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【新NISA】初心者が陥りがちな“4つの疑問”を解決! 外国税って何? iDeCoとどちらが優先? etc.

Finasee / 2023年10月10日 11時0分

【新NISA】初心者が陥りがちな“4つの疑問”を解決! 外国税って何? iDeCoとどちらが優先? etc.

Finasee(フィナシー)

この連載では、これまで制度を使うメリットや投資における考え方などについてお伝えしてきました。今回は、新NISAにまつわるよくある“4つのギモン”に回答します。制度が開始するまであと数カ月。ぜひ参考にしてみてください。

Q1.60代から新NISAを始めるのは遅すぎる?

60代であれば退職金の運用も視野に入り、「急に現金が入ったけれど、どうすればいいかわからない……」と悩む方も多いかもしれません。しかし、これまで投資をしてこなかった方、そして現金の運用先がわからない方こそ、新NISAを活用してほしいのです。

と言っても、60代であればハイリスク・ハイリターン投資はオススメしません。例えば現在30代であれば、定年まで働くと仮定すると、あと30年ほどキャッシュフロー(お金の出入り)がプラスになります。そのため資産が下落しても、収入から補てんすることが可能です。

一方で60代であれば、現役時代と比べて収入は年金のみ、という方も多くなります。そんな中で、大暴落が起こると……大幅に下落したリスク資産を回復させることは、非常に難しい。だから、年代が上がるにつれて「ローリスク・ローリターン」の投資に切り替えていくのがオススメです。

では具体的に、60代以上でリタイアしており(もしくはリタイアが近く)、今後年金以外の収入が見込みにくい方はどのような投資をすれば良いか。有力な選択肢の1つは、バランス型の投資信託を選ぶことです。バランス型投資信託は、株式だけでなく、債券や不動産にも分散した商品。日本だけでなく海外にも分散が効いていればなお理想的です。

このような商品を買っても、大きく収益を得ることはできません。一方で、どんな局面でも比較的価値が下がりにくい、という特徴があります。そもそもバランス型の投資信託は、資産を増やすためではなく、資産を守るためのものなのです。

60代であれば、なるべくリスクを取らずに安全な資産に投資する。安全資産から得られる「収益率」はわずかですが……退職金など元手が大きい場合、「収益額」は決して無視できません。

安全資産への投資でお金を守りつつ、得られた収益は新NISA制度で収益は非課税に。「1人あたり1800万円の非課税枠」は年齢にかかわらず平等なので、ぜひ有効に使っていきましょう。

Q2.米国株には「外国税」がかかるって本当?

そもそも、株式投資により発生する収益は2パターンあります。

1つは、株式の売買による収益。100万円で買った株を150万円で売ると、差額の50万円に対して20.315%の税金がかかります。この売却益に対する課税は、国内株・米国株ともに同じ税率です。ちなみにNISA口座で投資した場合、同じく国内株・米国株にかかわらず、売却益に対して税金がかかりません。

そして、株式投資で得られる収益のもう1つのパターン。それが配当金で、株式を持つことによる“利息”のようなものです。米国株の中には利回り5~10%程度の高配当株もあり、ここも無視はできない収益。しかし米国株を買った場合、この配当金に対して、「米国の税金」と「日本の税金」が二重で課税されてしまうのです。

例として、10万円の配当金を受け取るケースを考えてみましょう。

日本株であれば、10万円×20.315%=2万315円の税金がかかり、手元には7万9685円が残ります。一方で米国株であれば、まず10%の外国税が引かれてしまいます。では、手残りは9万円か……と言いたいところですが、ここからさらに20.315%の国内税がかかってしまうのです。結局、このケースでかかる国内税は、9万円×20.315%=約1万8283円。最終的に手元に残るお金は、7万1717円となります。

NISAを使わない場合は、確定申告によってこの10%の外国税を控除できます(外国税額控除)。一方で、NISAを使うと……この外国税額控除が使えません。NISAで米国株の配当金を受け取る場合、10%の外国税はどうしてもかかってしまう。その代わりに、日本でかかる20.315%が非課税になるのです。

細かい話かもしれませんが、投資額が大きくなるほど、また高配当株であるほど影響も大きくなります。投資先として魅力的で、人気の米国株……日本で投資する際のデメリットも理解しておきましょう。

Q3.NISAで投資した資産は、本人が亡くなったらどうなる?

