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「事実婚」の選択が裏目に…70代女性が“人生最後の恋”を終えて迎えたつらすぎる結末

Finasee / 2024年1月12日 11時0分

「事実婚」の選択が裏目に…70代女性が“人生最後の恋”を終えて迎えたつらすぎる結末

Finasee(フィナシー)

2児を抱えてフルタイムで働く高柳亜衣さん(仮名)が目標とするワーキングウーマンは、母親の姉の今年75歳になる伯母さんです。

「伯母は高卒後に就職した食品メーカーで何度か肩たたきに合いながらも気丈にこらえて定年まで勤め上げました。独身を通していますが、経済的にも自立し、病気や事故の時も誰にも頼ろうとしませんでした」

しかし、その伯母さんが70歳を過ぎてとんでもないトラブルに巻き込まれました。定年後に出会った事実婚の相手の男性が亡くなった後、その息子さんから葬儀に呼んでもらえなかっただけでなく、男性のお金を持ち出したといった因縁をつけられたのです。高柳さんは当時身重でしたが、ショックのあまり寝込んでしまった伯母さんに代わって立ち上がります。

そして、その高柳さんを力強くサポートしたのが、高柳さんが“正義の味方”と呼ぶある専門家でした。高柳さんに、伯母さんが受けたひどい仕打ちと、“正義の味方”の活躍ぶりを振り返ってもらいました。

〈高柳亜衣さんプロフィール〉

東京都在住
41歳
女性
会社員
自営業の夫、小学生の娘と0歳の息子と4人暮らし
金融資産500万円

***
 

今年75歳になる伯母は、10年ほど前からひと回り年上の男性と内縁関係にありました。伯母は結婚歴がなく、高卒後に入社した食品メーカーでシングルのまま定年を迎え、以降、地域の活動などに参加する中で男性と知り合ったのです。

男性との出会いと別れ

男性は商社で部長職を務めた人で、出会った当時は長年連れ添った奥さんを病気で亡くしたばかりでした。2人は一時籍を入れることも考えたようですが、男性には息子さんがいたため、家族の感情に配慮し、また、将来相続が発生した際のトラブルを避けるために話し合って内縁関係を続けることにしたと聞きました。

ですから伯母は自分のマンションに住み続けたまま、通い婚のような形で男性の自宅を訪れ、掃除、洗濯、食事などの世話をしていたのです。

しかし、数年前から男性に認知機能の低下が見られ、検査を受けたところ、アルツハイマー型認知症と診断されました。2022年末には1人で生活するのが困難になったため、伯母は息子さんと相談の上で男性を施設に入れる手続きをしました。

そして入居後も息子さんや施設の許可を得てほぼ1日置きに施設に通い、かいがいしく世話を焼いてきました。その間、息子さんやその家族はほとんど姿を見せなかったそうです。伯母も詳しくは聞いていなかったのですが、どうやら、男性と息子さんの間には何らかの確執があったようでした。

伯母の献身のかいなく、その後男性は徐々に衰弱し、2023年夏には病院に入院して、そのまま息を引き取りました。

息子が伯母に取った非情な態度

病院は管理が厳しかったため、事実婚の妻とはいえ思うように面会は許されなかったそうです。とはいえ、息子さんの代わりに着替えを届けたり、男性の好きなお菓子を差し入れたりしていました。

にもかかわらず、男性が亡くなった後、息子さんが伯母に取った態度は、それはひどいものでした。男性の死を知らされたのは息を引き取った当日の夜で、ご遺体に最後の別れを告げることは遠慮してほしいと言われたそうです。

それでも、お葬式の時には顔くらい見られるだろうと思っていたら、その後1週間以上音沙汰がなく、次に息子さんから電話があった時、「葬儀はこちらで済ませました」と一方的に告げられたのだとか。

それだけではありません。男性の暮らしていた自宅は近いうちに処分するので、置いてある荷物は早く引き上げるように言われ、伯母は言葉を失ったそうです。

無理を押して翌週何日か男性宅に通い、掃除をしたり、自分の荷物を持ち帰ったりしましたが、一段落した後は心労のあまり寝込んでしまいました。私は伯母のマンションから2駅先に住んでいて、ちょうど産休中だったこともあり、母に頼まれて何度か伯母の様子を見に行きました。

伯母はすっかり憔悴(しょうすい)し、「息子さんから疎ましく思われているのは知っていたけれど、こんなやり方はひどい」と涙を流していました。

息子さんの非情な仕打ちはさらに続きました。

数カ月後、今度は息子さんの代理人を名乗る弁護士から伯母に連絡がありました。その弁護士は、「亡くなった男性のお金の流れを調べたところ、手元に残っている金額と齟齬(そご)がある。あなたが持ち出していたのではないですか」と厳しい口調で伯母を責め立てたそうです。

混乱した伯母は、男性がまだ元気だった頃、生命保険の満期金が下りた際にその半分に当たる500万円を渡されたことを弁護士に話してしまいました。すると弁護士は、伯母にこう言い放ったのです。

「そういうのを生前贈与と言うんです。しかし、年間110万円を超える贈与は課税されます。あなたはその年、贈与税の申告をしていませんよね? これは脱税ですよ」

さらに、男性が伯母の誕生日に毎年高価なジュエリーをプレゼントしていたことを聞き出し、もらった分は全て息子さんに返すように迫ったと言うのです。

その話を伯母から聞かされた時、会ったこともない息子さんに対して激しい怒りの感情が込み上げてきました。

「そんな人の言いなりになる必要は全くないからね!」。そう伯母に言い含めて駆け込んだ先が、自営業の夫が取引先とのトラブルでお世話になったことがある弁護士の岩田さんの事務所でした。

●弁護士・岩田さんの気遣いに思わず涙……。追い詰められた高柳さんと伯母の状況を一変させたプロのアドバイスは、後編【「お金を持ち出したのでは?」事実婚の夫の死後、因縁をつけられた女性…苦境を救った正義の味方の活躍】で詳説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。

森田 聡子/金融ライター/編集者

日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。

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