50代おひとりさま女性の貯金が激減! 家計を赤字にした決定的要因は…
Finasee / 2023年10月18日 11時0分
Finasee(フィナシー)
池田道子さん(53歳・仮名)は営業職として仕事を順調にこなしている“おひとりさま”。ある日、百貨店で受けた肌診断で「65歳」という衝撃の結果が……。この出来事をきっかけに美を求める活動(以下、美活)にどハマりし、貯金が激減してしまいます。
●前編:【「年相応に見られたい」50代女性の小さな願いが招いた“お金の一大事”】
家計が赤字になっていた“決定的な理由”が判明手取り収入が33万円もあるのに、500万円あった貯蓄が150万円にまで激減しているなんて、いったいどんなお金の使い方をしているのか気になります。そこで、道子さんに毎月の支出を洗い出してもらいました。
<道子さんの月の出費>
家賃(管理費・積立金込み):10万円
食費(外食含む):9万円
サプリメント:1万円
水道光熱費:8000円
通信費(携帯・インターネット):1万5000円
日用品費:1万円
衣服費:2万円
新聞図書費:1万円
美活費(化粧品・エステなど):8万円
交通費などその他雑費:1万7000円
→計37万円
道子さんの毎月の手取りは33万円ですから、この時点での月の赤字はわずか4万円。預金が激減していくほどのマイナスには思えません。
そこでもう少し詳しく話を聞いてみると、なんと「コスメを求めて休日に韓国までひとっ飛びしている」と言うのです。せっかく行ったのだからと韓国料理にも舌鼓……。そりゃあ支出が増えるわけです。
家計簿なしの「ずぼら家計」も支出増の原因に道子さんは家計簿をつけておらず、通帳記入も数カ月に1回程度です。支出確認のためにカードの明細書を出してみて、毎月20万円近くもカードを切っていることに驚きを隠せません。
ここまでお金の管理に無頓着でもこれまで貯蓄ができていたのは、大きな支出が食費だけだったから。収入と支出の差額が積み重なって、いつのまにか貯蓄ができていたのが実際のところでした。
おひとりさまの老後準備。月々貯めるべき金額は……道子さんは53歳。美活にかける金額を考える前に、65歳の定年までの12年間でいかに貯蓄を増やすかが優先課題です。
まずは、生活費をおいておく口座と貯蓄をする口座を分け、お金の管理を仕組み化する。次に、自由に使えるお金(手取り収入から貯蓄と固定費を引いた金額)がいくらあるかを把握する。そのなかで、美活にかける費用はいくらまでならOKなのかを決めていきます。
では、老後を見据えて、これから定年までにいくらお金を貯めていけばよいのでしょうか。
今後の収支をシミュレーションしつつ計算したところ、2000万円程度貯蓄できれば、なんとか老後生活を送れそうという結果になりました。退職金が500万円でるとのことなので、定年までの12年で1500万円貯める必要があります。
1年で換算すると約125万円。ボーナスの60万円をすべて貯蓄できれば、残りの65万円を12カ月で割った、約5万5000円がひと月に貯めたい金額となります。ただ、道子さんは独身のおひとりさま。老後に介護を担ってくれる家族はいません。将来誰かに頼ることを見越して、毎月の貯蓄額を7万円に設定しました。
ちょっと厳しい金額ですが、筆者は普段から手取りの2割程度を貯蓄にまわすことをお勧めしています。定年までの時期にどれだけ貯蓄を頑張れるかで、老後の生活が変わってくるからです。
固定費は、家賃・水道光熱費・通信費・衣服費・新聞図書費の合計15万3000円です。道子さんのお仕事は営業職。「仕事に必要な衣服費と情報を得るための新聞や書籍代は、ケチりたくない」との意向で、固定費に加えました。
そうすると、自由に使えるお金は、手取り収入の33万円から、貯蓄の7万円と固定費の15万3000円を差し引いた10万7000円。現在食費だけで9万円かかっているので、美活に使えるお金はほとんどありません。それでは困るということで、食費の見直しに取り組むことになりました。
趣味を楽しむために…食費削減のためのアドバイスただ、道子さんは料理が大の苦手。動画を観たり本を買ったりして何度もチャレンジしたことはあるけれど、「どう頑張っても無理なんです」とおっしゃいます。だからと言って、毎日お総菜を買ったり外食したりでは食費を減らせません。
そこで筆者から次の3つの提案をしました。
1. 特売日や19時以降のスーパーでお安く買い物する
2. 家事代行を使って料理を外注する
3. ふるさと納税を利用して、フルーツや温めるだけの鍋セットなどをゲットする
これらの対策も含めて現在9万円かかっている食費を半分まで抑えられたら、美活費もある程度は確保できそうです。
ずぼら家計の改善に成功! 美活も貯蓄もコツコツ継続をしばらくして、道子さんから「家事代行を使ってみた」と連絡がありました。
会社の同期がお掃除をお願いしていて助かっていると聞き、自分も頼んでみたとのこと。食べきれなかった食材をお弁当にして外食を減らす工夫をしているとうかがい、とてもうれしくなりました。
定年後は年金生活になるので、現在のようなお金の使い方を続けていけば、やがてお肌の手入れをする余裕はなくなります。美活も貯蓄も長く続けることが大切です。まずは家計の見直しと改善にチャレンジして、少しずつ暮らしにあった方法に修正していきましょう。
辻本 由香/つじもとFP事務所代表・一般社団法人WINK理事
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、相続手続カウンセラー、50代からのくらし(医・職・住)と資産を守るファイナンシャルプランナー。おひとりさま・おふたりさま×特有の課題・お金の問題の事例などが得意分野。企業の会計や大手金融機関での営業を経て、2015年に、保険や金融商品を販売しないFP事務所を開業。個別相談の他、企業・病院・大学などでの講演も行っている。
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