新NISAで「やってはいけない」2つの投資とは? “性格に合った投資先”を選ぶ方法も解説
Finasee / 2023年12月5日 11時0分
Finasee(フィナシー)
新NISA開始まであと少し。前回の記事ではネット証券と対面証券の違い(【新NISA】ネット証券 vs 対面証券―口座開設するならどちらが正解? 隠れたメリット・デメリットも解説)を紹介しましたが、今回は新NISAで「やってはいけない投資」を2つご紹介します。
①「成長投資枠」でやってはいけない投資新NISAでは、長期投資に適した「つみたて投資枠」と、個別株や高リスクの投資信託に投資できる「成長投資枠」があります。この2つの枠をどのようなバランスで、どう使っていくか……。その前に、実は注意しておきたいことがあります。それは成長投資枠で、絶対にやってはいけない取引です。
結論からお伝えすると、絶対にやってはいけないことは……「インサイダー取引」の恐れがある行為です。インサイダー取引とは、簡単に言うと「未公表の情報を利用し、フライングで取引してもうけようとすること」です。
例えば、仕事で取引先から情報を得てしまうケース。あなたがA社の財務担当者と話していて、こんな話をポロっと聞いてしまったとき。「いやぁウチの会社、今年は業績が良くてね。今期の利益は、昨年の2倍になりそうなんだよ」……この情報を知り、「なるほど、A社の決算はそんなに良いのか。よし、コッソリ今のうちのA社の株を買っておこう!」このような行為は、インサイダー取引に該当しています。
インサイダー取引に該当するかどうかは、取引数量や、実際にもうかったかどうかはまったく関係ありません。あくまでも“未公表の会社情報を利用し、株式投資などを通じて利益を得ようとしたか”がキーとなります。そのため、「数十万円ぐらいの投資なら良いか」「大きく利益が出たわけじゃないし良いか」は通用しません。バレてしまった場合、金融商品取引法に基づき罰則が科される可能性があります。
新NISAで株式投資デビューした場合、どうしても普段の取引先や親族・友人が勤める会社の株など、自分に身近な銘柄が気になってしまうかもしれません。しかし、あまりにも付き合いの深い先に投資すると、持っている情報によってはインサイダー取引に該当する恐れもある……投資以前に、このような知識はしっかりと前提として持っておきましょう。
②「株価が気になりすぎる人」がやってはいけない投資インサイダー取引には注意を払いつつ、いざ株式投資にチャレンジ!……と言いたいところですが、人によっては「毎日株価をチェックすると、精神的に負担に感じる」というタイプもいます。実を言うと、本記事を書いている私もこのようなタイプです。
自分が買った株の価格を毎日チェックし、上がったら「売って利益確定しないと!」とソワソワする。そして当然、価格が下がれば「あのタイミングで買わなければよかった……」と落ち込む。以前はこのように、株価が気になって仕方がありませんでした。
では、相場によりメンタルが左右される原因はなんでしょうか。その理由の1つは、「投資のゴールを近くに置きすぎている」ことです。
投資のゴールを数日後、1カ月後などの直近に置くと、どうしても短期の値動きが気になります。逆に言うと、私のように「株価が気になりすぎる人」のメンタルを安定させるためには……投資のゴールを、なるべく先に持ってくること。具体的にオススメしたいやり方は、新NISAのつみたて投資枠を使った定額積立購入です。
毎月決まったタイミングで、同じインデックス型の投資信託を買い続ける。そして投資のゴールは目先ではなく、数十年先を見据えます。長期の目線を持つことができれば、「株価が上がる=もうかった」、「株価が下がる=これからもっと安く買える」と捉えられるようになります。短期の変動には注目せず、「数十年後に上がっていれば良い」という考え方。このような観点を持てば、メンタルも非常に安定させることができます。
このように、「毎月同じ商品を、一定額購入する」という手法は“ドルコスト平均法”と言います。この方法であれば、積立設定さえすれば、あとは自動的に買い付けることが可能。価格変動に惑わされることなく、感情抜きで投資できるのも大きなメリットです。
自分に向かない投資に、無理に手を出す必要はありません。苦手なものは「苦手」と割り切り、自分に合った投資法を見つけることが重要です。
