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新NISAの上手な活用法は? 積立金額・課税口座・教育費のよくある疑問にFPが回答

Finasee / 2024年1月10日 11時0分

新NISAの上手な活用法は? 積立金額・課税口座・教育費のよくある疑問にFPが回答

Finasee(フィナシー)

新しいNISA(以下、新NISA)がスタートしました。筆者の事務所でも新NISAに関する相談が増えていますが、非課税枠や非課税期間が大きく改善されたものの、その優遇が大きいがゆえに、どう活用すれば良いか分からないという人が多いように思います。

そこで、新NISAを使いこなすにあたって、現在、投資信託を積み立て中の人からいただく“よくある質問”にお答えします。

Q.積立額をいくらにすればいいですか?

A. 目標額と目標期日から逆算して設定しましょう。

非課税枠が増えたために積立額を増やしたいけれど、どれだけ増やせば良いか悩んでいる人は多いものです。積立額をいくらにするかは、何のために積み立てをするのか、その目的によって変わります。「将来のため」としか目的が定まっていないことが多いですが、ここは、明確な目的を定めましょう。旅行、教育費、老後のため、など考えてみると思い当たる目的があるはずです。その目的を達成するためには、いくら必要でしょうか?

例えば老後のためなら、まずは自分の年金額を知り、老後生活に必要な金額はあといくらか試算してみる必要があります。厚生労働省の「公的年金シミュレーター」を使えば、自分の年金額を簡単にシミュレーションできます。もし年金だけでは生活できそうにないと思ったら、あといくらあれば生活できそうでしょうか。仮に老後を30年として、毎月の不足金額×360月を計算すると老後に不足する概算の総額を求められます。

一方、退職金や個人年金、確定拠出年金など、すでに準備中の資金もあるはずです。老後不足金額からそれら準備中の金額を差し引くと、これから自分で準備すべき金額が分かります。会社の退職金制度を知らない人も多いですが、この機会に調べておきましょう。それら金額を合算してもなお老後に資金が不足するなら、新NISAで準備していきます。老後までの年数から逆算すれば積立金額を計算できます。

このように、目標額と目標期日から逆算して積立額を設定すると、積立額の根拠が明確になるため、毎月の積み立てにも気合が入ります。

<積立額の計算方法>

1.(老後に必要な毎月の金額)―(年金額)=年金に対して毎月不足する金額
2.(年金に対して毎月不足する金額)×(360月)=老後に不足する金額の総額
3.(老後に不足する金額の総額)―(準備中の金額)=新NISAで準備すべき金額
4.(新NISAで準備すべき金額)÷(老後までの月数)=毎月の積立金額

Q.課税口座のお金はNISAに移した方がいいですか?

A. 価格上昇が見込めるなら移した方が良く、その方法は3つあります。

これからも価格上昇が見込めるなら移した方が良いでしょう。NISAは利益が出ないとメリットがない制度ですから、価格上昇が期待できないなら移すことはお勧めしません。

また、忘れてはいけないのは2019年に一般NISAで投資したお金は2023年に非課税期間が終了しますから、2024年に課税口座に移管されるということです。

一般NISAを毎年利用していたなら、今後、毎年一般NISAが満期を迎え、都度、課税口座に移管されます。新NISAに課税口座のお金を移すなら、この資金の存在も忘れずに計画をたてておいてください。

なお、課税口座のお金を新NISAにスライドさせることはできません。移すなら課税口座のお金をいったん売却して、売却した商品を新NISAで買い直す必要があります。したがって利益が出ているならいったん利益を確定させ、税金を納めることになります。

ここで、課税口座から新NISAへお金を移すにあたって、いくつか方法があるので紹介します。

①一括売却、一括購入 (成長投資枠を利用)

課税口座にある資金を一括売却し、同じ商品を同じ金額分、新NISA口座の成長投資枠で買い直す方法です。売却できる金額は、成長投資枠の年間非課税枠240万円までです。

売却注文と購入注文を同時に行うことで売却価格と購入価格を同じにでき、実質スライドが可能です。ただし、売却したお金が自分の口座に入金されるまで数日かかることが一般的ですから、その間、立て替えが発生します。

立て替えるお金がない場合は、売却したお金が入金されたら同じ商品の購入注文を出します。この場合、タイムラグが発生しますから、売却価格と購入価格を同一にすることは難しいでしょう。

立て替えるお金があるかどうか、立て替えるお金がない場合は数日間の価格差発生をリスクと考えるかチャンスと考えるかが、この方法を選択するポイントとなります。

②一括売却、積み立てで購入(つみたて投資枠、成長投資枠ともに利用可能)

