義母への仕送り100万円、妻も負担すべき? 「我慢ならない」人のための2つの打開策【FPが解説】
Finasee / 2023年12月14日 11時0分
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Finasee(フィナシー)
<前編のあらすじ>
藤井さん夫婦は、50代の共働きで1500万円の世帯年収があります。ある日、夫の実家から100万円のリフォーム代の援助を求められたことから、夫婦に危機が訪れます。収入のわりに少なすぎる貯蓄額には、どんな事情があるのでしょうか? 家計の見直しとともに解決すべき問題を探ります。
●前編:【「そちらで解決して」妻が義母への支援を拒絶…許せなかった“不妊治療中”の暴言】
高収入の藤井さん夫婦、貯蓄が少ない理由は?貯蓄が少ない理由を率直に尋ねてみると、「不妊治療で650万円も使ったから」だという藤井さんご夫婦。でも、治療をやめてから既に8年もの年月がたっています。おふたりの年収を考えると、もっと貯蓄があってもいいはずです。一体どんなお金の使い方をしているのか知りたくて、毎月の支出を洗い出してもらいました。
<毎月の支出>
●徹さんの負担 24万円
・家賃(共益費込み) 18万円
・通信費(携帯・インターネット) 2万5000円
・新聞図書費 1万円
・その他 2万5000円
●和歌子さんの負担 18万円
・食費 7万円
・外食 3万円
・水道光熱費 2万円
・日用品費 1万円
・クリーニング代 1万円
・日帰り旅行(レンタカー代他) 3万円
・その他 1万円
ボーナスは電化製品の買い換えや保険料の年払いなどに充当し、ほとんど残っていませんでした。
ここで気になったのが、徹さん個人のお金の使い方です。手取り収入42万円のうち、家計に入れているのは24万円。差額の18万円がお小遣いなら、8年間で貯蓄が50万円しかないのは不思議です。
そこで詳しく話を聞いていくと、お小遣いのほとんどを「ゲームで使い果たした」と言うのです。徹さんいわく、重苦しい日常から現実逃避できる唯一のアイテムがゲームだったとのこと。不妊治療が続き、いつもピリピリしている妻。誰のせいでもないはずなのに、妻だけを責める母。
「どちらも大切な家族なのに……」
板挟みになった徹さんも、ひそかに心を痛めていたそうです。しかし、冷静になれる時間は確かに大切ですが、どう考えてもゲームで18万円もの課金は使いすぎです。
双方が納得できる落としどころはあるのか?「このままでは、家庭崩壊しかねない」
そう感じた筆者からおふたりに、現状を打開するための“2つの提案”をしました。
①共有の貯蓄からいったん援助する徹さんの貯蓄では足りない50万円を、共有の貯蓄から工面する方法です。弊社では急な出費への備えとして、生活費の6カ月分を普通預金に確保するようお勧めしています。
藤井家の1カ月の生活費は、お楽しみの費用である外食費と日帰り旅行の合計額を除くと、36万円。この1カ月あたりの生活費金額を基準に6カ月分を計算すると、216万円が最低限確保したい金額となりました。
現在、共有の貯蓄が250万円あるので、差額の34万円までなら義母への援助は可能となります。
ただ、援助するには和歌子さんの許可が必要です。そこで、徹さんのお小遣いから毎月3万円を返済するようアドバイスしました。共有の貯蓄から一時的に援助する形になりますが、1年後には用立てた全額が戻ってくる計算です。これなら和歌子さんの心理的なハードルも少しは下がるのではないでしょうか。
②補助金制度でもらえるお金がないか確認する80代のお母さまであれば、介護認定を受けていることが考えられます。
介護保険の要支援もしくは要介護と認定された方が、手すりの取り付けや段差解消などの住宅改修をしたとき、20万円を上限に利用者負担分(1~3割)を除いた金額が、あとから支給されます。自治体によっては「事前申請」することで、工事費全額ではなく、最初から自己負担額のみを支払う「受領委任払い」が利用できる場合もあります。
お住まいの地域の自治体が支給する補助金制度を併用できる場合もあるので、ケアマネジャーや自治体に相談することをお勧めします。また、断熱窓への改修や省エネ性能の高い給湯器を導入する際には、住宅省エネ補助金が使えそうです。
藤井さん夫婦のその後しばらくして、おふたりから「母に会って来た」と連絡がありました。友人から、「お嫁さんと仲良くできないなんて、カッコ悪いばあさんだね」と言われて反省したのだとか。
初めて謝罪の言葉を聞いた帰り道。まだまだ許せる気持ちにならないけれど、すきま風が入る部屋に高齢の義母が暮らすのは無理がある。そこで、気持ちはいったん横に置いて、修繕費の援助をすることに決めたそうです。
一度は離婚まで考えた藤井さんご夫婦。治療後8年間の道のりは、きっと家族にとって必要な時間だったと思います。子どものいない人生を豊かに過ごすために、今後は家計の見直しも始めましょう。
辻本 由香/つじもとFP事務所代表・一般社団法人WINK理事
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、相続手続カウンセラー、50代からのくらし(医・職・住)と資産を守るファイナンシャルプランナー。おひとりさま・おふたりさま×特有の課題・お金の問題の事例などが得意分野。企業の会計や大手金融機関での営業を経て、2015年に、保険や金融商品を販売しないFP事務所を開業。個別相談の他、企業・病院・大学などでの講演も行っている。
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