「インデックス運用一択」ではもったいない!? アクティブ運用の重要度が高まるワケ
Finasee / 2023年9月15日 15時0分
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Finasee(フィナシー)
今注目の書籍の一部を公開して読みどころを紹介するシリーズ。今回は、投資信託の運用現場や投資の考え方について詳しく紹介したインベスコ・アセット・マネジメントの『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』の一部を特別に公開します(全3回/本記事は第2回)。
●第1回(インフレ時代に転換した今―「世界株式」への投資に注目すべき”これだけの理由”)を読む
※本記事はインベスコ・アセット・マネジメント著『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』(KKベストセラーズ)から一部を抜粋・再編集したものです。
世界株式への投資によって得られるリターンそれでは実際に、世界に視野を広げて投資をすることでどのような収益が期待できるのかを見てみます。過去20年間のリターンを振り返ってみましょう。図表1は2002年12月末からの20年間について、日本株式のみに投資した場合と、日本を含む世界株式に投資した場合のリターンを比較しています。日本株式のみに投資した場合でも3倍以上のリターンが実現していますが、世界株式は日本株式のみの場合のさらに約1.8倍のリターンとなっています。世界には高い収益力を誇る企業が数多く存在していることがこの結果に影響している要因と考えられます。
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一方で、20年間ずっと投資し続けた人は確かにこのリターンを得られたかもしれませんが、投資を始めるタイミングは人によって違うので実現したリターンも人によってまちまちではないかと考える方もいるでしょう。
この疑問に答えるため、図表2では、過去20年の株式市場において、世界株式に異なるタイミングで10年間投資した場合にどのようなリターンを得ることができたかをシミュレーションしました(図表2)。過去20年の世界経済は、リーマン・ショック(2008年)、チャイナ・ショック(2015年)、コロナ・ショック(2020年)など、様々な危機に見舞われています。どのタイミングで投資を始めてもプラスのリターンが得られるという結果を意外と思われる方もいるかもしれません。市場危機の都度、株式市場は一時的には大幅に下落するものの、投資を継続することで市場の回復を捉えることができ、結果としてプラスの収益を実現できました。これこそが、長期投資の重要性を物語る結果といえそうです。
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世界株式への投資といっても、1つではありません。図表3にある通り、主に3つの投資方法があります。
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それぞれの特徴は、表の通りですが、ここではアクティブ・ファンド投資(=アクティブ運用)の重要性についてお伝えします。対比される投資方法として、インデックス・ファンド投資があります。インデックス・ファンドへの投資は、S&P500指数やMSCIワールド・インデクスなどの株式指数に連動するファンドを購入するものです。
一方、アクティブ・ファンドへの投資は、ポートフォリオ・マネジャーと呼ばれる投資の専門家が銘柄を選択して構成したファンドを購入するものです。インデックス運用と異なり、ポートフォリオ・マネジャーが個別銘柄の投資魅力度を評価し、リスク面を考慮しながら配分比率を決めていきます。個々の銘柄の調査を徹底的に行った上で投資を決定することから運用報酬などのコストがインデックス運用と比べて高くなりますが、メリットとして、インデックスよりも高いリターンを狙ったり、下落時の損失を抑えたりすることが期待できます。
インデックス運用の人気は続く?低金利環境が株式市場全体の追い風となり、ほぼ一貫して上昇相場が続いた2011〜2021年までの約10年間は、多くのアクティブ・ファンドのパフォーマンスがインデックス・ファンドに劣後する結果となりました。投資の拡大を後押しする政策が各国で取り入れられた時期と重なることもあって、インデックス・ファンドが圧倒的に人気でした。しかし、この先の世界の未来、投資の未来を考える上では、この間に生じたインデックスの構成変化にも注目しておく必要があるでしょう。
インデックス運用の特徴は、指数を構成するすべての銘柄を指数の構成比率に応じて購入するという点です。仮に個々の銘柄株価水準(バリュエーション)が割高になっても、その結果時価総額が増えてインデックス内の構成比率が高まれば、機械的に配分を増やすことになります。過去10年間においては「GAFA」もしくは「GAFAM」と呼ばれる米国の大型テクノロジー企業に投資資金が集中し、情報技術セクターのバリューション上昇が指数全体のバリュエーション上昇を牽引しました。
過去年間のGAFAMブームの影響は、米国株式だけでなく、世界株式の指数の構成にも影響を及ぼしています。
図表‐4は、MSCIワールド・インデックスの過去の上位銘柄の構成比率を示したものです。上位銘柄が指数全体に占める割合は2012年の約10%から、最大で2021年の約19%と膨らみ、時価総額の大きい銘柄が指数のおおよそ5分の1を占めるまでに上昇しました。業種別の構成比率も、10年前は約12%であった情報技術セクターが2021年には約24%となり、約2倍です。さらに、投資対象国・地域も米国株式の比率が上昇しています。世界株式指数における米国株式の比率は約52%(2012年末時点)であったのが、10年後には約66%(2022年末時点)となりました。このような構成比率の変化はインデックス運用に直接的な影響を与えます。多くの銘柄を組み込むはずのインデックス運用でも、業種別では情報技術に、国別では米国に大きな偏りが発生しています。
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2022年までの10年間を振り返ると、2008年のリーマン・ショック後、2020年のコロナ・ショックも経て、長年超低金利環境が続いた異例の市場環境であったことから市場全体で米国の情報技術セクターを中心に株価水準(バリュエーション)の上昇がけん引して株式市場の上昇傾向が続く展開となりました。
しかし、こうした異例の金融環境下で発生したこの状況は金融環境が正常に戻るにつれて変化し、バリュエーションも長期の平均水準に回帰しつつあります。
今後金利が高止まりする環境の下では、株式の期待リターンにおいてバリュエーションの上昇よりも利益成長や配当が中心的な役割を果たすとの前提に立つと、日本を含めた世界の企業の中から優れた成長戦略と株主還元姿勢をもつ企業を、徹底的な調査・分析によって厳選するアクティブ運用の重要性が一段と高まってくるといえるのではないでしょうか。
●プロの運用者はどのように銘柄を選んでいるのか? 第3回(世界屈指の資産運用会社が“投資アイデア”を生み出す「環境」と「哲学」)へ続く>>
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インベスコ・アセット・マネジメント著『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』(KKベストセラーズ)
インベスコ・アセット・マネジメント
独立系資産運用会社インベスコの日本拠点。内外の公的年金・企業年金、事業法人、銀行や保険会社など機関投資家を対象に、株式や債券などの伝統的な投資戦略からオルタナティブなど非伝統的な投資戦略まで幅広い商品およびサービスを提供している。また、銀行・証券会社・保険会社などを通じて個人投資家向けの投資信託およびサービスも提供している。
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