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サラリーマン大家が苦悩した「モンスター借主」家賃滞納から始まった“トンデモ行動”の嵐

Finasee / 2023年11月17日 11時0分

サラリーマン大家が苦悩した「モンスター借主」家賃滞納から始まった“トンデモ行動”の嵐

Finasee(フィナシー)

斉藤誠さん(仮名)は数年前まで“サラリーマン大家さん”でした。といっても、不動産投資に興味があったわけではなく、亡くなった両親が経営していたアパートをそのまま引き継いだ格好です。アパートは築古物件ですが安全面で特に問題は見当たらず、斉藤さんご夫婦は建て替えが必要になるまでは大家業を続けるつもりだったと言います。

商売っ気のない斉藤さんが周辺の物件より安い家賃で貸し出していたこともあり、人の入れ替わりはあるものの、アパートは常に満室に近い状態だったそうです。そんな時、区役所の紹介で入居したのが単身生活保護受給者だった竹中さんでした。

竹中さんは自称元教師で、第一印象は「声が大きく、明るくパワフルな人」。しかし、入居から半年経った頃から家賃を滞納するようになり、管理業務を委託している不動産会社が督促の連絡をすると、ある夜、とんでもない行動に出たのです。

徐々に本性を現し始めた竹中さんの“被害”が隣室の大学生に及ぶに至り、斉藤さんは竹中さんに退去してもらうことを決意したのですが、事はそう簡単に運ばす……。とんでもないモンスター借主に振り回された斉藤さんに、悪夢の体験を聞かせてもらいました。

〈斉藤誠さんプロフィール〉

東京都在住
56歳
男性
信用金庫勤務
パートの妻と2人家族
金融資産6500万円

***
 

亡くなった両親から引き継いだアパートは、築40年を超えた古い物件でした。2階建てで、階ごとに1DKバストイレ付きの部屋が3室ありました。周辺の物件に比べ家賃を安く設定したせいか学生や若いサラリーマンなどの借主が入り、それなりに稼働率は安定していたように思います。

固定資産税などの経費を差し引いても小遣い程度の額は残ったので、妻とは「建て替えが必要になるまでは当面、大家業を継続してもいいかもね」と話していました。

ケースワーカーからの紹介で出会った竹中さん

コロナ禍には、区役所に勤務する知人に頼まれて単身の生活保護受給者を受け入れました。いずれも職を失いやむにやまれず申請したという元会社員の方で、とても人ごととは思えませんでした。

若い男性には作り過ぎた総菜をお裾分けしたりすると大変喜ばれ、再就職が決まって退去する際はわざわざわが家まであいさつに来てくれたりしました。

ですからケースワーカーの石井さんが竹中さんを連れてきた時も、「困ったことがあったら遠慮なく言ってくださいね」と声をかけたくらいです。竹中さんは数年前まで教師をしていたということで声も大きく、第一印象は「明るくパワフルな人」でした。

「勤務がハードで精神的にまいってしまい退職しましたが、回復してきたので、これからは塾の講師の口を探そうと思っています」と自分から話してくれました。

良好な関係だったが、徐々に行動に異変が……

最初は道で会っても声を掛け合うくらい良好な間柄でした。しかし、半年ほどすると竹中さんが家賃を滞納するようになりました。

アパートの管理業務は全て地元の不動産会社に任せていたので、不動産会社が竹中さんに督促の連絡をしたようでした。すると、ある夜、竹中さんがいきなり私の自宅に押しかけてきたのです。

運悪く、私は勤務先の飲み会で不在でした。竹中さんはかなり酒を飲んでいたようで、対応した妻に「払えねぇものは払えねぇんだよ。上から目線で偉そうにしやがって」とねちねち絡んできたそうです。竹中さんは身長が180cm近くあるがっしりした体格の偉丈夫ですから、妻は心底怖かったとおびえていました。

見過ごせずケースワーカーへ抗議

これを見過ごすことはできないと、翌日すぐに石井さんに抗議の電話を入れました。石井さんは100近い生活保護世帯を担当していて毎日忙しく動き回っているのですが、その日の夜にはわが家に駆けつけてくれました。

「今後同じことがあったら、警察呼びますよ」と怒り心頭の妻に、石井さんは「奥さん、本当に申し訳なかった」と頭を下げました。そして、「竹中さんには身の回りのことにルーズだったり酒癖が悪かったりする一面がある。それでも今は新しい仕事を見つけようと頑張っているので、今回だけは許してあげてほしい」と懇願したのです。

石井さんにそこまで言われたら、私たちも許さないわけにはいきません。「これから竹中さんと話をしてきますから」という石井さんを、「よろしくお願いします」と送り出すしかありませんでした。

一件落着とはいかなかった

石井さんの忠告はそれなりに効果があったのだと思います。その週のうちに竹中さんはたまっていた家賃を振り込んでくれました。

石井さんからも、「あの時は相当酔っぱらっていたみたいで、本人も『全然覚えていないけれど、斉藤さんの奥さんにそんなご迷惑をおかけしていたとしたら大変申し訳ない。合わせる顔がない』と猛省していましたよ」という報告の電話があり、ほっと胸をなでおろしました。

しかし、「これにて一件落着」とはなりませんでした。竹中さんがモンスターぶりを発揮したのは、むしろその後だったのです。

●竹中さんが次に起こしたトンデモ行動とは? 後編【「得体の知れない液体が…」モンスター借主の退去後、部屋を見た大家が絶句した理由】で詳説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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