課税口座の商品を一括売却して、そのお金を原資に同じ商品を積立購入する方法です。購入価格を積み立てによって平均化することで、あえて価格差を受け入れます。つみたて投資枠、成長投資枠、どちらも利用可能である点がメリットですが、一括売却後、積み立てに回らず待機している資金が一定期間運用されない状態が続くことがデメリットです。

③定期売却、積み立てで購入

口座を持っている金融機関に定期売却サービスがある場合に活用できる方法です。売却価格と購入価格を同一にすることはできないものの、毎月売却したお金で積み立てることを自動化できるため、売却価格、購入価格とも気にせず資金移動できるところがメリットです。毎月10万円を売却して10万円を積み立てるという具合です。

特に年間非課税枠を超える資金を移したい場合、先述の①と②なら数年がかりで課税口座の資金を新NISAに移動させる手続きが必要です。例えば課税口座にある500万円の資金をつみたて投資枠で積み立てするなら、毎年120万円を売却する手続きが発生するということです。さらに①なら購入も手続き必要です。

しかし、定期売却・積立購入なら非課税枠がいっぱいになるまで、あるいは課税口座の資金が尽きるまで自動売買できますから、定期的な手続きは不要です。

強いて注意点をあげるなら、課税口座に1800万円を超えるほど資金がある場合、非課税枠を使い切った段階で定期売却をストップさせないと売却され続けるという点でしょう。

***
 

紹介した3つのうちどの方法が良いかは、資金の金額やご自身の性格などによりますから、自分に合った方法を見つけてください。課税口座の利益を確定申告することで、扶養を外れたり住民税等に影響が出たりすることがあります。この点、ご注意ください。

Q.ジュニアNISA廃止で、今後教育費作りをどうすればいいですか?

A. 親のNISA口座の2つの投資枠を上手に活用しましょう。

ジュニアNISAで教育費作りをしていた場合、今後どのように教育費を積み立てるか悩んでいる人もいるでしょう。新NISAで子ども名義の口座を作ることはできません。NISAで教育費を作るなら、今後は親名義の口座で作ることになります。

そこで問題になるのが、親の資金と教育費が同じ口座内で管理されることです。新しいNISAは、税制優遇が大きく改善されたものの、子ども名義の口座を作れないのはジュニアNISAで教育費を作っていた人にとっては大きな痛手です。

この点を解決するには、親のNISA口座の2つの投資枠を上手に活用するしかないでしょう。例えば、つみたて投資枠は教育資金用に、成長投資枠は親の老後資金用にするなどです。

親と子の資金が同じ口座内になると管理が大変なのはもちろん、それぞれの残高が可視化されないため、目標を達成できない可能性があります。積立金額や積立期間が資産形成の結果を左右するのは当然ですが、口座管理も資産形成において重要なポイントです。親と子の資金は必ず分けましょう。

さて、教育資金をいくら準備するかにもよりますが、子ども1人あたりの大学資金として500万円を目標にするなら、子ども2人までなら成長投資枠の利用が可能です。しかし、3人以上になると、成長投資枠では非課税枠オーバーになり、もう一方の親の口座を利用するか、つみたて投資枠を利用することになります。

教育費をつみたて投資枠で積み立てるなら、親の資金は成長投資枠で積み立てることになりますが、もし老後のために資産形成をするなら成長投資枠の非課税枠1200万円では少ないこともあるでしょう。

しかし教育資金にはゴールがあります。大抵の場合、老後より早く教育資金のゴールがやってきますから、教育資金を引き出すことで非課税枠に余裕が生まれます。新NISAでは枠の再利用が可能ですから、教育資金と親の資金の投資額合計が1800万円を超えないように積み立ての管理を行っていきましょう。

このように親と子の資金を同一NISA口座で作るポイントとしては、

・枠を分ける
・年間非課税枠以内で積み立てられている
・目標金額到達までに投資額が1800万円を超える年はない

という3点を確認することです。子どもの年齢や人数、自分の年齢など加味して、ご自身の状況にあった方法で資金準備をしていってください。

新NISAの最大活用を!

必要な資金額、運用したい資金額は人それぞれです。しかし、自分の人生においてどんな資金が今後いくら必要になるかを考えると、新しいNISAでどのように運用していくべきかが少しずつ見えてきます。新NISAを最大限に活用して資産形成を楽しみましょう。

参考
・厚生労働省 「公的年金シミュレーター」

前田 菜緒/ファイナンシャルプランナー

FP事務所AndAsset代表。ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)。大手保険代理店に7年間勤務後、独立。子育て世代向けにライフプラン相談、セミナー、執筆などを行っている。子連れでセミナーに行けなかった自身の経験から、子連れOK、子どもが寝てから開催するなど、未就学児ママに配慮した体制で相談やセミナーを実施。経済的理由で進学をあきらめる子をなくしたいとの想いを持ち、活動中。

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