不倫相手と上司が会社で鉢合わせ!“何もかも”を失った30代男の悲惨な末路
Finasee / 2023年9月29日 11時1分
Finasee(フィナシー)
<前編のあらすじ>
中堅電器メーカーに勤める川谷翔太(30歳)は、妻子がある既婚男性であるにもかかわらず、担当する家電量販店に務める木村未来(23歳)と定期的に逢瀬(おうせ)を重ねるようになっていった。素直に自分の要求に応える未来に対して、川谷は自分の要求をエスカレートさせていくが……。
●前編:気づけば週2の二重生活に…出世目前の30代サラリーマンが不倫に走った経緯
不倫相手を着信拒否で放置しようとした結果川谷と未来が付き合い始めて2年を過ぎた頃に、未来は川谷の子を妊娠する。未来は、川谷から堕胎を勧められた時に川谷が言った「もう少しの間、辛抱してほしい」という言葉には、川谷が離婚の準備をしているためだという意味が確かにあったと言っている。しかし、川谷は、そのようなことを言った覚えはないと否定している。
川谷と未来の関係は、未来の妊娠・堕胎によって変質した。未来は「週に2回ほど会うことが当たり前だったものが、月に2回も会えなくなり、店舗で顔を合わせることがあっても明らかに避けられているように感じました。そして、あの日(堕胎の日)から半年が過ぎた頃、川谷さんは担当店舗を代わり、会うことが一層難しくなりました」と証言した。川谷は、未来が結婚を迫るようになってきたことにプレッシャーを感じていたという。未来にとっては、文字通り、「身も心もささげた大恋愛」だったが、川谷にとっては、「都合の良い浮気相手」でしかなかったということだ。
川谷は、担当店舗が変わってからは、未来との関係を絶つことに努めた。未来のマンションを訪ねることはなくなり、未来からの連絡には返事を出さなかったばかりが、最終的には着信拒否にして未来からの連絡を遮断した。結果的には、川谷がとった着信拒否が、未来を追い詰め、勤め先を直接訪問するという行動に駆り立ててしまった。川谷は後になって、「もっとよく話を聞いておけばよかった」と反省しているが、それは、調停という審判を受ける場に立ち会うことになるかもしれないと追い込まれてからのことだった。
その日、たまたま在籍していた川谷は、受付からの連絡に応えて、本社ビル1階の受付に出向いたが、その場に、未来ばかりか、上司の池山がいたことに心底驚いた。場所を移して池山に事情を聞かれ、ありのままを話すしかなかった。川谷は3年ほど前から未来との付き合いがあるものの、妻とは離婚するつもりはないと話した。池山は、川谷に対しては妻には正直に話してわだかまりを残さぬようにと説諭し、未来に対して穏やかに諭すように「不倫は良くない。もっと自分のことを大事にしなければならない」などと語りかけて、川谷のことを忘れるように話した。未来は一言も発することなく、ただ黙って池山の話をきいていたが、最後に1粒の涙を流した。
婚外恋愛の「痛すぎる」代償川谷を直接訪ねても、今後の展望が開けなかったため、未来は弁護士に対応を相談した。実は、川谷の勧めで駅前のマンションに引っ越してから、家賃の負担が増えたために生活に窮するようになっていたのだ。加えて、川谷から関係を一方的に遮断されて以来、極度の人間不信になり、会社に出社することが苦痛になっていた。
川谷は、弁護士からの連絡に応じ、弁護士事務所で面談。未来が川谷の子を堕胎したこと、また、川谷の要望によって未来が駅に近いマンションに移ったことなどを認めたため、未来に与えた精神的な苦痛に対する慰謝料と、転居等のために生じた経済的な損失に対して相応の賠償金を支払うことで和解した。この賠償金の支払いのため、川谷は持ち株会で10年にわたって積み立ててきた資金を取り崩したのみならず、愛車を売却した。
川谷夫婦は、その後、離婚した。妻の美咲は数年にわたる川谷の浮気に伴う不自然なふるまいに気付かないはずはなかった。川谷に未来との不倫を告白される前に、探偵事務所を使って川谷の不倫の証拠となる写真などをそろえていた。このため、離婚の原因は一方的に川谷にあるとされ、財産分与と妻への慰謝料として郊外の戸建てを妻に譲渡した。子どもとは月に1回の面会が許されたが、子どもが成人するまでの養育費を支払うことになった。
川谷は、同じ会社で勤め続けているが、出世頭として期待されていた時のようなはつらつとした仕事ぶりではなくなっている。離婚以来、何かと川谷の後ろ盾になってくれていた池山からの支援もなくなった。未来は、勤めていた量販店を退社したが、川谷から得られた賠償金によって美容専門学校に入学し、幼いころに夢見ていた美容師になる夢に挑戦することにした。誰かに頼るような生き方ではなく、自分の力で稼げることの重要性に気が付いたためだという。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。
文/風間 浩
Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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