日経平均とTOPIXは何が違う? 知ってるようで知らない「株価指数」の違い
Finasee / 2023年9月12日 11時0分
Finasee(フィナシー)
日々のニュースで取り上げられる“経済指標”。投資のみならず、ビジネスパーソンとして日本経済、世界経済の現状や“その先”を読み解くのにも必須です。
話題の書籍『経済指標 読み方がわかる事典』では、人気経済アナリストの森永康平氏が指標64項目の読み方と使い方を優しく解説。今回は同書の11章「株価や貨幣量がわかる指標」を特別に公開します。(全3回)
※本稿は、森永康平著『経済指標 読み方がわかる事典』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
「株価指数」とは先行きを推察できる株価の変動株価指数とは、複数銘柄の株価の動きを表す指標です。日本の代表的な株価指数としては、日経225(日経平均株価)やTOPIX(東証株価指数)などがあります。
株価は、言葉の通り株式の価格です。日本の証券市場では、2021年9月末時点で3,700社以上が上場しており、取引時間中はリアルタイムに株価が変動しています。株価の動向を見る際、すべての会社の株価を見るのは大変です。そこで、取引所全体や特定の銘柄群の株価の動きを表す株価指数が公表されています。
一般的に、株価指数は景気に先行します。そのため、株価指数の動きを観察しながら、その変動要因を考えると、世界中の投資家が先行きをどう予測しているか、推察することができます。
株価指数は、証券市場に上場している企業の株価をもとに算出した指標です。そのため、株価指数が上昇していても、街角の景気判断では不況であるといった乖離が生じることがあることに注意しましょう。なぜなら、株式市場に上場できるような企業と、商店街にある昔ながらの小料理屋や八百屋は企業の体力、資本力や信頼感など、あらゆる点で違うからです。
株価を見る際の注意事項投資家は、他の投資家よりもいち早く好材料を見つけて安い段階で投資をしようとします。その結果、株価は景気に先行して動くといわれます。しかし、景気と株価は必ずしも一致せず、「不況下の株高」という現象もよく起こります。
景気は株価だけで予測できるほど単純ではないため、なぜ株価が上昇(下落)しているのか、理由を複数考えることが重要です。投資家たちが、どのような未来を予測しているのか、何が株価を動かしたイベントなのか、などを考えましょう。
株価の動きから景気を予測するOECD(経済協力開発機構)が公表する日本の景気先行指数と日経平均株価の変動率を重ねます。
OECD景気先行指数と株価の推移(前年同月比)株価が景気先行指数にさらに先行していることがわかります。この例からも株価が景気の現況に対しては大幅に先行するということが理解できるでしょう。
株式市場が存在する国にある株価指数株式市場が存在する国では、その国を代表する株価指数があります。日本では、「日経平均株価」と「東証株価指数」の2つが、アメリカでは「NYダウ」「S&P500」「NASDAQ」の3つが代表的な株価指数です。
取引時間中は、リアルタイムにデータが更新されます。しかし、リアルタイムに更新されるデータを見るためには証券会社で口座開設をして証券会社のホームページで確認したり、経済ニュースメディアなどの有料会員になったりする必要がある場合がほとんどで、一般的には15分遅れなど、少し遅れたデータを見ることになります。
日経平均株価日本でもっとも有名な株価指数が、「日経平均株価」です。「日経平均」や「日経225」と呼ばれることもあります。
ニュース番組で、「今日の日経平均は前日から〇〇円高い△△円となっています」という内容を聞いたことがある方も多いかと思います。
日経平均株価は、日本経済新聞社が東証プライムに上場する企業のなかから、業種などのバランスを考慮して選んだ、日本を代表する225社の平均株価のことです。ニュースなどで株式市場が好調というときは、日経平均が上昇傾向にあることを指しています。
TOPIX(東証株価指数)TOPIX(東証株価指数)と呼ばれる株価指数も有名です。
日経平均株価よりも指数の算出に用いる会社数が多く、東証1部上場の全銘柄(2021年9月末時点:2,174社)を対象として、各銘柄の浮動株数をもとに時価総額を合計して計算しています(2022年4月の市場再編は流通時価総額などをもとに対象銘柄を段階的に見直し)。1968年1月4日を基準日として、当時の時価総額を100として指数を算出しています。
運用会社が日本株のパフォーマンスを説明する際にベンチマークとして用いるのはTOPIXであることが多いです。
米国に存在する代表的な株価指数NYダウ
正式名称は「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」であり、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が、アメリカのさまざまな業種の代表的な30銘柄を選出し、ダウ式平均株価にて算出しています。
計算方法はダウ式と呼ばれる、株価をすべて足し合わせて除数で割るという方法を採用しています。株価平均委員会(Average Committee)メンバーにより銘柄の見直しが行なわれ、主に企業の評判、成長の持続性、投資家の関心などを総合的に評価して決定されます。
S&P500S&P500は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスという会社によって算出され、ニューヨーク証券取引所、NASDAQに上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を浮動株調整後の時価総額比率で加重平均し、指数化します。
S&P500の組入銘柄は、時価総額や流動性、浮動株の比率や業績など、さまざまな条件によってスクリーニングされ決定されます。さまざまな条件を満たす会社を選別した後に、そのなかから業種のバランスを加味したうえで決定されます。
NASDAQNASDAQは、アメリカのナスダック市場に上場する全銘柄で構成する時価総額加重平均型の指数です。
アップル社やマイクロソフト社が上場しているため、ハイテクやネット関連業界の動向を把握するための指標でもあります。
●第2回(投資するならチェック! 経済活動が活発かどうかを把握する“重要指標”)では、金融緩和の規模を確認するのにも役立つマネーストック統計の読み方について解説します。
『経済指標 読み方がわかる事典』森永康平 著
発行所 日本実業出版社
定価 1,980円(税込)
森永 康平/経済アナリスト /マネネCEO
証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。日本証券アナリスト協会検定会員。経済産業省「物価高における流通業のあり方検討会」委員。著書は『親子ゼニ問答』(角川新書)、『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)など多数。
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