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“サザエさん”的家族関係はもはや過去の話…「1億総おひとりさま時代」に必要なこと

Finasee / 2024年1月29日 11時0分

“サザエさん”的家族関係はもはや過去の話…「1億総おひとりさま時代」に必要なこと

Finasee(フィナシー)

少子高齢化が大きく進んだ現代の日本では、ひとりきりで最期を迎える事態は決して珍しくありません。そのため自分で意思決定できなくなったとき誰に委ねるか、どのように判断してもらうかをきちんと考えておく必要があるでしょう。

話題の書籍『あなたが独りで倒れて困ること30』では、お金や健康など独身者を襲うリスクや「おひとりさま時代」を生き抜く具体的なヒントについて、司法書士の太田垣章子氏がやさしく解説。今回は本書の『はじめに』、第1章『おひとりさまリスク――「お金の問題」』の一部を特別に公開します。(全3回)

※本稿は、太田垣章子著『あなたが独りで倒れて困ること30』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。

自分の最期を、イメージしたことはありますか?

あなたは、自分が高齢者になった時をイメージできますか?
自分が意思決定できなくなる日のことを想像したことがありますか?
自分のパートナーが頼れなくなる時を想定していますか?
家族がいても「1億総おひとりさま時代」に生きていることを認識していますか?

私は司法書士として、住まいを中心に生活が立ち行かなくなった高齢者のサポートを20年以上してきました。そういった高齢者の方の中には、現役時代のままの高い家賃の住宅に住み続けて、滞納してしまう人がいます。高齢者は部屋を借りられないことを知らず、転居できなかったからです。

最後まで自宅で過ごしたいと施設入所を拒んでいたら、ゴミ屋敷になってしまった人もいます。介護サービスの枠を超えてしまい、月に40万円以上の費用がかかってしまった人もいます。

それでも自宅が最適ですか? 家はあるけど、現金がなくて生活が苦しい人。家は売れても、賃貸が借りられなければどうしますか? 奥さんが先に認知症になったら、自分の入院手続きを誰がしてくれますか?

あげ出したらキリがありませんが、私が関わった人たちは全員が何も備えていませんでした。その結果、たくさんの人たちがサポートせざるを得ませんでした。

でもこの先は違います。少子高齢化で、サポートする人手が足りません。

今の高齢者と、現役世代が高齢者になる時代と、置かれる環境は全く違うことになります。これからは「1億総おひとりさま時代」を生き抜かねばならないのです。でも誰もそこに気付いておらず何も備えていません。これは大変なことになる……。

そう懸念したからこそ、何を準備する必要があるのか、そのヒントをまとめました。

「家族ありき」の制度下で、何を決断すべきか確認しましょう

この問題の要因は、急速に高齢化が進む日本で、制度だけはまだ「呼べばすぐに駆けつけてくれる家族がいる」前提だからです。日本の制度は『サザエさん』のような「家族が支え合う」時代のままで、時が止まっています。

ところが家族関係が希薄化してきたことに少子化も加わり、家族だけでは到底太刀打ちできなくなってしまったのが現実です。

介護離職からの貧困や、介護疲れからの殺人事件、ヤングケアラー問題、身元不明の火葬できないご遺体や、埋葬されることなく保管されている骨壺の数や無縁仏、さらに荒れ放題のお墓。驚くような報道が、連日のようにされています。それでもなお制度は「家族ありき」のままです。

ただ、行政も多少変わろうとしています。でももうそれが待てないくらい、現場は逼迫しているのです。

混乱の現場では、誰かが善意でサポートせざるを得ない状態です。

「自分の仕事ではないと分かっています。でもだからといって放置はできない」そう言って身寄りのない高齢者の部屋に行き、熱中症にならないようエアコンをつけ、勝手に消さないようリモコンを持ち帰るケアマネジャー。時間外だからと、社用ではなく個人の携帯から連絡してくるケースワーカー。事故物件になって家主に迷惑をかけてはいけないと、毎日のように賃借人の様子を見に行き、誰もいないからと救急車に一緒にのってサポートしている福祉の人たち。

今の状況は本来の仕事ではない、彼らのシャドーワークで成り立っています。国は我慢強い、親切な善意ある人たちに頼りすぎています。でもそれでは、この先ダメなのです。

人の善意だけでは、追いつかなくなる日がすぐそこまで来ています。あと少しすれば、さらに働き手は減り、人手も足りなくなります。気持ちがあっても、手が回りません。それが「少子高齢化」の日本です。

そこにどれだけの人が、気付いているのでしょうか……。もはや備えている人しか対応してもらえない、そんな時代になります。善意に甘えてはいけないけれど、実際のところその善意の手は、確実に足りなくなります。

だからこそ何が問題で、何を決断する必要があるのか、どう備えるのか、そこに気が付いて欲しくて、対策のポイントをお伝えします。

人は意識なく生まれてきます。そして誰もが死に向かって生きています。人は必ず死にます。死ぬ時のことを考えることは、生きることを考えることでもあります。これは、決してマイナスなことではなく、むしろ前向きでワクワクすることです。

結婚していようとしていまいと、子どもがいようといまいと、パートナーがいようといまいと、そんなことは関係ありません。人生を楽しく生き抜くために、自分の人生を自分で決める。個々が自立する。そうあるべきだと、私は考えています。

そういった問題に備えるきっかけとなり、最期まで人生を謳歌してくれる人が増えれば、これほど嬉しいことはありません。

●第2回(「亡くなった時がいちばんお金持ち」になってしまう!? “不安でお金を貯めこむ”人の盲点とは)では、自分の貯めたお金は最期まで自分のために使えるようにする具体的なポイントについて解説します。

『あなたが独りで倒れて困ること30』

太田垣章子 著
発行所 ポプラ社
定価 1,760円(税込)

太田垣 章子/OAG司法書士法人 代表司法書士

これまで延べ3000件近くの家賃滞納者の明け渡し訴訟手続きを受託してきた賃貸トラブル解決のパイオニア的存在。常に現場へ足を運び、滞納者の人生の仕切り直しをサポートするなど、家主の信頼を得るだけでなく滞納者からも慕われる異色の司法書士。住まいという観点から、「人生100年時代における家族に頼らないおひとりさまの終活」支援にも活動の場を広げている。家主および不動産管理会社向けに「賃貸トラブル対策」や、おひとりさま・高齢者に向けて「終活」に関する講演も行う。著書に『2000人の大家さんを救った司法書士が教える 賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド』(日本実業出版社)、『家賃滞納という貧困』『老後に住める家がない!』『不動産大異変』(すべてポプラ新書)、共著に『家族に頼らない おひとりさまの終活』(ビジネス教育出版社)がある。

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