「投資は大変で難しいもの」は誤解! 世界経済の成長とともににお金を育てる方法
Finasee / 2023年11月28日 11時0分
Finasee(フィナシー)
<!--td {border: 1px solid #cccccc;}br {mso-data-placement:same-cell;}-->今注目の書籍の一部を公開して読みどころを紹介するシリーズ。今回は、「金融リテラシー」の真の理解につなげる書籍、三井住友トラスト・資産のミライ研究所著『安心ミライへの「金融教育」ガイドブックQ&A 「生きる力」を育む「金融リテラシー」の基本』の一部を特別に公開します。(全4回/本記事は第2回)。
●第1回:長寿化=年金を受給しながら20年弱の老後生活を送ること。その備えに必須のものは…
※本記事は三井住友トラスト・資産のミライ研究所著『安心ミライへの「金融教育」ガイドブックQ&A 「生きる力」を育む「金融リテラシー」の基本』(金融財政事情研究会)から一部を抜粋・再編集したものです。
ライフイベントに必要な資金を準備するのであれば「マネープランとしての投資」の実践を「投資」とは預金のようにお金をお金のまま置いておくのではなく、「お金と異なる資産」に形を変えて何らかの経済活動に資金を供給し、その結果生み出された収益の一部を利益として受け取ることです。ただし、その「投資」への取組み方にはさまざまなケースが考えられます。
プロフェッショナルとしての投資
職業として「投資」に取り組むケースです。例えば、金融機関に就職をし、会社の資金運用を担う業務の中で投資を行う場合や、信託銀行や生命保険会社などに就職をし、企業が従業員のために積み立てている企業年金を預かって運用を担う業務の中で投資を行う場合がここに該当します。また、個人で一日のうちに何度も株式等の売買を行い、利益を稼ごうとするデイトレーダーもここに該当します。
この場合、金融に関する高度な知識や専門性が必要であり、為替や株価といった金融市場に向き合って「投資」に取り組む必要があります。
趣味としての投資
「音楽を聴くのが趣味」「映画鑑賞が趣味」と同じように、自分自身の趣味や楽しみとして「投資」に取り組むケースです。投資は何らかの経済活動に資金を供給する行為ですので、その過程で世の中や企業について調べたり、今後の動向を考えたりするのが好きだから投資を行っているというような場合がここに該当します。
この場合、自身の「資金面での余裕度合い」と価格の変動に対する「気持ち面での余裕度合い」にマッチするような資産を選び、自由に「投資」に取り組むことになります。
マネープランとしての投資
自身のライフプラン、マネープランを計画したうえで、コツコツ積み立てたお金を「貯蓄」だけではなく「投資」にも置いておきたいと考えた場合に取り組むケースです。自分自身のライフプランや将来のキャッシュフローなど「金融資産の積立計画・取崩計画」をふまえて、「投資」をその計画の中の一つの手段として取り組む場合がこれに該当します。
自身のライフイベントに対して必要な資金を準備していくプロセスの中で「投資」に取り組んでいきますので、相応の時間をかけながら、目標に向けた積立計画と積立中の資産額とをチェックしつつ、安定的に資産形成を進めていくイメージです。具体的には「世界経済の成長の果実を、自身の資産の中に取り込んで膨らませていく」スタイルです。
「投資」と聞くと、日夜、株式の動向に目を凝らし、常に金融の専門的な知識をインプットし続けないと取り組めない大変で難しいものとイメージされがちです。しかし、みなさんが自身の資産形成を行う中で取り組む「投資」はそのようなハードなものではなく、価格の変動をできるだけ安定化させるポイントを押さえて、世界経済が成長していく中で自身の資産も長期的な目線で成長させていくものです。
「世界経済の成長の果実」とは?「世界経済が成長していく中で、自身の資産も成長させていく」ときに確認しておきたいのは、「そもそも世界経済とは何か?」ということです。世界経済とは、世界の国々のGDP(国内総生産=一定の期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額)の集積です。シンプルにいえば、GDPの拡大分が国家レベルでの「儲け」です。GDPの動きを追っていくことで、その国内でどれだけの儲けが出ているのか、つまり、国の経済状況の良し悪しを確認することができます。【図表1】は、世界の経済成長(GDP)の推移を示したグラフです。
【図表1】世界の経済成長(GDP)(1990年1月~2022年7月)(拡大画像表示)(出所) Bloombergのデータをもとに三井住友信託銀行作成。「先進国名目GDP」「新興国名目GDP」:IMF「World Economic Outlook Database, April 2022」( 推定値を含む、米ドルベース)、期間:1990年~2022年。
【図表1】をみてみると、長期的に成長を続けていることがわかります。「世界経済が成長していく中で、自身の資産も成長させていく」とは、世界のGDPを構成している資産に自分のお金を投じておくことで、長期的な成長の「果実」を得るということです。
しかし、過去はそうであったとしても、これから投資をスタートする、もしくは投資を今まさに行っているみなさんにとっては、「今後も世界経済(GDP)の成長は続いていくのか」がポイントになってくるはずです。そこで、GDPを以下の様に分解して考えてみます。
