれ、面倒だなと思いながらも電話をしてみました。どうやら、叔母は元気にはしているものの軽度の認知症があり、基本的には施設の方で世話をするけれど、例えば入院したり亡くなったりした際には親族としていろいろと手続きなどをしてほしいという話です。叔母は母親との二人姉妹で子供がおらず、親族はもう絵美さんと妹しかいないのだそうです。絵美さんはいったん返事を保留して電話を切りました。

妹に連絡して話をすると、叔母との思い出がよみがえりました。アイススケートに初めて連れて行ってくれたことや、デパートでかわいい靴を買ってくれたこともありました。中学校に上がってからは会うこともなく、年賀状もずいぶん前に送るのをやめてしまいましたが、そこから連絡先が分かったのかもしれません。妹と話し合い、親には十分なことをする時間がなかったし、できることはしようと決め、施設にそう伝えました。

ところがパートナーに週末その話をしたところ、「借金があったら亡くなった後に肩代わりさせられるかもよ? しょっちゅう呼び出されるかもしれないし、うかつに引き受けないほうがいいんじゃないの?」と言われてしまいました。

●入院したら大変なことに? 続きは後半記事【認知症の叔母が忘れなかった「大切な思い出」 支援を決断した姪の心配】で紹介します。

沢村 香苗/日本総合研究所 スペシャリスト

東京大学文学部卒業。同大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻博士課程単位取得済み退学。研究機関勤務を経て、2014年に株式会社日本総合研究所に入社。研究・専門分野は高齢者心理学、消費者行動論で、「高齢者の身元保証人、身元保証等高齢者サポート事業に関する調査研究」など実績多数。著書に『自治体・地域で出来る!シニアのデジタル化が拓く豊かな未来』(学陽書房)。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください