今さら聞けない!? 日銀「異次元緩和」のキーワード“マネタリーベース”って何?
Finasee / 2023年9月12日 11時0分
Finasee(フィナシー)
日々のニュースで取り上げられる“経済指標”。投資のみならず、ビジネスパーソンとして日本経済、世界経済の現状や“その先”を読み解くのにも必須です。
話題の書籍『経済指標 読み方がわかる事典』では、人気経済アナリストの森永康平氏が指標64項目の読み方と使い方を優しく解説。今回は同書の11章「株価や貨幣量がわかる指標」を特別に公開します。(全3回)
●第2回:投資するならチェック! 経済活動が活発かどうかが分かる“重要指標”
※本稿は、森永康平著『経済指標 読み方がわかる事典』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
日本銀行が供給する貨幣量から金融政策を読むマネタリーベースとは、日本の中央銀行である日本銀行が世の中に直接的に供給するお金のことを指します。「資金供給量」ともいい、紙幣と貨幣の発行高(現金)と、金融機関が決済などのために日銀に預けている当座預金残高の合計です。
日本銀行は、景気が悪くなる局面で資金供給量を増やす一方、景気が良くなる局面では資金供給量を減らすため、マネタリーベースは日銀がどの程度資金を供給しているか、金融政策の姿勢を示す1つの指標になります。
マネタリーベースを調整することで、景気の下支えをしたり、過度のインフレやバブル、デフレの発生を防いだりして、安定的な経済成長に誘導しています。
具体的にいうと、市中に出回っているお金、つまり流通現金(日本銀行券発行高+貨幣流通高)と日本銀行当座預金を合計した値になります。式で書くと以下のようになります。
マネタリーベース=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」
マネタリーベースの推移と金融政策2013年4月に、日本銀行はマネタリーベースを2年間で2倍に急増させる「量的・質的金融緩和政策(異次元金融緩和政策)」を開始しました。長期間マイナスだった消費者物価上昇率を押し上げて、年間で+2%前後で安定させることを目標として、年間60兆〜70兆円という大量の資金供給を行なう政策です。
しかし、マネタリーベースには上述のように家計や企業で流通しているお金の量だけではなく、日本銀行当座預金も含まれているため、マネタリーベースが増えているから経済活動が活発と言い切ることはできません。
実際に2013年4月に「量的・質的金融緩和政策」を開始したものの、翌年に消費増税をしたため、日本銀行が目標としていた安定的な物価上昇は達成できないままとなりました。
(出所)日本銀行「マネタリーベース」、総務省統計局「消費者物価指数」をもとに作成日銀当座預金とは?マネタリーベースに含まれる日本銀行当座預金とは、日本銀行が取引先の金融機関等から受け入れている当座預金のことです。一般的には「日銀当座預金」と呼ばれます。
日銀当座預金には主に以下の3つの役割があります。
1:金融機関が他の金融機関や日本銀行、あるいは国と取引を行なう際の決済手段
2:金融機関が個人や企業に支払う現金通貨の支払準備
3:準備預金制度の対象となっている金融機関の準備預金
ちなみに、3の準備預金制度とは、対象となる金融機関に対して「受け入れている預金等の一定比率以上の金額を日本銀行に預け入れること」を義務づける制度です。
このようにして日本銀行に当座預金または準備預り金として預け入れなければならない最低金額を「法定準備預金額」といいます。
『経済指標 読み方がわかる事典』森永康平 著
発行所 日本実業出版社
定価 1,980円(税込)
森永 康平/経済アナリスト /マネネCEO
証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。日本証券アナリスト協会検定会員。経済産業省「物価高における流通業のあり方検討会」委員。著書は『親子ゼニ問答』(角川新書)、『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)など多数。
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