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「まさか返せと言われるなんて…」突然“年金150万円の返納”を要求されてしまった老夫婦の後悔

Finasee / 2024年4月23日 11時0分

「まさか返せと言われるなんて…」突然“年金150万円の返納”を要求されてしまった老夫婦の後悔

Finasee(フィナシー)

<前編のあらすじ>

共働き夫婦の由里さん(65歳)は、26年間勤務した社会福祉法人を近々退職することになりました。そこで今後の年金のことを相談しようと、既に年金生活を送っていた夫の英一郎さん(70歳)を連れて年金事務所へ相談に行くことにします。

年金事務所では、窓口の相談員が年金について丁寧に説明してくれました。由里さんには61歳から受け取れる「特別支給の老齢厚生年金」があったことが発覚。65歳の今からでもさかのぼって受け取れると知った由里さんはほっと胸をなでおろしました。

しかし、ここで相談員からもう1つ衝撃の新事実が伝えられます。なんと英一郎さんが受給していた加給年金4年分を返金する必要があると言うのです。その額はなんと150万円以上。英一郎さんは、突然返金を要求されたことに困惑して今後の生活に不安を募らせました。

●前編:【「まだ働いてるから」60代女性が年金手続きを放置…受給を考え始めて分かった「衝撃の新事実」】

なぜ、年金を返せと言われたのか

相談員の説明は要するに、英一郎さんが受給していた加給年金に年額39~40万円程度の過払いが4年分生じていたので、それを返してほしいという話だったのです。

由里さんは、61歳から65歳までは特別支給の老齢厚生年金を受けられるようになり、65歳からは老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けられるようになります。夫婦共働きだったため、由里さんも英一郎さんも厚生年金に20年以上加入しています。年上の英一郎さんは先に65歳を迎え、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取っていて、加給年金も加算されるようになっています。

この加給年金については、もし、由里さんの厚生年金加入期間が20年未満であれば、英一郎さんが65歳になってから由里さんの65歳まで加算されることになっています。つまり、「夫婦の年の差分の期間が加算」されることになっています。

しかし、由里さんには61歳時点で厚生年金加入期間が20年以上ありました。年金事務所の窓口での説明によると、その場合は由里さんの年金の支給開始年齢である61歳までしか加算されないとのこと。共働きだったため、加算期間が4年短くなるということになります。

過払いが起きた原因とは?

ところが、由里さんが61歳を迎えて以降ずっと年金の請求をしていないことが原因で、英一郎さんの加給年金は由里さんの61歳時点で止まることなく、振り込みがされ続けていました。

当然、由里さんの61歳以降の4年分の加給年金は本来英一郎さんが受け取れないもの。由里さんが61歳になってすぐ特別支給の老齢厚生年金の手続きをしていればその時点で加給年金の振り込みを止めることができ、過払いを防止できました。しかし、由里さんが年金事務所に行ったのは65歳になってからだったため、ここで初めて過払いが発覚したのです。

そうした事情により、由里さんの特別支給の老齢厚生年金が61歳まで4年さかのぼって支給される一方で、英一郎さんの4年分の加給年金は全て返金となります。

加給年金の返金の手続きを進める

「まさか年金を返せと言われるなんて思ってもいなかった」という英一郎さんでしたが、窓口の相談員の案内により英一郎さんが加給年金の返納に応じました。返納の手続きが問題なく進むと思ったのか、窓口の相談員もほっとしたような表情を浮かべていました。

「私が61歳で手続きをしておけばよかったのね」と後回しにしたことを後悔した由里さん。結局、これから英一郎さんは今後2カ月に1回振り込まれる年金の半額ずつで分割して返すことになりました。幸い夫婦には貯蓄があるため、返納が完了するまで振込額が少なくなっても、夫婦2人分の生活は何とかなりそうです。

*** 

突然、年金を返せなどと言われると、一体何が起きているのか理解できないことでしょう。このようなことが起きないようにするためには、自身が受けられそうな年金はどのようなもので、いつからいつまで支給されるかを確認し、必要な手続きはなるべく早めにしておく方がよいと言えるでしょう。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

五十嵐 義典/ファイナンシャルプランナー

よこはまライフプランニング代表取締役、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、特定社会保険労務士、日本年金学会会員、服部年金企画講師。専門分野は公的年金で、これまで5500件を超える年金相談業務を経験。また、年金事務担当者・社労士・FP向けの教育研修や、ウェブメディア・専門誌での記事執筆を行い、新聞、雑誌への取材協力も多数ある。横浜市を中心に首都圏で活動中。※2024年7月までは井内義典(いのうち よしのり)名義で活動。

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