平均年収2200万円で就活人気ランキング上位 いまキーエンスに投資をするべき理由
Finasee / 2023年10月3日 18時0分
Finasee(フィナシー)
キーエンスが快走しています。5000億円台で停滞していた売上高は9000億円を突破し、純利益は2023年3月期までに2期連続で最高益を更新しました。一方で株価は高値からの調整が見られます。投資を検討している人は少なくないでしょう。
【キーエンスの業績】
売上高 純利益 2022年3月期 7551.74億円 3033.60億円 2023年3月期 9224.22億円 3629.63億円 2024年3月期(予想) 非開示 非開示※キーエンスの決算期は3月21日~翌3月20日
※2024年3月期(予想)は同第1四半期時点における同社の予想(第1四半期の売上高は2222.74億円、純利益は851.32億円)
出所:キーエンス 決算短信
【キーエンスの株価(月足、2020年8月~2023年8月)】
出所:Investing.comより著者作成JPX総研は2023年7月、「価値創造が推定される我が国を代表する企業で構成される指数」をコンセプトに「JPXプライム150指数」の算出を開始しました。キーエンスは市場評価の高さが認められ構成銘柄に選ばれています。
注目されるキーエンスとはどのような企業なのでしょうか。焦点を当ててみましょう。
世界的FA機器メーカー 平均年収は2200万円キーエンスはFA(ファクトリーオートメーション)、すなわち工場の自動化に役立つ機器のメーカーです。自動車や家電などの製造工場ではさまざまな産業用ロボットが活躍していますが、その制御を助けるセンサーや測定器などの開発や販売を行っています。また「一太郎」で知られるジャストシステムを持分適用会社に持つことでも有名です(株式所有割合は2023年3月末で43.96%)。
キーエンスは1985年にアメリカへ進出し、現在では世界46カ国240拠点で事業を展開するグローバル企業でもあります。海外売上高比率は上昇傾向にあり、2022年度は初めて6割に達しました。同社は海外市場での成長を重要な経営課題と捉えており、さらなる拡大を目指すとしています。
【地域別の売上高】
2013年3月期 2023年3月期 国内 992.20億円(59.8%) 3480.79億円(37.7%) 海外 665.93億円(40.2%) 5743.42億円(62.3%)※()は売上高に占める割合
出所:キーエンス 決算短信
キーエンスは平均年収の高さで注目されることが多いため、そちらにも触れておきましょう。従業員は単体でおよそ2800人が在籍しており、基準外賃金や賞与を含む平均年間給与は2200万円を超えています。上場企業でもトップクラスの収入が期待できるキーエンスは、多くの就活人気ランキングで上位を獲得しています。
【従業員の状況(単体)】
・従業員数:2788人
・平均年齢:35.8歳
・平均勤続年数:12.1歳
・平均年間給与:2279万3975円
※2023年3月20日
出所:キーエンス 有価証券報告書
高利益率&好財務 「ファブレス」が作る収益体質キーエンスはよく優良企業として紹介されます。製品の付加価値が高く、営業利益率は2014年度から9期連続で5割を超えました。
高収益体質は強固な財務にもつながっています。利益剰余金の積み上げが続いており、直近5期で1兆円以上増加しました。これは90%を超える自己資本比率の維持に貢献しています。
プライム市場に上場する製造業全体と比べると、キーエンスの営業利益率と自己資本比率がいかに高いかわかります。
【営業利益率と自己資本比率の比較(2022年度)】
営業利益率 自己資本比率 キーエンス 54.1% 94.0% 製造業(プライム市場) 7.2% 46.8%※製造業(プライム市場)は比較可能会社ベース(集計社数:765)
出所:キーエンス 決算短信、日本取引所グループ 調査レポート(決算短信集計結果)
キーエンスの高い利益率は、同社が「ファブレス」企業であることと無縁ではないでしょう。ファブレスとは自社で工場を持たず、製品は外部への委託製造で生産する業態です。キーエンスは工場の自動化を助ける企業ですが、自身は工場を所有しない戦略を採っているのです。
ファブレス企業は自社工場がないため設備も最低限で済みます。売上原価に含まれる減価償却費が抑えられ、結果として営業利益率が高くする効果に期待できます。キーエンスが5割もの営業利益率を維持できる理由の一つと考えられます。
【売上高と営業利益率の推移】
出所:キーエンス 決算短信より著者作成最低投資額600万円!どうすれば買える?キーエンスの経営成績を見れば投資したくなる人は多いでしょう。しかしキーエンスは代表的な値がさ株で、2023年8月末の終値は6万0520円です。取引所では100株単位で売買する必要があるため、少なくともおよそ600万円を用意しなければ買えません。個人投資家の多くは手が出しづらいでしょう。
取引所は上場企業に投資単位を5万円以上~50万円未満とするよう求めています。2022年には株価が大きい企業へ投資単位の引き下げを要請しました。これが実を結び、2023年はファーストリテイリングや東京エレクトロンといった値がさ株で株式分割が相次ぎました。キーエンスの追随に期待する投資家は少なくないでしょう。
【有価証券上場規程第445 条(望ましい投資単位の水準への移行及び維持に係る努力等)】
上場内国会社は、上場内国株券の投資単位が5万円以上50万円未満となるよう、当該水準への移行及びその維持に努めるものとする。
引用:日本取引所グループ 有価証券上場規程(東京証券取引所)
しかしキーエンスが株式分割に踏み切るかは不透明です。同社は「投資単位の引下げに関する考え方及び方針等について」というリリースを毎年6月に公表しています。内容は毎年ほぼ同じで、「さまざまな要素を総合的に勘案して判断する」という方針を3行程度で示すものです。
取引所の要請後で最初のリリースとなった2023年版では、投資単位の引き下げに一定の理解を示す文言が追加されました。しかし「今後とも慎重に検討」とも記載されており、従来の方針を繰り返すにとどまっています。
もっとも、キーエンスは2017年と2019年に1:2の株式分割を実施していますが、当時も同様の方針を示していました。同リリースから投資単位の引き下げに対する態度を読み取ることは難しいようです。
どうしてもキーエンス株式を購入したいなら、証券会社の単元未満株取引を検討してください。100株未満の株数で取引できるサービスです。1株単位で売買できる場合、およそ6万円でキーエンス株式を取得できます。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)
若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。
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