円安・ドル高でも根強く上位を席巻するS&P500連動型ファンド 今後の動向は?
Finasee / 2023年9月25日 16時0分
Finasee(フィナシー)
外国株式・国内株式ファンドが堅調に推移
投資信託の純資金流入は、海外株式型、内外株式型、国内株式型等で継続し、3ヵ月連続で流入超となった。国内公募株式投資信託(ETF除く)の純資産総額は前月比1兆4045億円増加し、過去最高額の101兆5889億円となった。また、高水準の資金流入に加え、米長期金利が上昇したことで日米金利差が拡大し、円安が進んだことから外国株式ファンドで評価額が上昇した。そして、資金流入額トップはインベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)の約803億円だった。
「世界のベスト」シリーズは、世界の株式から「成長+配当+割安」にこだわって厳選投資する世界株式ファンドである。20年超の実績を持ち、投資家の多様なニーズに応えるため、毎月または年1回決算の<為替ヘッジあり/なし>の4つのファンドを提供している。特に、世界のベストシリーズの「世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」は、2023年8月末現在の純資産残高は8146.14億円で、日本の追加型公募投資信託の中で第10位となっている。8月末時点における1年騰落率は+31.23%と、パフォーマンスも好調だ。高水準の資金流入が続いているので、9月以降も純資産残高を増やす可能性は高いだろう。
■インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)
基準価額 9267円
信託報酬 1.903%(年率・税込)
純資産残高 8146.14億円
<騰落率>
1カ月 1.70%
3カ月 11.69%
6カ月 17.39%
1年 31.23%
※8月末時点
国内公募の追加型株式投資信託では、指数連動型の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が、純資産総額ランキングにおいて7カ月連続で首位を維持している。8月末時点の残高は約2兆5938億円で、前月比の増加額は投信全体で最も大きかった。8月のS&P500種株価指数は、年初からの上昇局面に対する利益確定の売りが出た影響で、2月以来のマイナスで終了した。市場では、インフレ再燃を防ぐためにFRBが金利をより高く、より長く維持するとの見方が広がっている。
ただ、外国為替市場で円安・ドル高が進んだため、同ファンドの8月の騰落率は+2.3%となり、1年騰落率も+21.1%となっている。円換算ベースのS&P500種株価指数を対象にしているので、円安がプラスリターンに寄与しているのだ。2024年からは新しいNISAも始まり、同ファンドへの関心はますます高まる可能性が高い。純資産残高は2兆5000億円を超えており、今後も純資産残高を増やしていく可能性は高いだろう。
■eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
基準価額 2万3519円
信託報酬 0.09372%(年率・税込)
純資産残高 2兆5938.60億円
<騰落率>
1カ月 2.3%
3カ月 12.7%
6カ月 22.4%
1年 21.1%
※8月末時点
「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」から資金流出が続く「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」の8月末時点における純資産残高は9764.27億円で国内公募株式投資信託(ETF除く)の中で7位だが、同ファンドからの資金流出が続いている。8月は約156億円の資金が流出した。つみたてNISAへの関心が高まっているが、同ファンドはつみたてNISAで購入できない。
また、環境・社会・企業統治投資であるESGに逆風が吹き付け、米国では行き過ぎたESG投資を修正する動きが強まっている。世界最大の資産運用会社米ブラックロックのトップは、「今後はESGという用語を使うつもりはない」と表明した。世界の金融機関は、気候変動や人権などのESGを投資基準と位置付けてきたが、これに反すると認定された場合には投資の対象外となることがあり、ESGが目指す多様性の確保とは異なる様相を示していると言われている。
日本では2022年12月に金融庁が「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」を公表したことで、当該機関に期待される役割が増す一方、評価の透明性や公平性などの課題も浮き彫りになっている。興味深いのは、ESG投資で被評価対象となる事業会社側が感じるストレスが、逆風の起点になっているということである。世界的にESG投資に逆風が吹き付ける中、同ファンドからの資金流出が続く可能性は高いだろう。
■グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)
基準価額 1万3429円
信託報酬 1.848%(年率・税込)
純資産残高 9764億円
<騰落率>
1カ月 2.03%
3カ月 12.25%
6カ月 28.90%
1年 34.52%
※8月末時点
執筆/山下耕太郎(フィナシー/Ma-Do 投資信託研究会)
Finasee編集部
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