新NISAのスタートにより、2024年以降は投資にチャレンジする人が多くなると予想されます。一方で、それと比例するように増えるであろう問題は……相続です。「NISAで投資した資産は、もし本人が亡くなってしまったらどうなるんだろう?」という疑問についてお答えします。

結論から言うと、「NISAで運用していた株式や投資信託は、そのままNISA口座で持つことができない」が答えです。非課税となるのは相続が発生した日(=投資していた人が亡くなった日)までで、その翌日からは税金がかかってしまいます。

NISA口座で運用する株式であれば、本人が生きている限り配当金は非課税ですが、本人が亡くなった場合、その翌日から発生する配当金に対しては税金がかかってしまいます。

また、NISA制度は「NISA口座で新たに買った株式や投資信託」のみが対象になります。例えば親がNISA口座で投資していた株式を、あなたが相続することになった場合……それは「あなたが新たに買った株式」ではありません。したがって、相続した株式や投資信託はそのままNISA口座で引き継げないのです。

さらに細かい話をすると、NISA口座で運用していた株式は、相続発生日の価格(終値)で引き継がれます。1株1000円で買った株が、亡くなったときに1500円になっていれば……相続人は「1株1500円で株式を取得したもの」として引き継ぐことになります。

なお、2023年までの旧NISA、2024年からの旧NISAともに、この相続に関する考え方は変わりません。「NISA口座に入れていた株なんだから、そのまま非課税だろう」と思い込んでいると、思わぬところで税金がかかってしまいます。

Q4.iDeCoとの併用、どう考えていくべき?(優先順位、配分など)

投資の非課税制度を考える際、NISAとよく比べられるのがiDeCoという制度。

iDeCoは、正式には「個人型確定拠出年金」と言います。すごく難しそうですが……言葉をひも解いていくと、意外とカンタン。「個人でできる、拠出額(運用する額)が決まっている年金制度」という意味です。もっとざっくり言うと、「自分の力で、老後のお金をつくる」ためのものです。そしてNISAもiDeCoも、運用益が非課税になるという点は同じ。では、大きく異なる点はどこにあるのでしょうか。

iDeCoには、NISAにはない超強力なメリットがあります。それは、掛金全額が所得控除されることです。iDeCoで拠出した分は、まるまる所得から引かれる……例えば所得税率20%の人が年間10万円をiDeCoに拠出すると、払う税金が2万円も少なくなります。実際は自分で自分の資産をつくっているだけなのに、払った分を所得控除できる。これが、iDeCo最大のメリットです。

これだけ聞くと、NISAよりもiDeCoの方が良さそうな気もします。しかし、iDeCoには大きなデメリットが……。それは、拠出したお金を60歳まで引き出せないこと。所得控除という強力なメリットと、流動性。つまり、“お金の自由度”を天秤にかけるような制度設計になっているのです。

したがって、そもそも「NISAとiDeCo、どちらを選ぶべき?」という質問に対しては、「考え方や人生設計による」が答えとなります。

老後まで何があるかわからないし、いつでも現金化できる方が安心! という人はNISAを使う。60歳まで現金化できなくても良いから、とにかく税制メリットを最大限に受けたい! という人はiDeCoを使う。そのどちらでもない人は、考え方や生活に応じてNISAとiDeCoを併用する。

2つの制度のメリット・デメリットを比較し、より自分に合う道を選んでいただければと思います。

浅見 陽輔/銀行員・証券アナリスト

大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科を卒業後、2013年に銀行に就職。10年のキャリアで、投資運用、リスク管理、法人・個人向け融資、システム部門を経験。証券アナリスト、FP2級、簿記2級、税務上級など20種類の金融系資格を保有。趣味は優待株投資と筋トレ。本業の傍ら、Kindle(電子書籍)作家としても活動中。代表作に『図解 新NISA』『トクする株主優待の選び方』『最後のジュニアNISA』『絶対に続く筋トレ』などがある。Twitterアカウントは【@you_def】。

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