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「カリスマ投資家」の同級生に嫉妬の炎を燃やし…63歳男性の対抗心が招いた悲惨な失敗

Finasee / 2023年11月10日 11時0分

「カリスマ投資家」の同級生に嫉妬の炎を燃やし…63歳男性の対抗心が招いた悲惨な失敗

Finasee(フィナシー)

大手繊維メーカーで副部長職まで上り詰め、定年後の現在は嘱託社員として働く片桐淳吾さん(仮名)。身長185cmの長身で、中学から高校まではバスケットボールの選手として活躍していたそうです。

「当時は勉強もそこそこできたので、人生最大のモテ期でしたね」。そんなプライドを胸に出向いた同窓会でチヤホヤされていたのは、学生時代は片桐さんの子分格だったという「ねずみ」こと松橋さんでした。松橋さんは自身の投資体験をブログやYouTubeで発信し、カリスマ個人投資家として人気になり本まで出版していたのです。

片桐さんの胸の奥で松橋さんへの嫉妬の炎がメラメラと燃え上がりました。そして、投資体験がほとんどないにもかかわらず、「ねずみごときに負けてたまるか」と証券会社の営業職員を通してバイオ株や高利回りの債券に2000万円を投資します。

しかし、バイオ株は購入直後から下がり続け、債券も1年後にノックイン。その時点で投資した2000万円は半分になっていました。「定年直前なのにこれはまずい」と青ざめた片桐さんがすがった相手が、あるお金の専門家でした。

〈片桐淳吾さんプロフィール〉

東京都在住
63歳
男性
大手繊維メーカー勤務
専業主婦の妻と2人家族
金融資産4000万円

***
 

トラブルのきっかけは、定年を迎える前年の末に郷里のホテルで開かれた高校の同窓会に出席したことでした。約20年ぶりだったこともあり、クラス40人中20人を超える同級生が顔をそろえました。中には既に亡くなっていた人も数人いて、時間の流れを感じたものです。

同窓会で人だかりの中心にいた人物とは

ふと気づくと、1人の回りに人だかりができていました。誰かと思ってのぞいてみると、松橋孝也ではありませんか!

松橋は中学から高校にかけて私の子分のような存在で、今思えばいじめに近い無理難題を押し付けていた相手でした。への字眉に前歯が目立つ特徴的な顔つきでいつもちょろちょろしていたことから、つけたあだ名が「ねずみ」です。

輪の中にいる松橋は、生え際こそ少し後退したものの、昔と変わらぬねずみ顔ですぐに分かりました。

「おい、ねずみって有名人なのか?」

隣にいた同級生に尋ねると、「なんだ、お前知らなかったのか」と言って、松橋がカリスマ個人投資家として、株式投資の指南本まで出していることを教えてくれました。ハンドルネームを使い、顔出しもしていなかったので今まで気づかなかったのです。

松崎の取り巻きの中には高校時代気になっていた和泉恵美子の姿も見え、不愉快な気持ちになりました。その日は結局、松崎と話をすることもなくそそくさと会場を後にしたのでした。

後で松崎のブログやYouTubeを見まくり、松崎が株主優待や配当狙いのバリュー株投資でひと財産をなし、自身の投資体験や相場観をつづって多くのフォロワーを得ていることが分かりました。

そうすると、「ねずみごときに負けてたまるか」という思いがむくむくと頭をもたげてきました。とはいえ、私の投資経験と言えば社員持ち株会の自社株と、DC(企業型確定拠出年金)の投資信託くらいです。いつもはスルーしている証券会社の営業職員の勧誘に応じてしまったのも、松崎に対する対抗心がピークに達していたからでしょう。

証券会社の担当者に運用を相談

まずは2000万円程度から運用を始めたいというと、営業職員は同社のストラテジストによる世界や日本の株式市場のシナリオの資料を示し、コロナ禍で動意づいているバイオ株と、株式のリスクヘッジとして高利回りの債券を勧めてきました。その見立ては、素人の私から見ても「なるほど」と膝を打つものでした。

しかし、意気揚々と本格投資デビューを飾ったにもかかわらず、1年もたたないうちに件の債券がノックイン。バイオ株も購入後間もなく天井を打って下がり続けたため、その時点での評価額は1000万円を切っていました。直後に仕組債問題がメディアなどで大きく取り上げられ、私は自分が投資していた債券がその仕組債の一種だったことを知ったのです。

正直、狐につままれたような気持ちでした。株式や債券に値下がりリスクがあることはもちろん承知していましたが、まさか1年足らずで投資額が半分になってしまうとは……。

担当の営業職員に抗議しても、「すみません、すみません」と繰り返すだけ。それどころか、半月後には「もう1度だけチャンスをください。ここは仕切り直しましょう」と損切りして別の銘柄への乗り換えを提案してくるありさまです。

定年退職が迫っている中、さすがにこのままではまずいと思っていたところ、定期購入していた経済誌でIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)という職業があることを知りました。

早速、IFAの紹介サイトで頼りになりそうな専門家を探し、会社の近くに事務所を構えるIFA事務所に資産運用相談の予約を入れたのです。今思えば不幸中の幸いだったのですが、それが今泉さんとの出会いになりました。

●今泉さんに提案された戦略とは? 後編【「今となっては黒歴史」投資で大金を失った男性が“3年でリカバリー”できた理由】で詳説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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