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分配金は意味がない? 「毎月分配型」のメリット・デメリットを解説

Finasee / 2023年10月23日 18時0分

分配金は意味がない? 「毎月分配型」のメリット・デメリットを解説

Finasee(フィナシー)

毎月分配型ファンドは、その名の通り決算を毎月行い、分配金を毎月支払うことを目指す投資信託です。2024年から始まる新NISAでは買えないことが決まり注目を集めました。

毎月分配型は1050本(2023年10月16日)が運用される人気のカテゴリーです。中には純資産総額が1兆円を超える大型ファンドもあります。新NISAの対象外とされたことは多くの人に影響を与えそうです。

【毎月分配型ファンド純資産総額上位3銘柄】

  純資産総額  アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース  
 毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型   2兆0747億円  ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド
(毎月分配型) 9457億円  インベスコ世界厳選株式オープン
<為替ヘッジなし>(毎月決算型) 8842億円

※基準日:2023年10月13日

出所:投資信託協会 投信総合検索ライブラリー

なぜ人気の毎月分配型は新NISAで除外されることとなったのでしょうか。理解を深めるため、分配金の仕組みを押さえましょう。また批判されることも多い毎月分配型のメリットについても触れてみます。

基準価額を必ず下げる分配金

そもそも分配金は、リターンには直接的な影響がありません。分配金をいくらもらっても、それだけ基準価額が下落するため、トータルではプラスにもマイナスにもならないためです。

基準価額は以下の式で算出されます。

【基準価額の計算式】
純資産総額÷総口数

出所:投資信託協会 投資信託の基礎知識

分配金は分子の純資産総額から支払われます。分母の総口数が変動せず分子のみが減少するため、基準価額が必ず下がるのです。これを「分配落ち(ぶんぱいおち)」と呼びます。1万口あたり分配金が100円なら、分配落ち後の基準価額は100円下落します。

つまり、どれほど多くの分配金を受け取っても、それだけ元本部分が値下がりするため投資家のリターンには影響がないのです。分配金の高さだけで銘柄を選ぶ行為は朝三暮四といえるでしょう。

さらに複利(ふくり)が働きづらくなるというデメリットもあります。複利とは得られた利益を再投資し、運用資産を膨らませることでさらに大きな利益を得ようとする運用方法です。例えば100万円を利回り10%で運用するとき、1年目の利益は10万円ですが、これを再投資し110万円で運用すれば次の利益は11万円に増加します。

毎月分配型は分配金で資産を多く払い出してしまいます。利益が再投資されないため複利が働かず、運用効率が悪くなる可能性があります。新NISAで毎月分配型が除外された理由は、このデメリットを懸念したためだといわれています。

毎月分配金のメリットとは

毎月分配型はデメリットが多いとよく指摘されますが、メリットもあります。よく指摘されるのが取り崩しの手間を省ける点です。

一般に高齢者は資産を取り崩す時期にあたります。毎月分配型なら定期的に分配金を受け取れるので、運用を続けながら自動的に資産を取り崩すことができます。

下落時の損失が小さくなるメリットもあります。毎月分配型は資産の多くを払い出すため、運用資産が小さくなる傾向にあります。値上がり時の利益が小さくなる一方、反対に値下がりするときは損失を抑えられます。

具体的な銘柄で比較してみましょう。アメリカ株式で運用される「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」シリーズには、為替ヘッジしない銘柄として年2回決算のBコースと毎月決算型のDコースがあります。

2022年はアメリカ株式全体が下落傾向にあったため、この2本はいずれもマイナスでした。ただし損失幅は異なります。年2回決算のBコースの方が、毎月決算型のDコースより1%ポイントほど損失が大きくなりました。分配金として払い出すことで運用資産が小さくなり、損失が限定されたためだと考えられます。

【アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信の2022年リターン】

  Bコース
 (年2回決算) 
Dコース
 (毎月決算) 
 2021年末の基準価額 4万7942円 1万2692円  2022年末の基準価額 4万0057円 9323円  2022年中の実績分配金  
(1万口当たり) 310円 1100円  トータルリターン
(分配金再投資なし) -18.85% -17.88%

 

出所:投資信託協会 投信総合検索ライブラリー

なお、毎月分配型と同様の効果は、自身で投資信託を売却することでも得られます。一部の金融機関では定期的に投資信託の売却を行うサービスを提供しています。投資したい銘柄に毎月分配型の設定がない場合、それらを利用してみてはいかがでしょうか。

反対に興味があるファンドに毎月分配型しかない場合、金融機関で再投資コースを選択すれば分配金を再投資できます。ただし再投資できる分配金は税金控除後となること、NISAでは再投資分も非課税投資枠を消費してしまうことには注意してください。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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