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【金融リテラシー】100万円を預金で5年、年利子率2%で運用した金額はいくら? 正解は…

Finasee / 2023年10月10日 17時0分

【金融リテラシー】100万円を預金で5年、年利子率2%で運用した金額はいくら? 正解は…

Finasee(フィナシー)

第一生命経済研究所の鄭美沙氏が執筆した「金融リテラシーの男女差と女性間の違い」によると、金融リテラシーを「複利」、「インフレ」、「分散投資」という3つの設問で測ったところ、すべての設問で男性の正答率が高く、女性については「わからない」とする回答が多かったそうです。

なぜ、そのような結果になったのでしょうか。もちろん個人差の問題もあるので、女性で男性よりも高い金融リテラシーを持っている方はいらっしゃいますし、どのようなサンプルの取り方をしたのかによって数字は変わってくるでしょうから、一概に男性の方が女性に比べて金融リテラシーが高いとは決めつけられません。あくまでもサンプル全体の平均的な像であると考えるくらいで良いでしょう。

金融リテラシーが問われる3つの設問

では、「複利」、「インフレ」、「分散投資」の3つについて、どのような設問が設けられたのでしょうか。設問の内容は次のものでした。

(1)複利に関する設問
100万円を銀行預金(年利子率2%)に預け、5年間、入出金をせずに同条件で運用したら、5年後にはいくら受け取れると思いますか。

(2)インフレに関する設問
インフレ率が2%で、普通預金口座であなたが受け取る利息が1%なら、1年後にこの口座のお金を使ってどれくらいの物を購入することができると思いますか。

(3)分散投資に関する設問
1社の株を買うことは、通常、株式投資信託(何社かの株式に投資する金融商品)を買うよりも安定した投資収益を得られると思いますか。

 ちなみに(1)に関しては、110万円よりも多いか少ないか、(2)については、今日より多いものが買えるのか、それとも今日より少ないものしか買えないのか、ということで回答が求められています。

それぞれの正解は……

さて、これらの設問を見て、みなさんは正答が分かりましたか。

まず(1)ですが、複利は「累乗計算」が出来れば簡単に算出できます。計算式は次のようになります。

100万円×(1+0.02)⁵=110万4080円

つまり「110万円よりも多い」が、正答になります。

ちなみに0.02は2%という、この預金の利率を示し、5乗は1年複利計算する場合、運用期間が5年だと複利回数が5回になるため、5乗を適用して計算します。なお、半年複利で運用期間が5年の場合は、複利回数が10回になり、かつ半年の期間利回りが、年利率である2%の半分になるため、

100万円×(1+0.01)¹⁰=110万4622円

となります。ここで気付かれたかと思いますが、同じ年利率2%でも、1年複利よりも半年複利、半年複利よりも3カ月複利というように、1年間の複利回数が増えれば増えるほど、最終的に得られる元利合計金額は大きくなります。

次に(2)です。インフレとは物価が上昇することを意味します。

そもそも私たちはなぜ、お金を運用するのでしょうか。「将来、何か大きな買い物をするため」、「老後の生活費を貯めるため」など、理由はさまざまだと思いますが、お金を運用する最も根源的な理由は、「インフレによって現金価値を目減りさせないこと」にあります。

仮に設問通り、インフレ率が年2%で、この間に受け取る利息が年1%だとしたら、現金価値は1年間で1%目減りしたことになります。つまり「今日より少ないものしか買えない」ことになるのです。

ちなみに現状についてはどうなのか、という点ですが、2023年8月の消費者物価指数は、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数」で見ると、前年同月比で4.3%の上昇です。

これに対して、昨年8月に適用された1年物定期預金の利率は年0.002%ですから、すべての資産を定期預金で運用したとすると、この1年で資産価値は▲4.298%も目減りしたことになります。昨今、株式や投資信託などを利用した資産運用の重要性が言われているのは、今の預貯金利率では、インフレに負けてしまうからです。

そして(3)の分散投資ですが、1社の株式に投資すると、その会社の業績が悪化すると、株価が下がって資産価値が目減りします。この点、20銘柄、30銘柄に分散投資する投資信託は、1社の株式のみに投資するのに比べ、高い分散投資効果が得られます。仮に30銘柄に分散投資して、10銘柄の株価が下げたとしても、残りの銘柄の株価が値上がりすれば、株価下落リスクを大幅に緩和できるのです。

「女性にこそ金融知識が必要」と言える理由

金融リテラシーの男女差と女性間の違いについては、第一生命経済研究所のサイトに掲載されていますので、それを読んでいただきたいのですが、これからは女性こそ金融リテラシーを身に着けなければなりません。

なぜなら、仮に結婚していたとしても、女性の方が男性に比べて長生きするからです。最新のデータによると、2022年における女性の平均寿命は87.09歳、男性は81.05歳でした。あくまでも平均値ですが、同年齢で結婚して、それぞれが平均寿命まで生きたとすると、女性は男性よりも6年長生きすることになります。

また最近は、子供のいない夫婦のみ世帯、あるいは単身者世帯が増えており、老後の面倒を自分で見なければならないのが普通になりつつあります。その点を考えると、老後にお金が必要になるのは、男性よりも、どちらかというと女性になります。

女性のなかには、「金融に関する知識がないと資産運用できないの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。

ただ、それはある種の勘違いで、細かい金融知識が無かったとしても、資産形成は十分にできます。それは簡単な話で、世界中の株式市場に分散投資するグローバルタイプの投資信託を、毎月少額でも結構なので、積み立てていくことです。

特に2024年1月からは新NISAがスタートするので、つみたて投資枠を用いれば、積み立てる元本ベースで1800万円までなら、そこから生じる投資収益について非課税のまま運用することができます。

分散投資や複利計算の知識も、あればそれに越したことはないのですが、大事なことは「金融知識がないので、なかなか投資できない」などと考える前に、しっかり積立投資を始めることです。

世界中の企業に分散投資できる投資信託を毎月1万円ずつ積み立てる。それを愚直に続けることが、老後の不安感を取り除いてくれるのです。

鈴木 雅光/金融ジャーナリスト

有限会社JOYnt代表。1989年、岡三証券に入社後、公社債新聞社の記者に転じ、投資信託業界を中心に取材。1992年に金融データシステムに入社。投資信託のデータベースを駆使し、マネー雑誌などで執筆活動を展開。2004年に独立。出版プロデュースを中心に、映像コンテンツや音声コンテンツの制作に関わる。

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