【新NISA】ネット証券 vs 対面証券―口座開設するならどっちが正解? 隠れたメリット・デメリットも解説
Finasee / 2023年11月21日 11時0分
Finasee(フィナシー)
2024年からスタートする、新NISA。前回の記事【現行NISAから新NISAへの「切り替え」はどうなる? 年内に必要な手続きは…】では、現行NISAを利用している方が年内に済ませるべき手続きについて解説しました。
ですが、まだ口座を持っていない方は「そもそも、どの証券会社を使えばいいの?」と悩むかもしれません。そこで本記事では、ネット証券会社と対面証券会社(実店舗を持つ証券会社)を比較しつつ、それぞれのメリット・デメリットをお伝えしていきます。
ネット証券会社と対面証券会社、どちらがオススメ?まず、結論から言うと、多くの方にオススメできるのが、「ネット証券会社」です。
ネット証券会社は対面での問い合わせができず、投資経験がない人ほど不安に感じるかもしれません。しかし店舗を持たない分、Webでのサポートには相当の力を入れていることが特徴。言い換えると、「すべてをネットで完結できるよう、Web上のQ&Aやチャットでの問い合わせ機能がかなり充実している」とも表現できます。
ネット証券会社では、疑問のほぼすべてをネットで解決できる。これは利用者のためのサービスですが、「ネット証券会社自身のコスト削減策」でもあります。私もずっとネット証券会社を利用しており、手続きや機能面でわからないことは何度もありました。ですが、その疑問のほぼすべてはQ&Aを見ることで解決できています。
実際、過去に1度だけQ&Aで調べてもわからないことがあり、チャットボット(質問文を投げかけるとAIが回答してくれるサービス)を使いましたが……質問して1秒とたたず、求めていた答えを出してくれました。
ほぼすべての疑問がネットで解決できるため、ネット証券会社はその分の人件費を削減できます。実店舗がないので、窓口をあけておく必要がない。利用者の疑問もQ&Aとチャットボットでほぼ解決できるので、サポートセンターの人件費も削減できる。そうして削減したコストが、手数料の安さとして還元される……。
スマホが当たり前のように普及した今、うまく使うことができれば、ネット証券会社は利用者にとっても「快適に使えて、しかも手数料が安い」ため、有力な選択肢となります。
それでも「対面証券会社」を選ぶべき人とはここまでの話を聞くと、対面証券会社(実店舗を持つ証券会社)は「手数料が高い」「ネットで完結しない」と、デメリットばかり目立ってしまうかもしれません。もはや「証券会社選びは、もうネット一択じゃないの?」と思うかもしれませんが……ネット証券会社には、2つの大きなデメリットがあります。
1つは、PC・スマホが使える前提であること。ネット証券会社が提供するホームページやアプリは、かなり“ユーザーインターフェースが良い(感覚的に操作できる)”デザインになっています。
そのため、日常的にPCやスマホを扱う方であれば、少し触れば最低限の機能を使えるでしょう。一方で、「仕事でPCを扱うことが少なく、普段あまりスマホも触らない」という方であれば、使用に戸惑ううえに店舗で聞くこともできない……。つまり、「ネットで完結する」という点が逆にデメリットになります。
そして、ネット証券会社のもう1つのデメリット。それは、「自分ですべて情報を得る必要がある」という点です。ネット証券会社を利用すると、対面や電話で営業を受けることはありません。
これは、言い換えると……自分から聞かない限り、ネット証券会社は何も教えてくれないのです。つまり、「どんな商品を、どのタイミングで買うか」という情報は自分で得る必要があり、あくまでも「ネット証券会社=取引するためだけのツール」という扱いとなります。
PCやスマホ操作は苦手なので、直接教えてほしい。自分でゼロから投資を学ぶ時間もないので、オススメの商品を紹介してほしい。「手数料=自分の手間を減らすためのコスト」と考え、あえて手数料の高い対面証券会社を選ぶ……というのも、1つの選択肢と言えます。
ネット証券会社なら、どこの会社を選べばいい?PCやスマホを日常的に使っており、手数料を安く抑えたい方はネット証券会社が最適。では実際に、どのネット証券会社を選べばいいのでしょうか?
