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「今となっては黒歴史」投資で1000万円を失った男性が“たった3年でリカバリー”できた理由

Finasee / 2023年11月10日 11時0分

「今となっては黒歴史」投資で1000万円を失った男性が“たった3年でリカバリー”できた理由

Finasee(フィナシー)

定年を迎える前年、久しぶりに高校の同窓会に参加した私は、同級生の松橋孝也がカリスマ個人投資家としてその世界では有名な存在になっていたことを知り、年がいもなく嫉妬の炎を燃やしました。

「松崎ごときに負けてたまるか」と自分も本格的に投資を始めることにしたのです。用意した資金は2000万円。証券会社のストラテジストの予想シナリオに沿って営業職員が勧めてくれたバイオ株や、株式のリスクヘッジとなる高利回りの債券に全額を注ぎ込みました。

●前編:【カリスマ投資家の同級生に嫉妬の炎を燃やし…63歳男性の対抗心が招いた悲惨な失敗】

無残に終わった投資デビューの結果

しかし、投資デビューは無残にも失敗。1年後には高利回りの債券がノックインし、バイオ株も復調せず、とうとう運用資産は半分を切ってしまいました。

定年直前で1000万円を溶かして焦っていた時、定期購入している経済誌でIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)という職業があることを知りました。これぞ天のおぼしめし、すがってみるしかないと思いました。

IFAの今泉さんに相談することに

そこで早速IFAサイトで専門家を探し、たどり着いたのが勤務先の近くに事務所を置くIFA事務所。その代表として私を迎えてくれたのが今泉さんでした。

今泉さんは年齢的には私よりひと回り下、最初に面談をした際に抱いた感想は「この人は、アドバイザーではなくカウンセラーだな」というものでした。

私が困っていることを根気よく聞き出し、何が問題だったのかを整理して共有し、私に適したソリューションへと導く。そういう論理的なカウンセリングメソッドをしっかり持っている方だという印象を受けたのです。

他人の投資方法を参考にする際の注意点

私の長い愚痴を聞いてくれた後に、今泉さんはまずこう指摘しました。

「それでも、片桐さんは100%証券会社が悪いとは言わないわけですね?」

「まぁ、営業マンの話をうのみにした私自身にも非はありますから」

すると、今泉さんは穏やかな笑みを浮かべてこう言いました

「さすが百戦錬磨のビジネスマンですね。私は、今泉さんのような方は2度と同じ過ちを繰り返さない確率が極めて高いと考えています」

今泉さんは続けてこんな話を聞かせてくれました。

アベノミクス以降、株式デビューに失敗して自分たちの事務所に相談に来る人が増えている。その大半が、私のように証券会社の営業職員の勧める銘柄を買ったり、インフルエンサーの投資手法を真似したりしたのにうまくいかなかったというものなのだとか。

「しかし、投資のタイミングも投資リスクに対する耐性も一人ひとり違います。ビギナーズラックがあるかもしれませんが、人まねで勝ち続けられる世界ではないんです。私は別にインフルエンサーの方々を否定するわけではありません。『この人のここがすごい!』と思うなら、どんどん取り入れればいい。でも、ただまねをするのではなく、自分仕様にカスタマイズしていく必要があります。ビジネスだって、そうではありませんか?」

今泉さんにそう言われると、ぐうの音も出ません。

今泉さんはご自身が大手証券の営業職だった経験から、「証券会社の営業マンもお客さまのために一生懸命頑張っています。一方で、彼らには取扱額や個別商品などのノルマがあり、お客さまと利害関係が一致しないことも度々あるんです」といった裏話も教えてくれました。

その上で、「私は純粋にお客さまの利益を追求したくてIFAになったんです」と聞かされ、温和な今泉さんの内に秘めた情熱を垣間見たような気がしました。

提案された戦略とは?

私の資産状況を共有した後、今泉さんが私に提案してくれたのは「コア・サテライト戦略」でした。簡単に言うなら、運用資産を低リスクの「コア(中核)」と、積極的にリターンを狙う「サテライト(衛星)」に分けて管理するというものです。

コアの部分には国債や全世界型のインデックスファンド、サテライトとしては個別株や新興国株ファンドなどを提案されました。

「次回までにこのポートフォリオをじっくりご検討ください。あら探しも大歓迎です。『こんなんじゃ全然ダメだ』と言われた方が、私も仕事のやりがいがありますから」

1カ月後の面談までに猛勉強してあらを探しましたが見つけられず、当面は今泉さんのポートフォリオで運用していくことになりました。

3年間運用した結果は……

あれから3年。コロナ禍の株式市場の上昇の影響などもあり、サテライトの運用資産1000万円はほぼ倍増しました。コアの上昇分と合わせれば、証券会社で出した損の分はとうにリカバリーしています。

今泉さんとはその後も半年に1度のペースで面談を継続していますが、お会いする度に金融市場だけでなく、私の本業の分野での新しい動きやM&Aなどの情報を提供してくれるので本当に助かります。会社のグローバルインテリジェンス部門がつかんでいないネタも多く、「この人はどんな情報網を持っているのだろう」と時々思います。

今泉さんとはすっかり打ち解けたこともあり、松橋のことも話しました。自虐的に「今となっては“黒歴史”ですが」と付け加えると、今泉さんは「おかげでこうして片桐さんとお知り合いになれたのですから、私はむしろ松橋さんに感謝したいですね」と返してきました。その次にお会いした時、松橋のブログにYouTube、さらには本まで購入して読んでいたことには驚きましたが。

素晴らしいカウンセラーであり、良き年下の友人でもある今泉さんとは、これからも末永くお付き合いしていけたらと思っています。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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