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地方移住から「2年」でUターン…一家が“勇気ある撤退”を決断できた理由

Finasee / 2023年9月14日 11時0分

地方移住から「2年」でUターン…一家が“勇気ある撤退”を決断できた理由

Finasee(フィナシー)

コロナ禍で地方移住という選択肢を選んだ人は少なくないと思います。私たち一家もそうでした。しかし、新天地の山梨での生活が始まってしばらくすると、徐々に息苦しさを覚えるようになりました。

●前編:【一家で地方移住した40代男性、苦痛になった“田舎独特の生きづらさ”】

移住から2年で気付いたミスマッチ

1つの要因は、よく言われることですが、密過ぎる人間関係です。高齢化が進む地方では40代の私たち夫婦も「若手」扱いで、地域の会合や催し物がある度に呼び出されるのには閉口しました。留守宅に平気で上がり込んでくるような“間合いの近さ”にも抵抗を感じてしまいます。

また、当初期待したほど家計が改善されていないことも気になっていました。スーパーに行くにも車を走らせなければならないこのエリア。暮らしていくにはどうしても車2台が必要で、税金や保険料といった維持費に加え、最近のガソリン価格の上昇がわが家の家計に重くのしかかっています。

そして、家族の状況も移住当初から大きく変化しました。今年中学2年生になった上の息子はデータサイエンティスト志望で、有名国立大学の理学部への進学を目指しています。大学受験に万全を期すため、地元の公立高校でなく、都内の私立高校に進学したいと言い出したのです。

私自身も今の仕事に行き詰まりを感じていて学生時代からの親友に愚痴ったら、「本気に東京に戻ってくるつもりなら、お金のことなんかも含めて一度、専門家に相談した方がいいんじゃないか」とファイナンシャルプランナー(FP)の香川さんを紹介されました。

上の息子の進学問題は急を要する問題だけに、すがるような気持ちで香川さんにメールを送りました。すると、早速その日の夜、香川さんから直接電話がかかってきたのです。

香川さんからの核心を突いたアドバイス

「はじめまして、香川です。メールを拝読してお急ぎのようだったので、お電話を差し上げました。よろしければこの週末にでも一度、オンラインで面談いたします。ご都合のいい時間帯をご指定ください」

耳に心地よく響く低音ボイス、落ち着いた語り口に、「この人は信頼できそうだ」と思いました。その印象は、オンライン面談でも全く変わりませんでした。

私の話をひと通り聞いた後、香川さんは言いました。

「南さん、それは“勇気ある撤退”ですよ。コロナ禍での移住はやむを得ない選択だったと思います。しかし、今は事情が変わってきているわけですし、家族みんなが我慢しながら今の場所にとどまる必要はないのではないでしょうか」

そして、こう続けたのです。

「東京での生活基盤を築く鍵を握るのは、香川さんの仕事です。幸い今、コロナの5類移行でイベントや旅行業界は回復が進み、売り手市場になっています。以前一緒にお仕事をされていた方に声をかけたり、転職サイトに登録してみたりしてはいかがでしょう? 当面のご長男の学費については、正直、それほど心配はないと思います。東京都では私立高校の授業料が実質無償化されていますし、受験に関しても、ご長男の学力なら塾の特待生制度が利用できるかもしれません」

香川さんのアドバイスを家族に伝えると、みんなの表情が緩むのが分かりました。進学の事情を抱える上の息子だけでなく、妻や下の息子も新しい環境で無理を強いられてきて、ようやくそこから解放されることに安堵したのでしょう。

早速Uターンに向けて行動開始!

「善は急げ」ですぐに転職活動を始めました。香川さんの言う通り、イベント業界は慢性人出不足で、幸運にも私は前職の広告代理店の時よりも好条件で別の代理店に職を得ることができました。

住まいに関しても、上の子が希望する私立高校からそれほど遠くない私鉄沿線の駅から歩いて15分ほどのリーズナブルな賃貸物件に入居できました。これも香川さんの助言が役立ちました。

「急行の停まらない駅で徒歩10分以上、周囲に新築のアパートが多いエリアを探してみてください。高い確率で掘り出し物件があるかと思います」。まさにその通りの場所で、新居を見つけたのです。

都内の不動産価格や賃貸価格の急騰の話は耳に入っていましたから、住まいは大きな課題でした。いざという時は少々遠くなりますが、埼玉県内の私の実家に同居させてもらうことも考えていたくらいです。

上の子も香川さんの言った通り、高校受験の有名塾で特待生になることができました。

東京での就職先が決まった後はすぐに移住先でお世話になった人たちに報告とおわびを入れました。そして夏休みを利用して引っ越しを済ませ、この9月から東京での新生活をスタートさせたところです。

山梨の人たちは「いいご一家が移住してきてくれたと喜んでいたので残念だ」と別れを惜しみ、盛大な送別会を催してくれました。

南さん一家が都内へ戻れた理由

私たち家族だけだったらとても、ここまでの迅速な決断、そして行動はできなかったと思います。「勇気ある撤退」と背中を押し、ご自身もお忙しい中で的確なアドバイスやサポートをしてくださった香川さんのおかげです。

引っ越し後に改めて香川さんの事務所にあいさつにうかがった際に聞いたのですが、私と同年代の香川さんは、転職情報会社、代理店、不動産会社、独立系FP会社……など10社近くを渡り歩いた末に独立したのだそうです。雇用が流動的になり働き方も多様化している今ならともかく、私たちの世代では珍しいことです。

「何でも一発でうまくいく人なんて、そうはいませんよね? 私自身、基本的に人生はトライ&エラーの連続だと思っています。確かに就職面接で『転職が多いね』と言われたことはありますが、おのおのの会社での経験は今、FPとして活動する上で役に立っています。無駄なキャリアは1つもありません」

香川さんのような方との出会いがあったからこそ、私たちはこうして東京に戻って来られたのだと思います。

とはいえ、私たちは人生をリセットしたばかりです。相変わらず懐具合は厳しいままで、今後は子供2人の教育費の負担も増えます。

これまでは私の扶養に入ることを優先して「年間103万円の壁」を越えない範囲で収入を得てきた妻の働き方をどうするか、来年からスタートする新NISA(少額投資非課税制度)をどう使っていけばいいのかなど、香川さんに教えていただきたいことが山ほどあります。

今後も人生の指南役として、迷える私たちに道を示していただけたらと思います。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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