ここで、私個人の考えをお伝えすると……ネット証券会社は、どこを選んでも構いません。人気の楽天証券、SBI証券、マネックス証券等であれば手数料も安く、使い勝手の好みで決めてしまって良いでしょう。
ちなみに、私の場合は「楽天証券」を使っています。理由は単純で、普段から楽天のサービス(楽天銀行、楽天モバイル、楽天市場でのネットショッピング)を使っているからです。これは、いわゆる「楽天経済圏」の利用です。
同じ系列のサービスを使うことで、
・サービス間で連携してポイントがたまる
・ポイントをサービス間で使いまわせる
といったメリットがあります。また、同じ系列のサービスを使うと、ホームページやアプリのレイアウトがほぼ同じことに気づきます。なので、私にとって「楽天系列」のサービスは、初見であってもすごく使いやすく感じるのです。
客観的に見ると、まんまと楽天グループの戦略にハマってしまっている気もしますが……自分の利益だけを考えると、「使いやすいしポイントもたまるし、これで良いか」という感覚です。
他にも同じく「au経済圏」として、
・auのスマホ
・auショッピング
・auじぶん銀行
を使って投資は「auカブコム証券」を選ぶ……と、auグループで統一する手もあります。
このように、「〇〇経済圏」を意識し、サービスを統一化するという選び方も1つの選択肢です。特に経済圏を意識しない方は、楽天証券と並んで手数料が安く、人気の「SBI証券」もオススメできます。
意外と知らない対面証券会社の“隠れたメリット”最後に、使える人はかなり限られますが……対面証券会社の「隠れたメリット」についてお伝えします。それは、「証券会社のお得意さまになれば、“あるレアな株”を買いやすくなる」ことです。
いきなり話は変わりますが、株式が新しく上場する際、その株を誰でも買えるわけではありません。例えば、ある企業が「新しく100万株を上場させます!」と決めた場合。「A証券会社は5万株売って良いよ」「B証券会社は3万株売っていいよ」と、証券会社ごとに売り出せる株数が決められます。そして各証券会社の営業マン1人ひとりに、“お客さんに売れる株数”が割り当てられるのです。
このような株は、IPO(Initial Public Offering:新規公開株)と言います。多くの場合、IPOは超人気の投資先。仮に100万株のIPOが発表された場合……基本的に株式は100株単位で取引されるので、最大でも1万人の手にしか渡りません(実際は1人で1000株ほど買うケースもあるので、IPOが行き渡る投資家は1万人以下になります)。
このように、供給量に対して需要がとんでもなく大きいので、上場した瞬間に市場価値が上がるケースが多い。つまり、IPOを売り出し時にゲットした投資家は、高い確率でトクするのです。
では、みんなが欲しがるIPOをゲットするには、どうすればいいか。その方法の1つが、「証券会社の営業マンに割り当てられたIPOを融通してもらう」ことなのです。
そして当然ではありますが、証券会社の営業マンも人間です。普段から大きな取引があり、ノルマに苦しんでいる時は、自分が紹介した商品を買ってくれる。そんな“お得意さま”に、優先的にIPOを融通するケースがあるのです。
IPOを融通してもらえるほどの“お得意さま”になるには、相当の投資額が必要ですが……このネットの時代、あえて対面証券会社と深く太く付き合うことで、思わぬおいしい話があるかもしれません。
浅見 陽輔/銀行員・証券アナリスト
大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科を卒業後、2013年に銀行に就職。10年のキャリアで、投資運用、リスク管理、法人・個人向け融資、システム部門を経験。証券アナリスト、FP2級、簿記2級、税務上級など20種類の金融系資格を保有。趣味は優待株投資と筋トレ。本業の傍ら、Kindle(電子書籍)作家としても活動中。代表作に『図解 新NISA』『トクする株主優待の選び方』『最後のジュニアNISA』『絶対に続く筋トレ』などがある。Twitterアカウントは【@you_def】。
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