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“病気治療と仕事の両立”を決意した40代おひとりさま女性…目標実現を支えた2つの対策

Finasee / 2023年11月16日 11時0分

“病気治療と仕事の両立”を決意した40代おひとりさま女性…目標実現を支えた2つの対策

Finasee(フィナシー)

吉田敦子さん(48歳・仮名)は約20年勤めた会社を辞め、独立開業する道を選んだ“おひとりさま”。「本当にやりたい仕事」を実現すべく、在職中に難関資格の行政書士を取得します。

しかし、5年ほどたって安定した収入が得られるようになってきた途端に、乳がんが発覚。「仕事も暮らしも諦めたくない」という気持ちが湧き、治療と仕事を両立するための道を探ることを決意しました。

●前編:【「右胸に違和感…」40代おひとりさま女性が独立開業、軌道に乗った直後に発覚した体の異変】

フリーランスが使える制度は限定的

会社員や公務員には、支えとなる制度や仕組みがあります。例えば、休業中に経済的な下支えとなる傷病手当金。その他、年次有給休暇の利用や在宅勤務など、どのような休み方や働き方ができるのかを就業規則等で決めている企業もあります。

ただ、敦子さんは独立開業しているフリーランス。残念ながら、使える制度は限定されます。そこで、2つの側面から課題をあぶりだし、解決方法を考えました。

課題①:体調を考慮しながら働ける状態か?

最初の課題は、敦子さんが働ける状態なのかの確認です。治療に専念するため一時的または長期にわたって休職が必要になるのか、もしくは、体調を考慮しながら働けるのか、主治医の意見を聞くことが重要です。

敦子さんの現在の治療計画は、25日間の放射線治療(平日5日×5週間の通院)とホルモン治療(内服薬を5年間服用の予定)です。

主治医に尋ねたところ、「治療の副作用により、のぼせやめまいのような更年期症状が現れたり、疲れやすくなったりします。そのとき無理せず休めるのであれば、仕事を続けても大丈夫」との意見をもらい、少し心が緩みました。

体調を考慮して働くための改善案

敦子さんの主な仕事は、外国人雇用のサポートと生活面での相談業務。この他、スポットで助成金の申請も行っています。今後の仕事の仕方について、筆者が提案したことは、次の2つです。

・メインの仕事は、可能であれば面談の一部をオンラインにしたり、提出書類を郵送したりして、移動による体への負担を軽減すること

・補助金申請の業務はタイトなスケジュールの依頼が多いため、代わりに請け負ってくれる同業者を頼ること

困ったときはお互いさま。困った時に頼れる信頼できる仲間を持つことも、仕事を続けるうえでリスク管理になります。

課題②:治療費の負担が増えても生活できる?

2つ目の課題は、なんといってもお金です。フリーランスでおひとりさまの敦子さんは、病気になっても代わりに稼いでくれる仲間や家族がいません。そこで、いくらあれば生活できるか知るために、毎月の支出を洗い出してもらいました。

<毎月の支出>

・事務所経費(月額) 、家賃や水道光熱費、行政書士会費など
→合計9万5000円

・生活費(月額)、家賃や食費、社会保険料など
→合計15万9000円

あわせると毎月25万4000円が最低限必要な金額でした。そのうち特に負担が大きかったのは家賃。それぞれが大きな金額ではないけれど、足してみると結構な金額となりました。

「どうりでお金が残らないはずだわ!」

忙しさの割に増えない預金残高。だから、あまり得意ではない補助金申請の業務をスポットで受けていたのだということも、話の中で分かってきました。

お金まわりの改善案

家主の許可が出れば、自宅の一部を事務所にすることを検討してもいいかもしれません。ただ、クライアントに自宅を知られたくないという声もあります。筆者の場合は、シェアオフィスを利用することで、家賃だけでなくWi-Fiなど毎月かかる経費も節約できました。

敦子さんは、今後治療費として、放射線治療で 約13万円(25日分)、ホルモン治療等で5年間に約30万円かかる予定です。医療機関までの交通費や、術後に使う下着代なども地味に痛い出費です。想像していたより治療費は抑えられても、治療による倦怠感で働けない時間が増えると、貯蓄を切り崩すことにもなりかねません。

iDeCoは仕組み上、60歳まで引き出せませんが、敦子さんには幸いにも会社員時代にコツコツためた500万円の現預金があります。一時的に収入が減ったとしても、仕事を休める余裕があるのは経済的にも精神的にも助かりますね。

おひとりさまにとっての「自立」とは?

しばらくして、敦子さんから「事務所を移転した」と連絡がありました。自分の代わりに補助金申請をお願いした行政書士さんから、事務所を共同で使わないかと提案を受けたそうです。経費が浮くことプラス、体調不良になったときもクライアントに迷惑をかけずにすむ安心感が移転の決め手になったとのこと。

自立とはひとりで頑張るのではなく、困ったときに頼れる人や場所を知っていることです。病院にも、相談支援センターなど困りごとや不安な気持ちを相談できる場所が用意されつつあります。自分から助けを求めるというアクションが、働けないリスクからあなたの暮らしと仕事を守ります。

辻本 由香/つじもとFP事務所代表・一般社団法人WINK理事

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、相続手続カウンセラー、50代からのくらし(医・職・住)と資産を守るファイナンシャルプランナー。おひとりさま・おふたりさま×特有の課題・お金の問題の事例などが得意分野。企業の会計や大手金融機関での営業を経て、2015年に、保険や金融商品を販売しないFP事務所を開業。個別相談の他、企業・病院・大学などでの講演も行っている。

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