1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

【FPが伝授!】「不要な保険への加入」を防げる“信用できる保険販売員”を見極めるコツ

Finasee / 2023年11月9日 11時0分

【FPが伝授!】「不要な保険への加入」を防げる“信用できる保険販売員”を見極めるコツ

Finasee(フィナシー)

浩一さんは、2人目のお子さんが生まれたタイミングで、保険加入を真剣に考え始めました。保険会社に勤めている学生時代からの友達に相談し、勧められるがままに保険を契約したものの、なんとなくモヤモヤが残り、筆者の事務所に問い合わせをしました。そして、契約直後にもかかわらず、保険を見直すことになったのです。

●前編:【20年後は保険料が4倍⁉ 32歳男性が友人に勧められ加入した保険にモヤモヤした理由】

見直しでは「保険の目的」を考える

保険の見直しを考える際は、まず保険の目的を考えます。医療保障なのか、死亡保障なのか、運用なのか、目的は人それぞれです。浩一さんの場合は、死亡保障と医療保障でした。

医療保障については、前編の記事で述べた通り、入院費用を保障する医療保障を高齢になってから小さくすることは理にかなっていないと言えるでしょう。次に、死亡保障5000万円が適切かどうかを考えます。

社会保険から受け取れる金額は?

まず、私たちはすでに国の保険である社会保険に加入しています。万一のことがあれば、年金制度から遺族年金を受け取ることができます。

浩一さんの場合、子どもが18歳になるまで遺族基礎年金を120万円受け取ることができます。遺族基礎年金の金額は一律で、子ども1人なら年間約100万円、2人なら年間約120万円です。

さらに、浩一さんは会社員で厚生年金に加入していますから、浩一さんの妻は遺族厚生年金も受け取ることができます。遺族厚生年金は給与や厚生年金加入期間によって金額は異なりますが、浩一さんの場合、年間40万円ほどになりそうなことが分かりました。

つまり、遺族年金としては、遺族基礎年金120万円、遺族厚生年金40万円、合計160万円、月額換算で「13万円」を当面の間受け取ることができるというわけです。妻の給与の手取りが約15万円、住宅ローンは団体信用生命保険(※)でなくなります。

浩一さんは「遺族年金と妻の給料で普段の生活はできますね」とホッと胸をなでおろされました。

※住宅ローン返済中に死亡や高度障害などがあった場合、住宅ローンの借入残高をゼロにして家族の住居を確保する保険

教育費などその他の出費への対応はできる?

ただし、遺族基礎年金は18歳で終了しますから、その後にかかってくる教育費やその他家のメンテナンス費用などをどう準備していくかという点が問題になります。

ちなみに、遺族基礎年金が終了しても、遺族厚生年金の妻の手当として妻が65歳になるまで「中高齢寡婦加算」が年間約60万円支給されるため、遺族厚生年金40万円とあわせて年間100万円は支給され続けることになります。

さて、子どもが18歳以降、教育費はどの程度かかるかを考えます。どこの大学に行くかにもよりますが大学費用として1人700万円かかると見積もると2人分で1400万円です。その他、受験費用やマイホームのメンテナンス費用など数百万円かかると仮定しても、5000万円もの保険金は必要ないことが分かります。

また、障害年金1級・2級に該当した場合も、年金制度から障害年金を受け取ることができます。金額は浩一さんの場合、2級で年間約130万円です。保険金に比べると決して大きな金額ではないものの、障害状態になったからと言って必ずしも働けなくなるわけではないことから、保障は「不要」と判断しました。

最終的には、今回の計算結果と更新時の保険料アップを理由に、浩一さんはきっぱり「今加入している保険は見直そう!」と見直しを実行しました。

保険販売員の“良しあし”を見抜くテクニック

浩一さんがモヤモヤを感じたのは正解でしたが、契約する前に、公的保険のことを知っていれば契約直後に見直しする必要はありませんでした。契約する前に保険販売員を信じて良いかどうか、分かる方法はあるのでしょうか?

これは、保険販売員が「公的保障額と顧客の必要保障額を計算したかどうか」で判断できるでしょう。

本来、民間保険は国の保険の補完として加入するものです。補完がどの程度必要かは人によって異なり、計算しないと答えは出てきません。計算をすることなく一般的にはこのくらいだからと保険金を設定したなら、顧客本位の対応とは言えないでしょう。

ちなみに、遺族年金の計算には家族構成と家族の年齢、ねんきん定期便の情報が必要です。保険を契約する際は、それら情報を提出した上で、適正な保険金を計算してもらいましょう。

***
 

万一のために保険で備えることは非常に重要です。保険加入の考え方は、可能性は低いけれど起きると大変な事柄に低額な保険料で備えることです。

元気で働き続けられる可能性のほうが高いわけですから、必ずやってくる老後や教育資金のために資産形成を重点的に行い、可能性の低い大きなリスクには低額の保険で備えることを保険販売員と共有し、保険設計してもらってください。

前田 菜緒/ファイナンシャルプランナー

FP事務所AndAsset代表。ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)。大手保険代理店に7年間勤務後、独立。子育て世代向けにライフプラン相談、セミナー、執筆などを行っている。子連れでセミナーに行けなかった自身の経験から、子連れOK、子どもが寝てから開催するなど、未就学児ママに配慮した体制で相談やセミナーを実施。経済的理由で進学をあきらめる子をなくしたいとの想いを持ち、活動中。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください