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ナスダックに上場のARM(アーム)はAI相場をけん引するか? 世界人口の7割が使う技術に期待集まる

Finasee / 2023年9月22日 17時0分

ナスダックに上場のARM(アーム)はAI相場をけん引するか? 世界人口の7割が使う技術に期待集まる

Finasee(フィナシー)

半導体の設計分野で存在感を発揮するARM(アーム)が、9月14日にナスダック市場に上場しました。「チャットGPT」など生成AIの爆発的成長が注目を集める中、省電力設計に強みを持つ同社のアーキテクチャ(構造)への期待が高まっています。

この記事ではアームの企業概要と、株式市場に与える影響について解説します。

ARM(アーム)が9月14日にナスダックに上場

9月14日、ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体設計企業アームが米ナスダックに上場しました。初値は56.10ドルで、575億ドルの時価総額を誇り、2023年最大の新規株式公開(IPO)となりました。

アームは、スマートフォン向け半導体のシェアで市場を圧倒し、車載半導体やデータセンター向けなどの分野でもシェアを広げています。CEOのレネ・ハース氏は、中央演算処理装置(CPU)の出荷数拡大と、各CPUが搭載するコア数の増加を背景に、成長ストーリーを投資家に訴えています。

英国ケンブリッジに本拠を構える半導体企業アームは、これまで設計した半導体がスマートフォンの99%以上に採用されるなど、世界の人口の約7割が同社の技術を利用しています。2023年3月期通期の売上高は、前期比1%減の26.8億ドル、営業利益は6%増の6.7億ドルでした。スマホ市場が低迷する中、同社の成長戦略として、AI関連やクラウド、自動車向けでの市場シェアの拡大が期待されています。

ソフトバンクグループが出資

SBG(ソフトバンクグループ)は、今回のアーム上場で10%程度の株式を売り出すことを発表しました。これまではSBGが75%、ソフトバンク・ビジョンファンドが25%保有していました。ですから、アームの上場後、SBGはアームの米国預託株式を90%前後保有することになります。

そして、アップルやエヌビディア、グーグルなど、半導体やテック関連の10社が少額出資する予定です。

アームは2016年にソフトバンクグループ傘下に入りましたが、当時はロンドン証券取引所に上場していました。2020年にはエヌビディアへの売却で合意したものの、競争当局が難色を示したことから断念し、上場を目指してきました。

そして、7年ぶりに米ナスダックに上場したのです。アームは自動運転やデータセンター関連の半導体開発に取り組んでおり、エンジニアが社員の半数以上を占めています。そして、上場に伴い、人材獲得を強化する予定です。株式相場をけん引するAI関連の需要急拡大が見込まれる半導体関連銘柄として、マーケット関係者から注目を集めています。

ソフトバンクグループの株価も上昇

9月15日の東京市場では、ソフトバンクグループ(SBG)の株価が約3%上昇しました。SBGの時価総額は約10兆円で、同じく上場したArmとほぼ同等です。Armの株価が上昇すれば、SBGの企業価値も上がる見込みがあります。

両社の株価は連動する可能性が高く、SBGがAI関連銘柄として注目を集めることも予想されます。SBGはこれまで中国のアリババの株式を所有していましたがほとんど売却しており、現在はアームが保有株の柱となっています。SBGはアームの株式を担保に資金調達する可能性があるほか、将来的にはArmの株式を追加で売却し、資金調達を行うことも考えられます。

AI株の試金石に

今年に入ってAI株は上昇しており、アームのIPOに注目が集まりました。自動会話プログラム「チャットGPT」に採用されている生成AIの登場により、AIに関連する銘柄が上昇していたからです。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は年初から約40%上昇しています。AI向け半導体の雄である米エヌビディアの株価も3倍以上に急騰し、AI株ブームがアームのIPOにとって有利に働いたことは確実です。

アームのチップは消費電力が少ないため、スマートフォンのほぼ全てに搭載されています。同社は自社の技術や設計を使用する機器にライセンス使用料やロイヤルティーを課しており、AIが使用するセントラルサーバーのプロセッサーなど、他の市場でも使用が期待されているのです。

しかし、AI分野におけるアームの将来性に賭ける投資家はまだ少なく、アームが急成長する保証はありません。投資家がエヌビディアのような急成長を今後も期待するかどうかにかかっています。

最近では、AIを巡る熱狂も少し落ち着いてきました。それでも、今年はAI熱が半導体株をけん引しており、アームのIPOは市場の期待に対するストレス(耐性)テストになりそうです。

アームがエヌビディアのような成長を遂げることは確実ではありませんが、AI分野が今後ますます発展する中で、アームの将来性に期待する投資家が増えることもあり得ます。

ただ、アームには地政学リスクもあります。アームの中国での売上高比率は25%であり、経済や政治的なリスクの影響を受けやすいからです。景気減速や規制強化などが足元の業績に影響を与える可能性もあります。これらのリスクを考慮しながら、アームの株価がどのように推移するかに注目です。

執筆/山下耕太郎(フィナシー/Ma-Do 投資信託研究会)

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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