では、個別株投資に向くのはどんな人?「株価を見ることが苦痛に感じる」という人は、インデックス型の投資信託を長期で積み立てする投資法がオススメ。では逆に、「個別株投資に向く人」とは、どのような方なのでしょうか。
その答えの1つは、「考えることが好きな方」です。投資しようと思っている企業が、どんなビジネスをしているのか。そのビジネスは順調なのか、そして今後はどうなりそうか。売り上げや利益は伸びているか。また、同業他社と比べて業績は良いか、ビジネスモデルに独自性があるか……。
そんなことを楽しみながら考え、分析することができる。このようなタイプの方は、非常に個別株投資に向いています。逆に言うと、企業分析が面倒に感じるタイプであれば、無理に個別株投資に手を出す必要はありません。
例えば私はいろんな投資をしてきましたが、不動産投資は自分に向かないため、手を出していません。人気エリアや近隣の賃料価格調査、物件の目利き、投資後の物件管理に空室対策……これらをイメージしたとき、性格的にどうしても面倒に感じてしまう。そのため、「不動産投資は自分には向かない」と割り切っています。これは「不動産投資が良い/悪い」という話ではなく、「投資の向き/不向き」の問題です。
「インデックス型の投資信託しか買っていないけど、個別株も買ったほうが良いのかな?」と考える方もいるかもしれません。しかしそこで一度考えていただきたいのが、それが“自分に合った投資なのか”、“本当に興味を持てる投資なのか”という点。個別株投資であれば、「この企業のこと、もっと知りたい!」と思えるかどうか。ただもうかるかだけでなく、自分の興味を起点とするのも、1つの投資方法です。
自分の性格に合った投資先を選ぶ方法最後に、性格の向き・不向きに合わせて投資先を選ぶ方法をお伝えします。ここで紹介するのは一例ですが、あなたが価値観に合った投資先を選ぶ時のヒントとなれば幸いです。
①毎日の株価を気にしすぎたくない人は……1つは、インデックス型の投資信託。これは本記事の序盤にもお伝えしましたが、どのような方にもオススメできる投資先です。特に、S&P500(米国の優良企業から成る指標)に連動する投資信託や、全世界の株式に投資する「オールカントリー型」の投資信託など。
このような投資先であれば、「個別株の分析はできそうにないけど、経済成長の波に乗りたい」という方にもピッタリです。ドルコスト平均法で機械的に買うだけでもリターンが期待でき、投資判断に時間もかかりません。自分のビジネスや趣味にしっかり時間を割けるため、迷ったらコレ! と言える投資先です。
②投資に挑戦したいが、リスクを抑えたい人は……そしてもう1つは、バランス型の投資信託。インデックス型の株式投資信託は、しっかりリターンが期待できる。一方で、それなりにリスクがあります。不景気になれば価格は下がるし、新型コロナウイルスのような新しい感染症の発生、戦争などの情勢不安をトリガーとして、さらに暴落する可能性もあるのです。
「投資はしたいけど、なるべく安全な道を行きたい!」そのような方にオススメできるのが、バランス型の投資信託。例えば「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」という投資信託を買うと、国内外の株式、債券、REIT(不動産)……と、8種類の資産に均等に投資されます。リターンの高さよりも「リスクを抑えること」を重視する方は、バランス型の投資信託により分散投資をすることができます。
***投資には、唯一の正解がありません。リスクとリターンのバランスを考え、「自分の性格に合った投資先」を選ぶと、納得感を持って資産運用をすることができます。
浅見 陽輔/銀行員・証券アナリスト
大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科を卒業後、2013年に銀行に就職。10年のキャリアで、投資運用、リスク管理、法人・個人向け融資、システム部門を経験。証券アナリスト、FP2級、簿記2級、税務上級など20種類の金融系資格を保有。趣味は優待株投資と筋トレ。本業の傍ら、Kindle(電子書籍)作家としても活動中。代表作に『図解 新NISA』『トクする株主優待の選び方』『最後のジュニアNISA』『絶対に続く筋トレ』などがある。Twitterアカウントは【@you_def】。
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