「完全に迷った…」山で遭難した父。‟ヘリ2台出動“の救出劇に支払った費用は…
Finasee / 2023年9月21日 11時0分
Finasee(フィナシー)
親が病気になったり、介護が必要な状態になったりしたら、親の家計だけで費用を負担できるだろうか。親が無駄遣いしているように見えるけれど、家計は大丈夫だろうか。そんな風に子が親の家計を心配することは珍しくありません。
この不安をなくすには、とにもかくにも親と話をするに尽きるのですが、親とお金の話をするのはやや気が引けてしまうものです。ただ、会話のきっかけが見つかれば話しやすくなるかもしれません。
今回は筆者の実父が山で遭難した、なんとも迷惑な実話を元に、親とのお金の会話をする方法、その際に必ず聞いておきたいポイントについてお話しします。
趣味の登山で父が遭難!父の趣味は登山で、登山歴は40年近くになります。遭難した日も、いつものように車で登山口まで行き、車から降りて山を登り始めました。標高約500メートルの山で、ゴールである頂上に到着。頂上からの眺めを満喫した後、下山しました。
その山には、非常に歩きづらい難所があるらしいのですが、父はその難所を通過し30分ほどたった頃、ある異変に気づきました。もうとっくに見えてもいいはずの看板が、いつまでたっても見えないのです。
どうやら、難所を通過した安心感からかぼんやり歩いてしまっていたようで、曲がるべき道を曲がらずに歩いてしまったようです。おかしいと思い引き返したものの、いつまでたっても元の道には戻れません。1時間ほど歩き続けたのち、「これは完全に迷った」と判断し、携帯から119番に通報しました。
懸命に行われた救助活動の末…父の通報を受け、県警による救助活動がスタートしました。母の携帯には何度も警察から連絡が入り、とうとう「対策本部を立ち上げました」と告げられました。
その後、遭難した場所が滋賀県と三重県の県境にあったため、滋賀県警と三重県警の両方からヘリコプターが1機ずつ、なんと父1人のために2機のヘリコプターが出動したそうです。
父の携帯には「ヘリコプターの音は聞こえますか?」「どっちの方向にヘリコプターが見えますか?」などと救助隊から電話が入り、居場所を特定するための質問が続きました。ヘリを見つけた父はヘッドランプの光をヘリの方に向け、最後には無事救助されました。
救助にかかった費用は?さて、救助のためにヘリが出動したとなると、「一体いくらかかるのだろう?」と疑問に思った人もいるかもしれません。驚くことに、出動したのが警察のヘリだったため、父が救助活動に対して支払ったお金はゼロ。ヘリを2機も飛ばしておきながら、なんと1円も払う必要がなかったのです。
父は「迷惑をかけて悪かった」と大反省していました。世間に大迷惑をかけ、ここまで一生懸命に救助活動をしてくれた人たちがいるにもかかわらず、費用の請求がされないのは、逆に罪の意識を高めるのかもしれませんね。
ちなみに、県警のヘリは山岳救助専用というわけではないため、他の事故で出動していれば民間会社のヘリが出動します。この場合、1時間あたり50万円ほどかかるようです。父の場合、山岳保険に加入していて救助費用が補償の対象となっていたため、仮に民間ヘリが出動していたとしても、自己負担は発生しなかったと思われます。
警察庁「令和4年度山岳遭難の概況」(令和5年6月15日)によると、昨年の山岳遭難の発生件数は、なんと3015件。登山に遭難リスクはつきものです。すべての遭難にヘリが出動するわけではないかもしれませんが、万一の高額な救助活動に備え、登山時の保険加入はもはや必須と言えるでしょう。
●その後、筆者は父の遭難事件をきっかけに、万一に備えて親と「お金の話」をすることに。詳細は後編【「親とお金の話がしづらい」という人が知らない“自然な”会話の切り出し方】で解説します。
前田 菜緒/ファイナンシャルプランナー
FP事務所AndAsset代表。ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)。大手保険代理店に7年間勤務後、独立。子育て世代向けにライフプラン相談、セミナー、執筆などを行っている。子連れでセミナーに行けなかった自身の経験から、子連れOK、子どもが寝てから開催するなど、未就学児ママに配慮した体制で相談やセミナーを実施。経済的理由で進学をあきらめる子をなくしたいとの想いを持ち、活動中。
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