結婚目前で対立…「何が楽しいの?」女性が呆れた交際相手の「過剰な自己投資」
Finasee / 2024年2月9日 11時0分
Finasee(フィナシー)
瀬戸麻美さん(仮名)は昨年、大学時代から7年付き合った彼氏と破局しました。原因は、コロナ禍で株式投資にはまった彼氏が“投資オタ”と化し、麻美さんにも節約して少しでも多く投資することを要求するようになったからです。麻美さんはそんな彼氏と一緒にいても少しも楽しいと感じられず、自分から別れを言い出したのだとか。それ以降、麻美さんは何となく投資を避けるようになりました。
しかし、そんな麻美さんを見かねた同僚に、あるお金の専門家を紹介されます。麻美さんはその専門家との出会いで「自然体で投資と向き合えるようになった」と言います。2月からひと月遅れで新NISAへの投資をスタートした麻美さんに、投資嫌いのトラウマ脱却に至る経緯を聞きました。
〈瀬戸麻美さんプロフィール〉
東京都在住
27歳
女性
会社員
シングルで一人暮らし
金融資産120万円
諒太と付き合い始めたのは大学時代。諒太は、同じ軽音楽サークルの先輩でした。当時私が好きだったダンスグループのボーカル似でノリもいい諒太に、私の方からアタックしたのです。
その後就職して諒太が一時期名古屋に赴任するなどお互い仕事が忙しく、疎遠になりかけた時期もありました。それでも何とか乗り越えて昨年の正月には交際7年を迎え、結婚話も出ていました。
しかし、その2カ月後の3月には別れることになりました。最大の理由は、お互いの価値観があまりに違ってしまったことです。
価値観の違いを感じる出来事コロナ禍を経て、諒太は大きく変わりました。きっかけは投資を始めたことです。同世代の投資系YouTuberの動画に刺激されて株式を購入し、それが大きく値上がりしたことから、すっかりのめり込んでしまったのです。
投資に回す資金を捻出するために食事や光熱費を極限まで減らし、それだけでは足りずに終業後や休日に飲食店でアルバイトまで始め、毎月10万円以上割安株や投資信託に注ぎ込んでいました。やがて自分でもYouTubeで投資に関する発信をするようになり、私にも同様に投資することを求めてきました。
「少子高齢化の日本に先はない。俺たちの世代は将来年金もほとんどもらえないから、豊かな人生を送るためには長期的な資産形成が欠かせない。投資は俺たちにとって最高の自己投資なんだよ」
ご高説はごもっともですが、私の投資額が全然足りないと言って家計簿アプリを頻繁にチェックし、「無駄遣いが多過ぎ。なんでこんなにコンビニで買い物すんの? そもそも、コンビニなんて行く必要ないでしょ」などと小言を言われるたびにげんなりしました。
せっかくコロナが開けたのに旅行も外食もせず、週末はぎっしりアルバイトを入れている諒太に対しては、「そんな生活、何が楽しいの?」という反発しかありませんでした。私は将来に向けて自分磨きもしたいし、会社の同僚や学生時代の友人たちと食事や旅行を楽しみたい。今しかできないことがたくさんあると考えていたのです。
諒太にこういう話をすると、「麻美は全然分かってない」とけんかになりました。諒太は徹底的に相手を論破するタイプ。私も負けず嫌いな性格なのでお互いが譲らず、さんざん言い争った末に最後は疲れてうやむやに終わるという不毛な議論を何度も繰り返していました。
ですから、諒太と会っていてもちっとも楽しくなく、私の方から別れを切り出しました。以降、私の中では投資がトラウマになりました。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いという感じです。
すっかり投資嫌いに……それもあって、昨年の秋ごろからNISA(少額投資非課税制度)が大きく変わると会社の同僚や友人たちが騒ぎ立てても、私自身は「やりたい人は勝手にやれば」という気持ちでした。少なくとも、自発的に情報収集したり、NISAの口座を開設したりするつもりは一切ありませんでした。
同僚の理名から、「面白いお金の専門家がいるんだけど、会ってみない?」と言われたのはちょうどそんなタイミングでした。
理名は諒太との経緯をよく知っています。諒太と別れた後、購入していた投資信託を全部売り払い、手にした売却益を軍資金に一緒に沖縄旅行に出掛けた相手が理名でした。
「お金のことに疎い私にもすごく分かりやすく解説してくれるし、何より、私たち一人ひとりの思いを大切にしてくれるんだよね。麻美もきっと楽しく話ができると思うよ」
理名としては、心の底ではいつまでも諒太のことを引きずっている私に何かきっかけを与えたかったのだと思います。
最初は「今はいいかな」と遠慮していましたが、ある日、たまたま理名と帰りが一緒になり、「実は今日、例のお金の専門家のオフ会なんだけど、時間があったら麻美も一緒に行かない? 新入り大歓迎だから」と誘われ、断り切れずについていくことになったのです。
そして、この時の専門家との出会いが、結果的に私にとって本当に大きな転機になりました。
●毛嫌いしていた投資に興味を持てたきっかけは何だったのでしょうか? 後編【新NISAを始めた女性が“月1万円”の積立投資に託した「社会への望み」】で詳説します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。
森田 聡子/金融ライター/編集者
日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。
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