タワマン在住のエリート外科医がまさかの大誤算…完璧な人生を狂わせた“たった1つの過ち”
Finasee / 2023年9月28日 11時0分
![タワマン在住のエリート外科医がまさかの大誤算…完璧な人生を狂わせた“たった1つの過ち”](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/finasee/finasee_12520_0-small.jpg)
Finasee(フィナシー)
外科医・中井恭一の秘密
高層階専用エレベーターを47階で下り、ICカードキーをかざして4717号室の自宅に入る。ふと違和感を覚えたのは、いつもは真っ暗なリビングダイニングに灯りがついていたからだ。セミオーダーした天然オークのテーブルセットに、妻の花林が座っていた。相変わらずの仏頂面だ。
「起きてたのか。明日はオペじゃないの?」
脳神経外科医の花林は毎週水曜日から金曜日は手術の予定が組まれていることが多い。
「いいの。病院は辞めたから」
「は? 辞めた?」
戸惑う俺に、花林は「はい、これ」とA4サイズの封筒を突き出した。
「調査報告書」の文字の下には、見知らぬ探偵社の名前があった。ページをめくると、俺が同じ消化器外科の看護師・加賀詩織の自宅を訪れたり、繁華街で詩織と肩を寄せ合って歩いたりする様子が写真と共に詳細に記してあった。
「花林はとっくに知ってると思ってた」
正直、「何を今さら」という感じだった。バツイチの詩織とは花林と結婚する前からの付き合いだ。お互いの事情を承知した上で、割り切った関係を続けている。
「そ、2人のことは別にどうでもいいんだけど、離婚の理由が欲しかったんだよね」
花林が独特の鼻にかかった声で、けだるそうに言った。
すでに固まっていた離婚の意思「あたし、アメリカに行きたいんだ。新しい術式を勉強してこようと思って」
夜中の1時にいきなり何を言い出すのかと苛立った。しかし、強く言い返すとまた不毛な口論になる。ここは下手に出ることにした。
「別に離婚しなくてもアメリカに行けるだろ? 何なら俺も一緒に行ってもいいし」
花林は大きくかぶりを振った。
「ううん、1人で行く。恭一からたんまり慰謝料をもらえば向こうで2~3年は何とか暮らしていけそうだから」
「お前、何言ってんだよ。第一、このマンションどうするんだよ。まだ買ってから2年しかたってない。ローンだってたくさん残ってるじゃないか」
「そんなの、浮気した恭一が責任取って何とかしてよ!」
軽いめまいを覚えてテーブルに手をついた。飲み過ぎたわけでもないのに、足元がぐらつく。
*勤務先の病院で出会った花林と結婚して3年になる。将来を嘱望された外科医でモデル並みの容姿を持つ5歳下の花林は、俺には少しばかり出来過ぎたパートナーだ。ある時、なぜ俺と結婚したのかと尋ねてみたら、「恭一ならあたしを束縛しないから」と答えた。
花林は正直何を考えているのかよく分からないところがある。しかし、お互い多忙なスケジュールの合間を縫って花林の好きなモルディブやタヒチのリゾートに出掛けた時はそれなりに楽しそうに見えた。
![](https://finasee.ismcdn.jp/mwimgs/0/1/800m/img_013aae4f2892dc5ed62773ea0c10954c3774290.jpg)
結婚1周年の記念日には、都心に新設されたタワーマンションを購入した。ペアローンで借り入れは合計で1億円を超えたが、俺たち夫婦の収入なら余裕で返済していけるはずだった。
今思えば、あの頃の俺は全能感の塊だった。消化器外科内のライバルを蹴落とし、学会でも注目される存在になりつつあった。美しく聡明な妻に加え、仕事の愚痴やストレスを癒やす愛人もいる。
はるかな高みから下界を見下ろす47階の居室は、自分の権力と成功の象徴のように思えた。それがまさか、わずか2年でこんな結末を迎えることになろうとは。
「詳しいことは弁護士と話して」
そう言い捨てると、花林はそそくさと立ち上がった。
そして翌日、花林は本当に俺の下から去った。テーブルの上に、あの調査報告書を残して。
●恭一が追われた結婚生活の後始末とは?
後編:【「軽い気持ちで…」巨額の負債を抱えた外科医を追い詰めた“後妻の秘密”】
※この連載はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
森田 聡子/金融ライター/編集者
日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。
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