日本は好調、だが本国は… ウォルト・ディズニーの動画配信事改革は成功するか?
Finasee / 2023年10月6日 17時0分
Finasee(フィナシー)
米ウォルト・ディズニーの株価が低迷しています。主な原因は動画配信サービスの不振です。この記事では、ウォルト・ディズニーの動画配信サービスの今後の動向と、対照的に日本のディズニーランドを運営するオリエンタルランドの株価が好調な理由について解説します。
米ウォルト・ディズニーの株価が低迷米メディア・娯楽大手の米ウォルト・ディズニーのパフォーマンスが悪化し、ほぼ10年ぶりの安値となっています。
9月21日時点の株価は82.73ドルで、年初来では-7.01%、過去5年では-29.25%となっているのです。これに対し、NYダウは年初来で+2.82%、過去5年で+28.77%の上昇となっています。
ウォルト・ディズニーは、NYダウ工業株30種の採用銘柄です。NYダウ工業株30種は世界で最も有名な株価指数です。30銘柄で構成され、アメリカを代表する企業の動向を示す指数と見なされています。NYダウ工業株30種は時代の変化に応じて、銘柄の入れ替えが不定期に行われています。1896年には12銘柄で算出が開始され、1916年には20銘柄、1928年には30銘柄に拡大されました。
エンターテインメント分野では、ネットフリックスが過去10年間で驚異の900%以上の伸びを記録し、アップルやマイクロソフト、アマゾン、バークシャー・ハサウェイ、コカ・コーラなど大企業の株価のパフォーマンスは、すべてウォルト・ディズニーを上回っています。
ウォルト・ディズニーは昨年末、長年CEOであったボブ・アイガー氏の復帰を発表し、株価を一時的に上昇させました。しかし、その後、株価は下落しています。
株価下落の主な要因は動画配信サービスの不振です。有料ストリーミングサービス「Disney+」の加入者数は2023年4~6月期に7%減少。そして、ウォルト・ディズニーの動画配信部門は5億1200万ドルの営業損失を記録しました。
動画配信改革で高評価を得られるかただ、ウォルト・ディズニーは動画配信事業の改革に取り組んでいます。広告付きプランの拡大や値上げ、アカウント共有の有料化を検討しており、収益性や会員数の向上、DTC(Direct to Consumer)事業の利益率改善につながると考えられています。
市場ではディズニーがストリーミング競争の勝者となる可能性があり、優れたコンテンツや知的財産、世界水準の制作陣が評価されています。ディズニーは幅広い事業領域を抱えており、動画配信事業の変化に適応する準備が整っているので、次の四半期決算の発表に期待がもたれているのです。
ウォルト・ディズニーは米Huluに出資ウォルト・ディズニー・ジャパンは、動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」と「Hulu(フールー)」の日本版をセット販売することを7月に発表しました。月額1490円で利用できるこのセット販売は、個別に加入するよりも月約500円お得です。
フールー日本版は国内作品に特化しており、テレビドラマやバラエティー番組などが充実しています。ウォルト・ディズニー・ジャパンと日本テレビホールディングスは戦略的協業を結んでおり、連携強化の一環としてこのセット販売が行われます。ディズニープラスとフールーの組み合わせで、幅広い顧客層に魅力的なコンテンツを提供することを目指しているのです。
米国のウォルト・ディズニーは米国のHuluに出資しており、ディズニープラスとHuluをセット販売しています。国内でも連携して、多様なコンテンツを楽しみたい消費者に契約を促す予定です。
日本のディズニーランドは好調日本のディズニーランド(東京ディズニーリゾート)を運営しているのはオリエンタルランド(4661)で、株価は好調です。
米ウォルト・ディズニー社とオリエンタルランドの東京ディズニーリゾートに関連するライセンスは、最長で2076年まで延長されることが決まっています。この契約は1979年に締結された「東京ディズニーランド」のライセンス契約から、友好関係を築いてきた結果です。
東京ディズニーリゾートは、世界的なインフレと国内での価格上昇傾向の中で、入場料金の値上げを発表しました。混雑時の価格は1500円値上げされ、大人の1日券は初めて1万900円となり、1万円を超えることになります。今回の価格設定は、テーマパークやレジャー業界において、インバウンド需要などを追い風にして強気な対応が取られる傾向にあることを示しています。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドも、料金値上げによる収益改善効果に期待して、株価に反映される買いが入っているのです。
オリエンタルランドの株価は年初来で34.89%上昇。過去5年では112.67%上昇しています。(9月22日時点)。動画配信サービスで不振に陥る米ウォルト・ディズニーとは対照的に、日本のディズニーランドを運営しているオリエンタルランドの好調が続いているのは面白いですね。
執筆/山下耕太郎(フィナシー/Ma-Do 投資信託研究会)
Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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