「会社に使われない人生」を選んだ60代男性、独立を“大成功”に導いた出会い
Finasee / 2023年9月25日 11時0分
Finasee(フィナシー)
Kさんは証券会社に長年勤めた男性で、実務マネージャーとして活躍してきました。60歳の定年のタイミングでは会社に再雇用を勧められました。
しかし、「もう会社に使われるのはやめよう。主従の関係からは卒業したい。自分で判断して自分で決めていきたい」と断固として提案を受け入れず、退職の道を選びました。これも今まで上司からのリクエストに十分応えてきたKさんだからこその考えでしょう。
●前編:【60代男性が定年を機に独立を決意…役立った現役時代の“意外な副業”】
退職後、真っ先にとった行動は…Kさんが退職の道を選択されたのは、「自分は証券会社の人間であり、かつ人事マンでもある。この2つを組み合わせると、何か仕事にできるのでないか?」とひそかに思っていたからです。
退職後、Kさんがとった最初の行動は、中高年齢者雇用福祉協会での講師登録です。もともと自分のことを「目立ちたがり屋なタイプだ」と感じていたこともあり、ライフプランセミナーなどの講師業をやってみたいと考えていました。
しかし、講師登録したからと言ってすぐに声がかかるはずもありません。その後もいろいろと勉強をして、地道に信用を勝ち取っていくしかないと考えました。
その一環として、過去のキャリアの棚卸しをするため、「CFP」、「DCプランナー1級」、「キャリアコンサルタント」などの資格を取得。今まで実務でやってきたことを再度、整理整頓しました。
運命のカギを握る人物との出会いKさんはある時「企業年金管理士」という資格保有者の自主勉強会にも参加しました。実はその勉強会で、今後の運命のカギを握る“ある人物”に出会うことになります。その人物とは、証券会社出身の社労士で、現在は独立して労務コンサルタントや確定拠出年金のお仕事をされていた方でした。
勉強会で出会って話をするうちに、Kさんはその方から「確定拠出年金の実務ができる人」と認識されたようです。間もなくして、確定拠出年金の制度設計に関して、業務委託としての仕事依頼がありました。
Kさんにとっては独立してからの初仕事。もちろん力を入れて精一杯やり切りました。やがてKさんの仕事ぶりが評判となり、他の案件でも声がかかるように。そのうち中小企業で確定拠出年金の制度作りをする流れになり、全国各地の地銀でお手伝いをするなど、業務が次々と展開していったのです。
願ってもないチャンスが到来!このように核となる仕事が軌道に乗ってくると、以前は希望してもお呼びがかからなかったライフプランセミナーの講師の仕事も入るようになりました。全国のお客さんと関係が持てるようになったのは、コロナ騒動後、オンラインでの打ち合わせが当たり前になったからです。Kさんは、「まさに運命が味方してくれた」と感じました。
そしてKさんは現在、「確定拠出年金のお仕事」と「ライフプランセミナー講師」という2つの軸で仕事をこなしています。まさに、世の中のニーズにご自身の専門知識が役立っているという、定年後の働き方として理想の形を実現されています。
仕事と両立したもう1つの軸そしてKさんには、仕事以外にも人生に欠かせないライフワークがあります。それは「水泳」です。片手間ではなく本格的に取り組んでいます。
Kさんは28歳の時から趣味のマスターズ水泳をされていましたが、定年後、「区の水泳連盟の委員にならないか」と声をかけられ、現在は障害のある方や一般の方々の水泳指導、水泳大会などのボランティアをされています。
ご自身の記録は65歳区分200m背泳ぎ(長水路・短水路ともに)の日本新記録まであと0.1秒。生涯スイマーとして自己記録に挑戦されているそうです。
長く続けられた秘訣を聞くと、「ここまでやれたのも、水泳仲間がいてくれたからこそなのですよ」と仲間の大切さを教えてくださいました。水泳で培った体力や精神力、そして仲間を大切にする気持ちも、実務に活かされているのかもしれません。
Kさんの体験談から学ぶこと1.現役時代に深めた専門知識が後に活きる
サラリーマン時代に培ってきた専門知識は、特に実務に関するものであればあるほど、独立してから役立ちます。現役時代に知識やスキルを磨き上げておくことは大切です。
2.副業で視野を広げられる本業に直接関係なくても、副業からは本業で手に入れられない知識・経験・人脈が得られます。いずれどこかで相乗効果を生み出すにことにつながります。
3.人脈を築いてチャンスを待つ局面が開ける時は、自分から求めている時というよりも、実力を見極めた人からの紹介が多いように思います。そのためには、日頃からチャンスが起こりやすくなる努力や行動を積極的に起こすことが必要でしょう。
***定年後のセカンドキャリアを、サラリーマン時代と全く切り離して考える人もいらっしゃいます。もちろん以前から興味を持っていた趣味などをゆっくりと楽しむことも良いのですが、Kさんのように長年培ってきた専門知識・スキル・経験を人や世の中に役立てることは素晴らしいのではないでしょうか。
髙橋 伸典/セカンドキャリアコンサルタント・モチベーション総合研究所代表・東京定年男女の会主宰
1957年生まれ。57歳で早期退職するも、多くのつまずき、苦労を経験する。しかし試行錯誤を重ねることで乗り越え、リスクなく独立する道をつかみ取る。東京都主催の東京セカンドキャリア塾、各自治体などでセミナーを行う。雑誌やウェブメディアでは、セカンドキャリアに関する寄稿の実績多数。著書に「定年1年目の教科書」(日本能率協会マネジメントセンター)がある。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
65歳からは「年金月20万円」の元消防署長夫…仕事一筋・浮気ナシ、尽くした現役30年。定年祝いに温泉旅行券を照れながら妻に渡すも、一転、破り捨て大修羅場と化したワケ【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月18日 10時45分
-
公務員は「老後のお金」をどのように注意するといい?
オールアバウト / 2024年11月7日 8時10分
-
最初はよかったのですが…60代元地方公務員総務の几帳面夫〈年金月32万円・貯金3,000万円〉で妻と過ごす緻密な老後を計画も、「はしゃいだのは退職後1年間だけ」【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月2日 10時45分
-
月2万円稼げる副業7選 - 初心者向け・在宅でできる仕事を紹介【会社員におすすめ】
マイナビニュース / 2024年10月28日 10時29分
-
50代で老後資金をあまり準備できない人が、老後貧乏にならないコツ
オールアバウト / 2024年10月26日 8時10分
ランキング
-
1「バナナカレー」だと…? LCCピーチ、5年ぶりに「温かい機内食」提供…メニューは? 「ピーチ機内食の代名詞」も復活
乗りものニュース / 2024年11月24日 12時32分
-
2冬の味覚ハタハタ、海水温上昇で今季の漁獲量は過去最低か…産卵場所に卵ほとんど見つからず
読売新聞 / 2024年11月24日 11時52分
-
312月に権利確定「株主優待」長期保有が嬉しい銘柄6選
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月24日 9時15分
-
4年収壁見直し、企業の9割賛成 撤廃や社保改革要請も
共同通信 / 2024年11月24日 16時22分
-
5「ワークマン 着るコタツ」新モデルが登場 累計43万着を突破、人気の秘密は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月22日 11時24分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください