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株式25分割で話題のNTT 気になる株主優待と配当はどうなる? 

Finasee / 2023年9月1日 17時0分

株式25分割で話題のNTT 気になる株主優待と配当はどうなる? 

Finasee(フィナシー)

日本電信電話(以下:NTT)は2023年5月、1:25の株式分割を発表しました。従来の25分の1の資金で買えるようになったため、投資家の拡大が予想されています。新たに投資を検討している人は少なくないでしょう。

【NTTの業績】

  売上高 純利益  2022年3月期 12兆1564.47億円 1兆1810.83億円  2023年3月期   13兆1361.94億円   1兆2131.16億円  2024年3月期(予想)   13兆0600.00億円 1兆2550.00億円

※2024年3月期(予想)は、同第1四半期時点における同社の予想

出所:NTT 決算短信

【NTTの株価(月足、2020年7月~2023年7月)】

出所:Investing.comより著者作成

NTTは収益性と市場評価性の高さが認められ「JPXプライム150指数」に選ばれています。今回は通信業界のリーディング企業、NTTにフォーカスしてみましょう。同社の事業内容や次世代ネットワーク構想「IOWN(アイオン)」、さらに配当金と株主優待について紹介します。

33万人が働く国内最大の通信グループ

NTTは1985年、通信事業の民営化に伴い誕生しました。1988年にはNTTデータが、1991年にはNTTドコモが設立され、次第に巨大なグループを形成します。

現在、NTTグループは918の子会社と145の関連会社で構成されており、従業員の数は33万人にも上ります(2023年3月末)。時価総額(※)は情報通信業で最大、上場企業全体でも3位に入る国内屈指の大企業です。

【事業別の従業員数(2023年3月末時点)】 

  主な子会社 従業員数  総合ICT事業  NTTドコモ 4万7151人  地域通信事業  NTT東日本
 NTT西日本 7万0317人  グローバル・ソリューション事業   NTTデータ  19万5106人  その他(不動産・エネルギー等)  NTTアーバンソリューションズ 
 NTTアノードエナジー 2万6077人 合計 ─ 33万8651人


出所:NTT 有価証券報告書

【時価総額ランキング上位3銘柄】
 
・1位:トヨタ自動車(38兆6746.78億円)
・2位:ソニーグループ(15兆1455.92億円)
・3位:NTT(14兆7506.46億円)
・参考)8位:KDDI(9兆6852.08億円)
・参考)11位:ソフトバンクグループ(9兆5049.89億円)
※2023年8月16日終値時点

出所:日本経済新聞 日本株ランキング

通信業界の巨人として君臨するNTTですが、近年は通信サービス以外の伸びが顕著です。システムインテグレーション(※)や不動産・電力販売などが成長しており、音声通信やデータ通信の停滞を補っています。

※システムインテグレーション:顧客企業にシステムの設計や構築、保守などを行うサービス

【サービス別の売上高】 

   2022年3月期   2023年3月期   増減率   固定音声関連 9161億円 8712億円 -4.9%  移動音声関連  1兆1025億円 1兆464億円 -5.1%  IP系・パケット通信 3兆4448億円  3兆4440億円 -0.0%  通信端末機器販売 6947億円 7562億円 8.9%  システムインテグレーション  4兆0081億円 4兆5465億円 13.4%  その他
(不動産賃貸、電力販売など) 1兆9902億円 2兆4720億円 24.2%


出所:NTT 有価証券報告書

成長分野に8兆円の投資 NTTが目指す「IOWN」構想とは

NTTは2023年5月に新中期経営計画を公表し、5年間でEBITDA(※)を20%増加させる目標を明かしました。実現のため2027年度までに成長分野で約8兆円、既存分野で約5兆円の投資を行うとしています。

※EBITDA(イービットディーエー):Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortizationの略。一般に支払利息と減価償却費を加えた税引き前利益を指す。

【中期経営計画の財務目標(~2027年度)】

  主な事業領域  EBITDA成長率 
(対2022年度)
 成長分野   IOWN、デジタル・データセンター、
 電力・エネルギー、スマートライフ、
 不動産、AI・ロボット 40%  既存分野  NTTドコモ(コンシューマ通信事業)、 
 NTT東日本、NTT西日本 10% 全体 ─ 20%


出所:NTT NTTグループ中期経営戦略

成長分野の中核をなすのが「IOWN(アイオン)」です。Innovative Optical&Wireless Networkの略で、大容量・低遅延・低消費電力のネットワークを目指す構想を指します。光技術ベースのネットワークを構築することで、従来の電子通信ネットワークと比較し伝送容量125倍、遅延200分の1、電力効率100倍の実現を目標としています。

2023年3月には商用化も始まりました。ネットワーク全区間に光波長を用い、遅延を従来の200分の1に低下させた「オールフォトニクス・ネットワークIOWN 1.0」がNTT東日本とNTT西日本から提供されています 。

デジタル化のさらなる進展が予想される中、円滑なネットワークに対する需要はより強まることが期待されます。IOWNの実現は、NTTをさらに成長させるかもしれません。

分割で人気化 配当+優待利回りはどれくらい?

冒頭に紹介した通り、NTTは株式を25分割しました。株価を25分の1にすると同時に、株数を25倍にする手続きです。

国内株式は原則として100株単位で売買しなければならず、分割前はおよそ44万円の資金が必要でした。分割後は1万円台で投資できることとなり、投資家の増加が期待されています。事実、株主の数は2023年3月末(91.9万人)から同年6月末(108.6万人)までに18%以上も増加しました 。

【NTTの株式分割後の株価】

   株価(終値)   最低投資額   2023年6月28日 4405円 44.1万円  2023年6月29日  171.2円 1.7万円

 

株式分割に伴い、配当金も25分の1に変更されました。2024年3月期は中間配当で1株あたり2.5円、期末配当で2.5円、計5円の配当金が予想されています。株価を170円とすると配当利回りは約2.9%となる計算です。

一方、株主優待の条件は変更されませんでした。100株以上保有する株主を対象に「dポイント」を付与するもので、保有期間が2年以上3年未満に初めて達した年に1500円相当、さらに保有期間が5年以上6年未満に初めて達した年に3000円相当のポイントが与えられます。つまり、最長6年間保有すると計4500ポイントのdポイントが付与される仕組みで、以降は保有を続けても優待はありません。

【例:2023年8月に100株投資した場合の株主優待】

  保有期間  株主優待 
 (dポイント) 
 2024年3月期   0年以上~1年未満  ─  2025年3月期 1年以上~2年未満 ─  2026年3月期   2年以上~3年未満 1500円ポイント  2027年3月期 3年以上~4年未満 ─  2028年3月期 4年以上~5年未満 ─  2029年3月期 5年以上~6年未満 3000円ポイント

 

これらの条件が維持されるなら、NTT株式を100株保有すると6年間で3000円の配当金と4500円相当のdポイントが付与される計算です。株価を170円と仮定すれば、投資額に対する配当金および株主優待の割合は6年間で約44.1%、1年あたりで約7.4%にもなります。NTTの株主が増加したのは、分割で優待利回りが相対的に上昇したことも理由にありそうです。

もっとも、配当金と株主優待は変更される可能性があります。また株価は常に変動しており、配当金や株主優待の額以上の値下がりが起こる可能性も否定できません。投資の際はこれらのリスクに十分配慮し、慎重に判断するようおすすめします。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)

若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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