公務員はiDeCoへの意識が高い? 2024年末には拠出額アップも!
Finasee / 2024年1月31日 11時0分
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Finasee(フィナシー)
公務員の10人に1人がiDeCo加入者
2024年1月からNISA(少額投資非課税制度)が刷新され、各種メディアで取り上げられることも多くなっています。身近な人から「NISAって何なの?」と聞かれる機会が増えました。
同様に、7年前の2017年1月にはiDeCo(個人型確定拠出年金)の制度改正が行われ、話題となりました。この制度改正はiDeCoの加入対象者のすそ野を大きく広げるもので、公務員や確定給付企業年金(DB)の加入者、国民年金の第3号被保険者等が、新たに加入できるようになりました。
その後のiDeCoの加入者数の推移をみると、2017年から加入対象になった公務員の増加が目立ちます。直近の公表数値では公務員のiDeCo加入者は約61万人(※1)と、対象者の10%を超えています。
※1 国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況」2023年11月
共済年金の変更がiDeCo加入者を増やした?公務員のiDeCo加入割合が高い理由の一つに、共済制度の改定による影響が考えられます。
公務員の年金制度はiDeCo改正の1年3カ月前の2015年10月に実施されました。2015年9月までは「共済年金」でしたが、2015年10月以降は厚生年金に一本化され、保険料率や給付水準、給付設計が厚生年金に統一されました。これにより、公務員は現役時の保険料負担が増加するとともに、給付は厚生年金と同等まで引き下げられることとなりました。
同時に、公務員に特有の「職域加算」が廃止され(※2)、「退職等年金給付」が新設されています。「退職等年金給付」は半分を終身年金で、半分を有期年金(「10年」「20年」「一時金」から選択)で受ける仕組みですが、「職域加算」よりも1割程度給付が引き下げられる設計となっています。
老後のための自衛手段を考える必要性が高まる一方で、iDeCoが活用できるようになるタイミングが重なったといえます。
※2 2015年9月までに65歳に到達している人は、それ以前と同様に共済年金から職域加算を受給。また、2015年9月以前に共済年金に加入していた場合は、加入期間に応じた職域加算を受給。
税優遇への意識の高さも影響毎年8万~9万人の公務員が新規にiDeCo加入者になっており、継続的に増加しています。
これは、公務員のほうが税制メリットを実感しやすい、という理由が想定されます。実際に、iDeCoのメリットとして「掛金が所得控除される」を挙げた公務員は41.5%と、全体平均の27.1%を大きく上回っています。さらに、制度を「よく知っている」割合も公務員は40.6%と高く、全体平均の20.3%の倍となっています(※3)。
※3 投資信託協会「2022年投資信託に関するアンケート調査(NISA、iDeCo等に関する調査)」2023年2月
老後資金に470万円の差! 見逃せない12月の制度改正2024年12月には、iDeCoの拠出限度額が変更になります。現在の拠出限度額は企業年金制度の有無等により1.2万円、2万円、2.3万円の3つに分かれていますが、1.2万円がなくなり、2万円と2.3万円の2種類となります。具体的には、DB制度の加入者(※4)と公務員等の共済制度の組合員の拠出限度額が1.2万円から2万円に引き上げられます(いずれも毎月拠出の金額)。
公務員のiDeCo掛金の平均は11,000円を超えており、加入者の多くが拠出限度額の1.2万円を選択している可能性が高いです。拠出限度額が引き上げられることで、掛金を増やす人も出ると考えられます。
拠出限度額の違いによる効果を考えてみましょう(税・手数料等は考慮していません)。
【前提:運用期間30年 運用利回り3%】
毎月の掛金 1.2万円の場合→706万円の積み上がり
毎月の掛金 2万円の場合→1176万円の積み上がり
毎月の掛金を8,000円増やして長期運用をすることで、30年後の資産が470万円も増えることになります。この効果は大きいといえます。さらに、iDeCoの最大のメリットである所得控除による節税効果も大きくなります。
【前提:課税所得300万円 拠出期間30年】
毎月の掛金 1.2万円の場合→87万円の節税効果
毎月の掛金 2万円の場合→146万円の節税効果
※4 DB制度の加入者の場 合、「他制度掛金相当額」が大きい規約では、iDeCoの掛金拠出ができない、1.2万円よりも低くなることも想定されます(他制度掛金相当額:DCの拠出限度額を算出する際に、DC以外の企業年金制度の仮想掛金額として設定するもの)。
好調な株式市場の恩恵を受けるためにはiDeCoの掛金を変更する手順は次のとおりです。
1)iDeCoを申し込んだ金融機関に連絡して、「加入者掛金額変更届」を入手します。入手の方法は金融機関によって異なりますが、電話での取り寄せ、もしくはWEBからのダウンロードとなります。
2)「加入者掛金額変更届」は加入者区分によって種類が違います。第1号被保険者用・第2号被保険者用・第3号被保険者用、任意加入被保険者用の4種類があるため、公務員は第2号被保険者用となります。
3)手続きは「加入者掛金額変更届」を郵送する必要があります。WEBや電話で手続きを完了させることはできません。
iDeCoの掛金額変更は1年に1回のみ可能です。12月から翌年11月までの間に1回(拠出月ベースでは1月から12月)という点もご注意ください。
好調な株式市場の影響により、iDeCoやNISAを活用している人と、そうでない人の間には資産に大きな開きが生じつつあります。
iDeCoをまだ活用されていない方は、12月の拠出限度額の引き上げを機に活用を考えてみましょう。公務員の10人に一人が活用しているので、周りの人に聞いてみるのもよいかもしれません。
津田 弘美/野村證券株式会社 確定拠出年金部
社会保険の専門出版社において、企業年金分野の編集記者として厚生労働省記者クラブ等に所属。厚生年金基金の隆盛期から企業年金2法の成立等を取材。その後、野村年金サポート&サービス(現在は野村證券に合併)に入社。確定拠出年金の運営管理業務に10年以上にわたり従事し、投資教育の企画立案、事業主サポート等を担当。業務の傍ら、横浜国立大学大学院において、理論と実務の両面から企業年金制度についての考察を行う。横浜国立大学大学院国際社会科学研究科博士課程後期課程修了(経営学博士)。
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