50代男性が再就職先の退職を決意。2度目の再就職活動で「給与よりも優先」した条件は…
Finasee / 2023年10月30日 11時0分
Finasee(フィナシー)
50代、60代のサラリーマンは、日曜日の夕方に放送される『サザエさん』が終わる頃に、月曜からの仕事を思い憂鬱な気持ちになる人が多いと聞きます。それとは反対に、今回紹介するTさんは、番組が終わる頃になると「明日からの仕事が楽しみで仕方がない」と思うそうです。少し変わっていますね。
しかしそういうTさんも、3年前に在籍していた職場では、翌日からの仕事を思うと胃が痛くなる日々だったそうです。では、Tさんはどのようにして、つらい職場から毎日が楽しい職場に移ることができたのでしょうか? これからTさんの物語を振り返ってみたいと思います。
製薬会社を早期退職後、人事分野で再就職Tさんは新卒から製薬会社に入社し、30年間1つの会社で働いてきました。営業、マーケティング部門、人事を経験したのですが、会社都合で54歳の時に早期退職したのです。
「まだまだこれからだ!」と、早期退職後はすぐに再就職の道を模索。早速人材紹介会社にネット上で登録しました。前職では人事部門での仕事経験が長かったこともあり、人事部門の仕事を探すことにしました。
再就職活動はすぐには上手くいかなかったものの、何とか70社目で中小企業の製薬会社での人事部門の仕事が見つかり、若手の教育を任されることになりました。
ストレスフルな再就職先で悩みが募る毎日再就職した会社は、社長の権限が強く、多くの社員の建設的な考えが押しつぶされる環境でした。Tさんが以前いた会社は、制度も充実していて経営者と社員が共に歩んでいく風土であったことから、「この会社も社員のことを考え、改善した方がいい」と改善案を何度も上司に提案したのです。
しかし、それらの案が受け入れられることはほとんどありませんでした。提案を受けた上司が感情的になってしまって話にならず、Tさんはストレスが溜まる日々を送ることに。
「どうしてこんなことが起きてしまうのか……」
こうして悩む日々が続く中、Tさんは誕生日を迎え59歳になりました。年齢を重ねたことで、「このような形で会社人生を終えるのは嫌だ」「こんなところにいても改善どころか時間の無駄だ」という気持ちがさらに高まっていきました。
仕事探しの軸を見直し、転職することを決意元々Tさんは再就職で会社を探す時の基準を「人事部門」「処遇」としていましたが、実はそれが間違っていたのでないかと思い始めました。その2つの基準を優先しすぎたあまり、仕事で大切な「やりがい」「楽しさ」を犠牲にしてしまったのでないかと思えてきたのです。
そしてついに、「転職しようか。転職するとしてもこれを最後にしよう」と思い立ちました。次の再就職活動では、本来自分がやりたいこと、またはやってもいいことを基準に仕事を選ぶことにしたのです。仕事に変なプライドを持つのでなく、給与よりも“やりたい仕事”を優先して仕事を探すことに決めました。
過去を振り返って見つけた“本当にやりたいこと”Tさんは自身がやりたい仕事についてじっくり考えるうちに、ある思い出が蘇りました。
「そういえば学生時代に、デパートの食堂でアルバイトをしていたな」
アルバイトをしていた理由は、小さい頃に家族と一緒にデパートにでかけて、その食堂に行くことが大好きだったから。次第にもう一度そこで働いてみたいと思ったそうです。
「そうか! 自分は食に関する仕事なら、何より楽しく仕事ができるかもしれない」
そう思い、次の転職活動では「給食や食堂の調理員を選択肢の1つにしよう」「それ以外には掃除をすることも楽しくできるだろう」「園芸関係の仕事も大丈夫そうだ」と、最初とは全く異なる条件を軸に募集案件を探すようになったのです。
前回より難航した2度目の再就職活動。その結果……そこから2回目の再就職活動をスタートさせました。今回は人材紹介会社以外に、ハローワーク、東京しごとセンターなど、利用する斡旋機関も増やしました。
ところが、2回目の再就職活動は1回目よりもさらに難航します。160件以上応募しましたが、おおかたは書類選考で落とされてしまいました。数件面接まで進んだものの、それも不合格。しかし、Tさんはそこまで落ち込みませんでした。おそらく好きな仕事を探していたからでしょう。
そんな中で、なんと178社目から声がかかり、面接の末に合格を勝ち取ります。それも最も希望していた学校給食の調理員関係の仕事でした。「こんなこともあるんだ」と驚くと同時にホッと胸をなでおろしたTさん。
実際に採用担当者に会って採用された理由を聞くと、意外な事実が発覚しました。
●Tさんが採用された理由とは何だったのでしょうか? また、どのようにして厳しい再就職活動を乗り越えたのでしょうか? 後編【「178社目」で合格! 再就職活動に挑む50代男性を奮い立たせた“ある人物の言葉”】で詳説します。
髙橋 伸典/セカンドキャリアコンサルタント・モチベーション総合研究所代表・東京定年男女の会主宰
1957年生まれ。57歳で早期退職するも、多くのつまずき、苦労を経験する。しかし試行錯誤を重ねることで乗り越え、リスクなく独立する道をつかみ取る。東京都主催の東京セカンドキャリア塾、各自治体などでセミナーを行う。雑誌やウェブメディアでは、セカンドキャリアに関する寄稿の実績多数。著書に「定年1年目の教科書」(日本能率協会マネジメントセンター)がある。
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