GDP = ①人口 × ②1人当たりのGDPまず、①の人口に関しては、日本の人口は少子高齢化で減少していますが、世界的には今後も人口が増加していくと見込まれています【図表2】。
【図表2】世界人口の推移と推計(拡大画像表示)(出所) 国際連合「World Population Prospects: The 2019 Revision」(期間:1950年~2100年、2025年~2100年は予測値)のデータをもとに三井住友トラスト・資産のミライ研究所作成
また、②の1人当たりのGDPは、一人ひとりの生産性を向上させれば増やしていくことができます。生産性を高めるためには、その人自身の労働力を上げる(例えば、1時間に1つ作っていた製品を3つ作るようにする)や、そもそもその人自身のウェルビーイング(WELL-BEING)を向上させる(例えば、健康面や金銭面での不安を取り除き、仕事に集中できる状態にする)ことで、生産性は高まります。
しかし、同じことをしていては1人当たりのGDP向上はいずれ限界がきます。ですから、より生産性を高めるには、例えば、設備などの資本を投じることで生産性を高めることができます。1時間に手作業で3つ作ることが限界の人に対して、製品を1時間に10個作ることのできる機械を提供すれば生産性がより高まります。さらにここで終わりではなく、この機械自体の技術を高めることでさらなる生産性の向上が期待できます。
このように、人類は人口増加と持続的な技術革新を行うことで長期的には成長を遂げてきており、そう考えると今後も成長が続くと見込まれます。ですから、短期的な事象に左右されることなく「長期的な目線で世界経済の成長に沿って自身の資産も成長させていく」という点が重要といえます。
では、みなさんが世界経済の成長に沿って自分の資産も成長させていくためには、具体的にどのような資産に投資をすればよいでしょうか。まずは、「債券」「株式」といった資産が代表的なものになります。
「債券」とは、資金を必要とする国や地方公共団体、企業などが資金を借り入れるために発行するものです。国が発行する「国債」、地方公共団体が発行する「地方債」、企業が発行する「社債」などがあります。国債に資金を投じることで、国の将来的な発展につながりますし、社債に資金を投じることで、企業の経済活動を支えることにつながります。
また、「株式」は株式会社が資金を調達するために発行するものです。株式に資金を投じることで、その株式会社の経済活動を支えることにつながります。
このようにみなさん自身の資金を「債券」や「株式」に投じることは、経済を下支えし、その結果、経済が成長をする(例えば、国が豊かになる、企業が成長する)ことで、資金の出し手であったみなさんがその恩恵を受け取ることにつながります。
【図表3】は、1990年1月から「世界債券」、「世界株式」、「分散投資(世界株式3:世界債券7の比率)」に投資をし、その後、リターンが何%になったかを示した線グラフと、【図表1】の世界のGDPを表したグラフを重ねて示したものです。当然、短期的には値上がる年、値下がる年がありますが、長期的にみると世界株式も世界債券もGDPの成長に沿って成長していることがわかります。
【図表3】世界のGDPと世界債券・世界株式・分散投資の動き(1990年1月~2022年7月)(拡大画像表示)
(出所) 図表1に加え、「世界債券」:FTSE世界国債インデックス(含む日本、米ドルベース)、「世界株式」:MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(グロス、米ドルベース)、「分散投資」:世界株式3:世界債券7の比率の合成指数(分散投資の一例として掲載)。いずれも1989年12月末からの累積収益率(期間:1990年1月~2022年7月)より三井住友トラスト・資産のミライ研究所作成
ただし、今後の世界経済を考えるうえでもう1つ考慮しておかなければならないことがあります。それは「今までと同じ方法での成長には限界があるのでは?」という点です。持続可能な開発目標(SDGs)をはじめとして、世界の人々が今後も地球上で安定して暮らし続けていくために、現状の課題を洗い出し、解決に向けたさまざまな活動が行われています。しかし、多様化・複雑化した現代においては、なかなか解決が追い付いていないというのが現実です。「マネープランとしての投資」は、世界経済の長期的な成長があってこそですので、その成長が続かなければ前提自体が崩れてしまいます。こういった観点から、SDGsへの取組みは今後の世界の経済成長と密接に結びついており、一人ひとりが自分ごととして取り組むことがとても大切です。
●第3回【投資をしていても「将来の生活設計・資金計画について検討したことはない」人が58%…その理由は?】では、“資産形成”こそ始める人が増えつつあっても、その目的について考えている人は意外に少ない実態を明かし、マネープランの考え方について解説します。
***三井住友トラスト・資産のミライ研究所著『安心ミライへの「金融教育」ガイドブックQ&A 「生きる力」を育む「金融リテラシー」の基本』(金融財政事情研究会)
三井住友トラスト・資産のミライ研究所
人生100年時代において、一人ひとりが将来を安心して過ごすための資産形成・資産活用のあり方を中立的な立場で調査・研究し発信することを目的として、2019年 三井住友信託銀行に設置された組織。
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