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一時は任天堂超え ガンホーを押し上げた『パズドラ』の威力とは

Finasee / 2023年9月5日 17時0分

一時は任天堂超え ガンホーを押し上げた『パズドラ』の威力とは

Finasee(フィナシー)

『パズドラ』を手掛けるガンホー・オンライン・エンターテイメントは、株式市場では代表的なゲーム株式として知られます。値動きが比較的大きく、知名度の高さもあって個人投資家から人気を集めています。

【ガンホー・オンラインの業績】

  売上高 純利益  2021年12月期  1046.26億円  228.83億円  2022年12月期 1055.05億円 190.22億円  2023年12月期(予想)   非開示 非開示

※2023年12月期(予想)は、同第2四半期時点の同社の予想

出所:ガンホー・オンライン・エンターテイメント 決算短信

【ガンホー・オンラインの株価(月足、2020年7月~2023年7月)】

出所:Investing.comより著者作成

ガンホーは比較的若い企業ながら、収益性の高さから「JPXプライム150指数」に選出されています。

ガンホーとはどのような企業なのでしょうか。歴史と事業内容を紹介します。

ソフトバンクグループ設立のゲーム会社

ガンホーはソフトバンクグループによって設立された企業です。1998年にアメリカのオークション企業と共同で設立され、代表には孫泰藏(そん・たいぞう)氏が就きました。泰藏氏はソフトバンクグループの創業者、孫正義(そん・まさよし)氏の弟にあたる人物です。 

当初はオンセールという社名でオンラインオークション事業を手掛けていました。ゲーム事業へ舵を切ったのは2002年のことです。現在の社名に変更し、韓国のグラビティ社が提供していた人気オンラインゲーム『ラグナロクオンライン』の日本運営権を買い取ってサービスを開始しました。

その後もPC向けオンラインゲームを中心にリリースします。現在はスマートフォン向けの『パズル&ドラゴンズ』や家庭用ゲーム機向けの『ニンジャラ』など、複数の人気タイトルを抱えるゲーム会社へと成長しました。

【ガンホーの主なゲームタイトル】 

 スマートフォン   家庭用ゲーム機、PCオンライン  ・パズル&ドラゴンズ
・ケリ姫スイーツ
・TEPPEN(テッペン)
・ラグナロクオリジン    ・ニンジャラ
・ラグナロクオンライン
・パズドラGOLD
・LET IT DIE(レット イット ダイ)

 

なお、ガンホーは2015年にソフトバンクグループから株式を買い取ることで連結から外れており、翌年にはさらに保有株式のほとんどを取得して持分適用会社からも外れています 。

『パズドラ』で躍進 株価100倍の大相場を形成

ガンホーの躍進は『パズル&ドラゴンズ』がきっかけでした。2012年のサービス開始からおよそ1年で1,000万ダウンロード突破の大ヒットとなり、業績を強く押し上げます。リース年の純利益は前期比で約5倍、2014年度では約37倍へと急増しました。

【当時の純利益(2011年12月期~2014年12月期)】
2011年12月期:16.57億円
・2012年12月期:82.09億円
・2013年12月期:547.68億円
・2014年12月期:620.38億円

出所:ガンホー・オンライン・エンターテイメント 決算短信

株価も大きく値上がりします。2013年5月には1万6330円の高値を付け、1年前の安値(142.7円)から114倍へと上昇しました。一時は時価総額が任天堂を超え、ソニーグループに迫るほどでした。

【当時の株価(月足、2011年12月~2013年12月)】

出所:Investing.comより著者作成

パズル&ドラゴンズは現在も人気があり、2023年8月には累計ダウンロードは6100万件を突破しています。シリーズの売上高構成比は全体の48.1% (2022年度)を占めており、ガンホーの屋台骨となっています(出所:ガンホー・オンライン・エンターテイメント 有価証券報告書)

実はグローバル企業 売上高の7割は海外由来

急成長したガンホーは、創業タイトル『ラグナロクオンライン』を開発したグラビティを買収し子会社化 しました。現在、グラビティは主に海外事業を担っています。

近年では東南アジア向けに配信を開始した『ラグナロクオリジン』がヒットしました。2023年4月にリリースするとタイやフィリピンなどでダウンロード数・売上ともに1位を獲得し、業績に大きく寄与しています。同年第2四半期時点で海外売上高比率は69.6%にまで上昇しました。全体の売上高も直近5年間で最大となっており、好調な様子がうかがえます。

【海外売上高比率の推移】

出所:ガンホー・オンライン・エンターテイメント 決算説明会資料より著者作成

【連結売上高の推移】 

  第2四半期 通期  2019年12月期   586.77億円   1013.92億円  2020年12月期 421.89億円 988.44億円  2021年12月期 510.36億円 1046.26億円  2022年12月期 466.35億円 1055.05億円  2023年12月期   676.71億円 ─


出所:ガンホー・オンライン・エンターテイメント 財務・業績ハイライト

ガンホーは北米や欧州地域の強化も図る方針を示しており、グローバル配信を前提とした新作タイトル5本を開発中です。

北米や欧州のゲーム市場は規模が大きく、国内のゲーム会社の多くが進出を狙う地域です。競合は少なくありませんが、進出に成功すれば業績にはプラスに働くでしょう。次の成長は海外事業の成否が握っているといえそうです。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)

若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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