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手数料で損をする? iDeCoが「元本確保型」でも十分な理由と“選んではいけない”金融機関は?

Finasee / 2023年10月2日 18時0分

手数料で損をする? iDeCoが「元本確保型」でも十分な理由と“選んではいけない”金融機関は?

Finasee(フィナシー)

iDeCo(イデコ)は老後に向けて資金を積み立てる制度です。積み立てた資金は原則として60歳以降に引き出せます。引き出すまでは資金を「元本確保型商品(定期預金など)」と「投資信託」で運用できます。

投資信託で運用できることから、iDeCoは投資の方法として紹介されるケースが増えてきました。しかし、実は必ずしもリスクを取る必要はありません。投資信託で運用しなくても、元本確保型で十分大きなリターンに期待できるのです。

積立額の全額が所得控除 リスクを取らなくてもリターンが大きい

iDeCoへの積み立ては「小規模企業共済等掛金控除」に該当し、全額が所得控除となります。税金は所得に税率をかけて計算しますが、所得控除は所得を減らすことで税金を軽減する仕組みです。

例えばiDeCoに毎月1万円積み立てると年間で12万円の所得控除となります。税率が20%なら2万4000円(12万円×20%)の節税が見込めます。

税率は所得税で最低5%、住民税(所得割)でおおむね10%ですから、少なくとも積立額×15%分の節税が期待できることとなります(復興特別所得税を除く)。節税を利益ととらえれば、iDeCoは毎年15%以上のリターンが見込める制度といえるでしょう。

所得控除の効果は元本確保型で運用する場合も変わりません。「リスクを取らず、節税の効果だけ享受したい」という人には、元本確保型が有望です。

ただし、もともと税金がかからない人に所得控除の恩恵はありません。扶養内で働く人や無職の人、また住宅ローン控除などで納めるべき税金がない人は注意してください。

「元本確保型は手数料で損」の誤解

iDeCoを元本確保型で運用する方法は「手数料で損する」と批判されることも少なくありません。しかし節税の効果を考えれば、手数料を考慮してもお得なことが多いでしょう。

確かにiDeCoには手数料が必ずかかります。国民年金基金連合会や信託銀行に支払うもので、加入時に2829円、積立時に1回あたり171円などが発生します。

元本確保型では運用益には期待できません。したがって、手数料で残高が減少する可能性は高いと考えられます。

ただし、所得控除による節税額は手数料を上回りやすいでしょう。iDeCoの最低積立額は月5000円、年間で6万円です。先述の最低税率の15%でも9000円の節税に期待できます。対して手数料は、加入時のコストがかかる初年度でも4881円であり、節税額の方が大きいことがわかります。

これを40年間続けた場合、残高は手数料で8万5000円ほど目減りします。一方で累計の節税額は36万円となり、やはり税金の軽減額の方が大きくなります。

【iDeCoの手数料と節税額の比較(年間積立額:6万円、利回り:0%)】

  積立額
(累計)
手数料
(累計)
残高 節税額
(累計)
 10年目 60万円 2万3349円 57万6651円 9万円  20年目 120万円 4万3869円 115万6131円 18万円  30年目 180万円 6万4389円 173万5611円 27万円  40年目     240万円   8万4909円   231万5091円   36万円

※加入時手数料:2829円、積立時手数料(年間):2052円(171円/回)
※所得税率:5%、住民税率(所得割):10%

元本確保型によるiDeCoの運用は、手数料による目減りは起こり得ます。しかしトータルで考えれば一概に「損をする」とまではいえません。

要注意!手数料が高い、元本確保型がない金融機関がある

iDeCoを元本確保型で運用するなら、最も気を付けたいのが金融機関の選択です。

どの金融機関を選んでも、国民年金基金連合会や信託銀行に支払う手数料は変わりません。加入時(2829円)や積立時(171円/回)などで手数料が発生します。

しかし「運営管理手数料」は金融機関によって異なります。窓口として加入者をサポートするための費用で、上述の手数料に上乗せして残高から徴収されます。

運用益に期待できない元本確保型は、手数料による目減りには特に注意したいところです。以下のように運営管理手数料が無料の金融機関を選びましょう。上乗せがなく、最低限の手数料で利用できます。

【運営管理手数料が無料の主な金融機関】

ネット型 対面型 ・SBI証券
・楽天証券
・マネックス証券
・auカブコム証券   
・松井証券 ・野村證券
・SMBC日興証券   
・岡三証券
・イオン銀行
・りそな銀行

 

出所:確定拠出年金教育協会(iDeCoナビ) 

また、そもそも元本確保型を選べない金融機関もあります。以前は少なくとも1本以上の元本確保型商品を用意することが義務付けられていましたが、法改正で投資信託のみの提供が認められました(2018年5月施行)。実際にiDeCoで元本確保型を提供しない金融機関も登場しています。

【iDeCoに元本確保型の商品がない金融機関の例】
ソニー銀行
・三井住友銀行(みらいプロジェクトコース)

出所:確定拠出年金教育協会(iDeCoナビ)

iDeCoを元本確保型で運用したい場合、これらの注意点に気を付けて金融機関を選ぶようにしましょう。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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