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遺産相続で人生が一変。“普通の主婦”が突然「6000万円」を手にした結果…

Finasee / 2024年2月16日 11時0分

遺産相続で人生が一変。“普通の主婦”が突然「6000万円」を手にした結果…

Finasee(フィナシー)

遺産を手にした妻「人生をやり直したい」

世の中に、お金ほど罪作りなものは他にない。ロシアの文豪トルストイの短編小説の中に、そんな一節があります。嶋村宏明さん(仮名)の元妻も、お金に人生を狂わされた1人と言えるかもしれません。

10年ほど前に親族から6000万円を超える遺産を相続した元妻は、業界人のグループと付き合うようになり、暮らしぶりも目に見えて派手になっていきます。嶋村さんや子どもたちはそんな元妻の姿に違和感を覚えつつも、「人生をやり直したい」という妻の気持ちを尊重してきました。

しかし、嶋村さんは1年前に元妻からとんでもない事実を告げられます。元妻は遺産を全部使い切り、さらに借金まで重ねていたのです。思いがけぬ幸運だったはずの高額遺産が元妻を大きく変え、4人家族はバラバラになりました。

「遺産などもらわなければ良かった」と後悔する嶋村さんに、家族離散までの出来事を振り返ってもらいました。

〈嶋村宏明さんプロフィール〉

東京都在住
58歳
男性
会社員(中堅機械メーカー勤務)
一人暮らし
金融資産850万円

***
 

全ての始まりは10年ほど前、妻が母方の伯母から巨額の遺産を相続したことでした。

妻はこの伯母に面差しが似ているところがあり、子どものない伯母から実の娘のように可愛がられていたそうです。ファッション業界で働いていた伯母は厳格な妻の両親とは対照的に好奇心旺盛で社交的な性格で、生前は私や子どもたちも含めて家族ぐるみの交流がありました。

遺言書で妻が唯一の相続人に

伯母はデザイナーの義伯父と結婚し、義伯父が亡くなった後には持ち家を処分して都内の高齢者施設で気ままな一人暮らしを楽しんでいました。特に持病があったわけでもなかったのですが2012年の冬の朝、ベッドの上で亡くなっているのが見つかりました。急性心筋梗塞だったそうです。

亡くなった時点で、存命の身内は妻の母親だけでした。遺産は義母が引き継ぐものと思っていたら、ある日、伯母から依頼を受けていたという弁護士から妻に連絡が入り、伯母が生前、妻に全財産を相続させるという遺言書を作成していたと知らされたのです。

伯母の遺産総額は億を超えていて、法定相続人ではない妻が2割加算の相続税を払っても、手元には6000万円以上が残りました。わが家にとっては目が飛び出るような大金です。

住宅ローンが当時で2000万円ほど残っていたので、一部を繰り上げ返済に回して登記で妻の持ち分を増やしたらどうかと提案したら、「伯母さんがせっかく私に残してくれたお金なんだから、これは自分のため使うつもり」とあえなく却下されました。

確かにそれは妻の言う通りですし、妻には日頃から苦労をかけているという思いがあったので、「半分くらいは貯蓄しておいた方がいいぞ」と冗談交じりに返したくらいで、あとは妻に任せていました。

同じ頃に義父も「少しはお母さんにも渡したらどうだ」と言ってきたそうですが、妻は弁護士に浅知恵をつけられたようで、「お母さんは姉妹だから遺留分(法律で保護された最低の相続分)の請求はできないはずよ」と拒絶したのだとか。

激変した妻の暮らしぶり

妻の暮らしぶりが変わったのは、それからでした。ちょうど下の子どもが大学に入学したタイミングでもあり、「これまでの人生を取り戻す」と宣言して、やれ外食だ、やれ観劇だ、やれ旅行だと毎日のように外出するようになったのです。

都心の美容院やエステに通うようになって小ぎれいになり、身に着ける服やバッグも一目で高級品と分かるようなものに変わりました。茶道の教室通いを始めたり、茶道具や着物を購入したりもしているようでした。

料理が得意な妻は、かつては生協の食材を取り寄せ、「家族が健康でいるには毎日の食事が大切だから」と手の込んだ料理を食卓に並べてくれたものでした。しかし、それらはいつの間にかデパ地下の惣菜に取って代わりました。子どもたちは歓迎しているようでしたが……。

付き合う仲間も変化していて、妻の口からスタイリストの何々さんだとか、料理ライターの誰々さんといった名前を聞くことが増えました。いわゆる“特権階級”のグループらしく、コロナ禍で都道府県をまたぐ移動の自粛を求められていた時期にも、こっそり高級旅館や高級料理店などに出かけているようでした。

私も子どもたちも普通の主婦だった妻のあまりの変わりように違和感を禁じ得ませんでしたが、それでも、妻がこれまでの人生を取り戻し、充実した日々を送っているのならよしとしなければと考えるようにしていました。

相続から10年。妻から驚きの告白

そんな妻から驚きの告白をされたのは、1年前のことでした。銀行のカードローンの借り入れが300万円、さらに妻名義のクレジットカードのリボルビング払いの残高が200万円を超え、二進も三進もいかなくなってしまったと言うのです。

「伯母さんから相続したお金はどうした?」と尋ねると、「去年までで使い果たしてしまったけれど、だからといって元の生活に戻ることはできなかった」と泣き出す始末。あまりのショックに、思わず言葉を失いました。

●大金を10年で使い果たした妻。夫がかけた言葉は……。後編【妻の「衝撃の告白」を機に一家離散…「全ては後の祭り」4LDKに1人で暮らす夫の悲痛】で詳説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。

森田 聡子/金融ライター/編集者

日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。

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